差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2005年4月17日日曜日 14:12
宛先: 銭湯ML
件名: 高城湯(荒川区南千住)

ナカムラです。

今日(4/16)は、「高城湯〔たかしろゆ〕(荒川区南千住)」に行ってきました。
三ノ輪駅(東京メトロ)から、0.5キロ、5分くらいです。

もう十数年も前の話だけど、冬の寒い日に南千住駅を出ると、角材を抱えた労務者があちこち歩いていて恐い思いをしたことがある。
そして、宿の無い人たちが、あちこちの路上で火を焚いている。
しばらくして、寒いから歩き、角材などは暖を取るための燃料だと理解できたけど、今でも鮮明な記憶として残っている。

高城湯は、ドヤ街の中心からは、常磐線を隔てて反対に位置するけど、そんな南千住にある。
近くには隅田川貨物駅があり、すぐ先のガードをひっきりなしに貨物列車が通る。
電車とは異なる、電気機関車独特のモーター音が、街に独特な雰囲気を与えている。

同湯の外観を撮影していると、赤いコートを羽織った女将が自転車で帰ってきた。
「何撮ってるの」と、恐い語調での詰問。
下町だからか、土地柄か、かなり重たいストレートパンチ。

小生は、いつも通り、「休みの日は銭湯の巡りをしている者で、決してあやしいものではありません・・・。」とややビビりながら応える。
「ウチはボロいからねぇ。」と話しながら、でも、気に入らない様子。
とりあえず、昭和30年築ということを教えてくれた。

煙突はコンクリの独立煙突。
常磐線から見えるようにか、線路側にある母屋の後ろには大きく「高城湯」と書かれている。
そして、ゆったりとした敷地に建ち、入口へのアプローチも小道ではなく、広いスペースが充てられている。

入口は千鳥破風の黒瓦の堂々としたもの。
その上も寺院風の豪壮な千鳥破風の造りになっている。
だいぶ荒れている感じがするけど、高価そうではないものの、かなり立派な造り。

暖簾をくぐると、穏やかな表情の福助のタイル絵。4枚で構成されている。
火災予防運動の垂れ幕をめくると、やはり「福二」の落款があった。

下足箱の錠は旧型のさくら。
エントランススペースには、なんともいえないレトロな雰囲気がある。

脱衣所に入ると、低い木組みの番台。磨き込まれている。
さっきの女将の息子さんかな、そんな年齢の主に400円を渡す。

番台の主と野球談義をするご老人と、浴室に1人相客がいるのみ。

脱衣所の広さは3間四方。
天井は、折り上げ格天井だけど、天板は腐ったのか、木目印刷のチープな合板が嵌められていて雰囲気を壊している。

大黒柱には工務店から寄贈された黒い柱時計。
壊れてはいないらしいけど、ゼンマイを巻くのが難儀なので振り子は止まっている。
定番の天井扇。そして、アナログ体重計。「首」が長いなと感じた。メーカーを見ると石川製衡所という初めて接するものだった。

冷蔵庫すらない脱衣所。
背もたれのある木製のベンチが背中合わせに2脚。
島ロッカーの上のガラスケースに、販売用の入浴グッズが入っているけど、石鹸箱や石鹸など合計5個くらいという寂しさだった。

浴室に入ってそのシンプルさに息を飲む。
床全面がレトロな亀甲型の白タイルで、全てがフラットになっている。
つまり、幅3間、奥行4間、島カラン1列の大きなスペースだけど、同湯にはカランの下に洗い湯を流す溝が一切ない。

カラン台も竹割りタイルが使われている。
30年代前半の銭湯のオリジナルに近い姿が、これなのか。そう感じた。

カランは日の丸扇の角型。茶色の取っ手が付いたもの。
いまいち清掃が良くないので、石鹸のカスが付着し、清潔感がイマイチなのは残念。
カラン数は、センターから、6・5・5・6。シャワーは両サイドのみ。島カランは鏡すらないプレーンなもの。

浴槽は深浅2槽。
浅槽は1穴ジェットが3機で、石が入った鉄格子から湯が注がれるもの。湯温は43度強。
深槽は1穴ジェットが1機。湯温は浅槽と変らなかった。

ビジュアルは、浴槽の上に章仙画のタイル絵(縦4枚×横41枚)。絵柄は池に鯉。
ペンキのスペースは青く塗りつぶされ、それにくすみが出てきている。

上がると、例の女将が番台に上がっていた。
既に客は小生のみになっている。
野球が始まるとお客さんが出なくてねと。
客が少ないことが恥ずかしいのか、そんな言葉があった。

それに、昔はペンキ絵があったけど、客が少なくなったのでお金をかけられなくなったと。
駐車場があるので生きていけるけど、風呂屋だけでは死んじゃうよと。

庭には木が生えているだけで、何もない。
トイレを借りると「トイレを汚すな/汚した人は自分で取りなさい・・・。」というような、やや過激な貼り紙。
これも、女将のストレートパンチだろう。

くだんの女将に、ご苦労さまでしたと言われ、同湯を辞去した。
土曜日の18:45から19:30滞在。本当に客が少ない銭湯。

帰りは、三ノ輪といえば中華料理店「翠姫」。
20:00近かったけど、いつものように満員。
高菜そばの定食に紹興酒。
チャーハンほどの感動はなかったかな。

乗り換え駅の上野駅で降りて、好きな「松の湯」を撮影。
上野駅地下のトロな食堂が好きだった。
今は何になっているのかなと、地下に降りる階段を探したら、階段自体が無くなっていた。