差出人: Masayuki Nakamura
[masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年2月17日火曜日 0:11
宛先: 銭湯ML
件名: [sento-freak:04801] 竹の湯(横須賀市船越町)

ナカムラです。

今日(1/15)は、「竹の湯(横須賀市船越町)」に行ってきました。
京急田浦駅から「仲通り商店街」を抜けて5分程度です。

今日は、鎌倉の扇ガ谷の、気になっていた洋館(廃屋)を再訪。撮影してからなので離れているJR田浦駅を経由してきました。

銭湯の話からは外れるけど・・・。
鎌倉の洋館は廃屋だけど、隣家の人に聞いたら、海軍中将の別荘として建てられたもの。恐らく昭和初期。吉田茂が駐英大使の時に、大使付きの武官として一緒に随行した高官。戦後、本妻と妾を一緒に住まわせて、その2人は夜中に水を掛け合ったりと壮絶な諍いが絶えなかったと。結局、本妻は気が狂ってしまったと。

隣の家も質素な洋館。昭和63年に亡くなった昭和文芸評論家中村光夫が30数年住んだ家らしい。外は質素ながら、内部は立派だと言ってた。その隣の家も物理学の分野で著名な大学名誉教授の家(洋館)。

扇ガ谷のかなり奥まった場所、こんな所に洋館が3軒並んでいるのも不思議な感じがする。何か気になって、再訪した洋館だったけど、なんかすごい所だった。


旧娼家だった建物。〔現存セズ〕

さて、田浦の竹の湯。
この商店街を含めこの辺りは「皆ヶ作」と呼ばれ、売春防止法以前には40軒くらいのカフェーがあった場所です。寂れた商店街に不釣合いな料亭「飯田屋」や、少なくなったけどカフェー調の建物がちらほら、その痕跡を残しています。

商店街と普通の住宅になってしまったけど、そんな歓楽街の跡に竹の湯はあります。

銭湯の建物は普通は、正面の道路と垂直に建てられることが多いけど、ここは平行に建っています。ブロック塀が白いペンキで塗られていて、入口付近、縦にやや拙い字で「竹の湯」と書いてある。入口には最近あまり見ない長椅子、それも木で造られた古風なもの。

「銭湯浪漫」の暖簾をくぐると、縦長のエントランスホール。天井は格天井になっている。手前にアクリル扉に小さな松竹錠がついた新しい下足箱。道路に面した手前が男湯につき男湯用のよう。

奥正面には、扇の中に「末広錠」と書かれた古い珍しい錠。赤字で番号が書かれているので女湯用のよう。「末広錠」との遭遇は、「天神湯(横浜市磯子区)」以来2度目。

古い引戸を開けると番台。正面がカーブしていて昭和中期的な新建材が張られているもの。天井は折り上げ格天井(5×11)。焦茶色の材で組まれている。大黒柱、梁も焦茶の太いもの。壁は漆喰を模した白壁。残念ながら、黒い柱時計はない。

島ロッカーが、3間四方の脱衣所に横置きに設置されている。錠は松竹錠の板鍵。
ん・・・。壁側にロッカーが15個。そのうちオリジナルの9個の錠が、下足箱と同じく扇の中に「末広錠」と書かれている。その下に「YOKOHAMA」と書かれている。どうやら、末広錠とは横浜の地場のものらしい。

それにしても、9個以外は新しい松竹錠に更新されているけど、番号がちゃんと連番になっている。律儀である。

新築祝いと書かれた木のベンチ、テーブル、旧型のマッサージ機、体重計なんかがある。床も黒に近い色で、ニスで輝いている。

浴室は幅3間、奥行3.75間。天井は2段型の天井でウィングが優美にカーブしている。島カランは鏡付のものが1つ。カランはセンターから6・4・4・5、和栗のボール型の取っ手がついたもの。センターと外壁側のみシャワーが付いている。

床のタイルは薄茶色の厚手のもの。これはオリジナルではなく、更新されたもののよう。

浴槽は深浅2槽。浅槽は半分がバイブラに赤外線ランプ、半分は1穴ジェットが2つ付いている。深槽は1穴ジェットが1つ。温度は、どちらもそれなりに水が注ぎ込まれてしまって、43度くらいになっていた。浴槽のタイルはオリジナルのよう。外側は淡いグリーンで波を描いている。

浴槽の立ち上りには縦3枚×横15枚の章仙画の池に鯉&金魚のタイル絵。その上には中島師の手になる富士山と湖、ヨットのペンキ絵。キャンバスはよれているし、少し剥がれも目立っている。それなりに年数が経っている感じ。

タイル絵は脱衣所側から、「池・老松・脚が極端に長い石灯籠(章仙画)」、「山・海・帆掛け舟・老松(章仙画)」、「弁慶と牛若丸(鈴栄堂、銘があったが読めなかった)」。章仙画は双方とも群青色を基調とした重厚感のある絵。牛若丸は月夜の絵ながら、胡山画のようにやや平面的で明るい色で描かれていた。

日曜日の17:30。ご同輩は7〜8人くらい。入れ替わりに客が来る。昭和38年築。小生と同年齢の伝統的銭湯。いまどきの銭湯にしては、なかなかの繁盛店だった。

とりあえず、上がりに缶ビールを飲んで、銭湯隣の中華屋(珍来)へ。小生には少し、綺麗過ぎる店で落ち着かなかった。



〔現存セズ/2007.09.22.確認〕


現存セズ。H16年夏取り壊されてしまった。