差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年12月10日木曜日 23:34
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件名: 滝野川浴場(北区滝野川)

ナカムラです。

今日(12/4)は、「滝野川浴場(北区滝野川)」に行ってきました。 西巣鴨駅(都営三田線)から、0.2キロ、4分くらいです。

北区は旧瀧野川区と旧王子区が合併したもの。瀧野川は由緒ある地名だ。そんな由緒を屋号に 冠している同湯は、はたして歴史ある銭湯だった。

恐らく古いんだろう、細く小さな八幡通り商店街に面しているものの、新参の西巣鴨駅(都営三 田線)には背を向けてる。駅から近いけどなかなか辿りつけない。

経営は準直系の三代目。創業は大正期に遡る。ビル銭湯ながら傍らに典型的なコンクリ煙突が 立っている。この煙突は先代建物譲りなのだろうか。。。古いビルは、昭和45年築。

辿り着くまでに難儀した入口は、門がある小道の奥、さらに建物の陰になっている。早速、暖 簾を潜ってSakuraG錠の下足箱に靴を放り込む。

脱衣所は、幅3間、奥行4間ほど。天井は2間弱と伝統的木造銭湯ほどの高さはないものの、 低くもない高さがある。第一印象は古いけど丁寧に整備されているなぁというもの。壁や天井 の白いクロスはくすみもない。番台はウディな板張で飾られている。

そんな中に島ロッカーが縦置きに1つ。脱衣籠も1個だけ現役な感じで転がっている。その他、 古くはないものの木製の重厚なベンチ、HOKUTOWのアナログ体重計などがある。

浴室は実に清潔な印象的だ。広さは幅3間、奥行4間ほど。高さは2間ほどで、天井、壁は白いペン キ塗り。湯気で霞んでいるからではないだろう。くすみはない。

同湯最大の特徴が、3・3の短い島カランの手前に、大谷石の灯籠を設えた池が掘られ、大振 りの金魚が数匹泳いでいることだ。壁に水槽が仕組まれ、それを浴室で眺めるという銭湯はい くつかある。しかし、ともすれば石鹸の泡が飛び込みかねない浴室のど真ん中に庭池があるの は初めてだ。6歳にもなる縁日の夜店から嫁入りした金魚。金魚の生命力にも感嘆する。

奥壁には、中島さんの渓流のペンキ絵。真ん中につり橋が架かるというレアな絵柄。19.12.25. とあるので描かれて1年弱。ビルというペンキ絵には過酷な状況につき、多少のくすみが出て いる。

浴槽は、奥壁に接する形で深浅2槽。形は普通ながら岩風呂にベージュ基調の石張りになって いる。男女境も板張り。女湯との間を2つずつの凸凹構造で、変化を出しながら広さを演出し ている。

丸みを帯びた古い日の丸扇の刻印のあるカランからして元々の設備は古いけど、極めて印象的 にリノベートされている。そしてそれらが、ご主人の手仕事だという。プロではないものの加 賀で三代続く棟梁の出。風呂屋として東京に出なければ本職になっていたかも知れない。

井戸水を薪で沸かした湯は優れている。同湯では銭湯が身体の汚れを落とすだけの場ではない ことを理解している。ハコは何とはない古いビル銭湯。でも精神の休息が得られる。大袈裟だ けど、少し感動した。

上がりは、ビールもあったけど、氷結150円。「1010」の最新号も手に入れた。金曜日の 20:30から21:30の滞在。相客は5人ほど。半身浴でゆっくり風呂を楽しんでいる人が複数い た。そういったことが似合う、癒し系の銭湯でもある。

帰りは釜場の脇を通り、銭湯の裏から駅に向かう。釜場では、ご主人と大女将が火を見ながら 立ち話。なんか印象に残る光景だった。

夕飯は西巣鴨駅の上といっていい「宮島」という広島風お好み焼き屋。「初孫」の冷酒で頂いた。 良心的な値段でそこそこ美味しかったけど、町屋の「ひな」の方がお好み焼きのレベルは高か ったかな。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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