差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年5月5日水曜日 22:27
宛先: 銭湯ML
件名: 瀧乃湯(鎌倉市御成町)

ナカムラです。

今日(5/5)は、菖蒲湯。「瀧乃湯(鎌倉市御成町)」に行ってきました。

入口は、千鳥破風の黒瓦。暖簾は紺地に赤で屋号を染め抜いている。署名運動等により、廃業が2回延期され、現在は来年3月末廃業予定。

暖簾をくぐるとエントランスホールがあるけど、ここには下足箱はない。番台の背の部分にタイル絵。番台への木製枠のガラス戸を開けるとさらにベニヤ板を敷いているけど、下は土間。

左手に土間に立つ木組みの番台。小さいながらも雲形の彫刻が施された庇が付いている。それにしても、この番台低いなぁ。向こう側に衝立もないから、結構女湯も見渡せるようなオープンな構造になっている。

外壁側に下足箱がある。錠はメーカー名が入っていない。(どこかで同じものを見たことがある・・・。)同じ錠が外壁側にあるオール木製ロッカーにも付いている(但し、外付けのシリンダ錠が付けられ、現在はそっちが機能している)。

昭和5年築の古銭湯。天井は、格天井(男女合わせて7×10)。折り上げはないが古色蒼然としている。戸、窓枠等建具は浴室の湯気抜きがサッシになっている他は木製で維持されている。脱衣所の真中にベンチが縦置きにされている他、テーブル、Keihokuのアナログ体重計、メグミルクの牛乳自販機がある。主力は脱衣籠。相客はみなこれを使っている。

もう、同湯には何度も足を運んでいるけど、この裸電球の脱衣所と浴室には心癒される。なんか、気分が落ち着かない時、結果的にこに足を向けていることが多い気がする。

浴室は幅2間、奥行は4間。天井は2段型。その天井に男女裸電球が1個ずつ。島カランはプレーンなものが1列。カラン数はセンターから544。外壁側にはカランがない。カランは日の丸扇の旧型のカランに取っ手だけは茶色のものに取替えられている。

床、カラン周りのタイルは改修されている。しかし、それ以外は青と白のタイルが交互に貼られている。これは入口も同じだった。

浴槽は深浅2槽。どちらも実母散の熱い湯。今日は菖蒲湯。釜場から出てきた女将に菖蒲湯の目的を問われて答えられなかった。「子供の日」に行われるので、なんか子供のためのものかなと。

女将曰く、菖蒲は極めて殺菌力が強い植物。毛穴など身体を殺菌して、ジメジメした梅雨に備えるものだと。昔は、こうやって菖蒲の葉を鳴らしてうるさかったと、葉の鳴らし方を実演してくれた。ひとしきりレクチャーを終えると、湯船に手を入れ、釜場に消えて行った。その後、「沸口に注意」と書いてあるところから熱い湯がドンドン出てきた。前から思ってたけど、ここの湯は熱い。予想はしてたけど、手動運転なんだ・・・。

新世美術のペンキ絵の下に、(株)津村順天堂の「浴用中将湯」のホーロー看板が健在。男女境には、戦前の鈴栄堂のタイル絵が残っている。

上がりには牛乳を飲んで、向いの高崎屋酒店で、人気のあるホワイトビール、「ヒューガルデン・ホワイト(ベルギー)」500円也を飲む。本当はエーデルピルスを所望したけど、もう少ししたら始めると・・・。

鎌倉の商店は、こだわりのものを持っていて、奥が深い。