辰巳湯（江東区三好町）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2007年5月19日土曜日 9:14
宛先: 銭湯ＭＬ (sento-freak@kt.rim.or.jp)
件名: 辰巳湯（江東区三好町）

ナカムラです。

今日（5/18）は、「辰巳湯（江東区三好町）」に行ってきました。
清澄白河駅(東京メトロ半蔵門線)から、０．３キロ、２分くらいです。

２０：００に会社に出て、久しぶりに帰路と反対方面に向う。
半蔵門線は永らく水天宮駅が終点だった。その先の清澄白河駅で降りるのは初めてだ。

駅は、地上に上がると、旧岩崎家別邸跡の｢清澄庭園｣の傍らに出る。そして、その前には昭和３年築の「旧東京市営店舗向住宅」が並ぶ。旧同潤会アパートがほとんど姿を無くした中で、復興建築のこのアパートは貴重だ。夜なので細かなディテールは見えないけど、それでも独特の雰囲気を持つ見応えのある共同住宅だ。

同湯は、この建物から最も近い、清澄庭園の門前といっていい地域にある、創業４０年のビル銭湯。エントランスと脱衣所の上は、４階建の共同住宅になっていて、その後方に浴室専用部分の建物がある。浴室部分は、外から見ると｢ヘ｣字型の屋根を持つ、変った構造だ。

この銭湯は、｢自転車とろろん銭湯記(疋田智著/早川書房)｣に｢立川さんの記憶･･････辰巳湯｣として描かれている銭湯で、気になっていた。

主人公のヒキタ氏が、｢木村湯｣で出会った証券会社を経営する立川さんと待ち合わせて、同湯に赴くというストーリー。同湯は、その立川さんが気に入っている銭湯で、かつて学齢前の娘さんと休日に通った印象が、淡々と語られている。その娘さんが交通事故で無くなり、今は一人になってしまった、少し物悲しい話だ･･･。

古い共同住宅ながら、入り口は、暖簾もないし、花が飾ってある。構造は普通のビル銭なんだけど、使われている素材や、置かれている鉢が、銭湯らしくない感じがする。

下足箱は、ＳａｋｕｒａＧ錠のプラ板鍵のもの。段々と蒸し暑くなってくる季節。脱衣所の戸は開け放たれている。そこに、番台を反対向にし、さらに女湯への視界を遮った形のフロントがある。そこそこ若いにいちゃんが、ワイシャツにネクタイという出で立ちで座っている。銭湯でネクタイをしているというのは珍しい･･･。

風呂銭４３０円。サウナは２２０円。くだんのネクタイ君は、小生の３２番の下足札を召し上げ、その代わりに黄色いバスタオルと、サウナ室のひっかけキーをくれる。

脱衣所は足を踏み入れて、一目して、変った銭湯だと感じるものだ。

幅は４間、奥行は２間半ほどとさほど広くはない。しかし、ウッディな暖かい感じで室内が統一されている。天井も古いビル銭湯なので２間ほどと圧迫感はない。

中央に置かれているテーブルや据付の背もたれのついたベンチは、このスペースにしては大振りで風格があるものだ。端にあって、数もさほどでないロッカーも木の温もりを感じさせるもので、ロッカーの上に綺麗に拭き清められたビニールのテーブルクロスが掛けられているのが珍しい。

室内の外壁側に、柵があって、室内庭が設えられている。そこに、大きな石で造られている手水鉢がある。水は張られていないけど、かなり高価なものだろう。

浴室側は、全て普通の壁になっていて、扇形の孤を描いて開閉するレトロな木枠の扉以外は、浴室への視界を遮っている。銭湯では、ありそうで、ない構造だ。

そんな戸を、｢ギーッ｣と押して入る浴室は、明るくて、極めて清潔だ。
広さは４間四方。天井は、奥壁が３間ほどの高さで、入口方が２間。材はプラ板張りだけど、ロッジ風の傾斜と雰囲気がある。照明は、水銀灯が明るく照らし、カラン上の電球色の暖かい光が落ち着きを演出。木の温もりとともに、照明の心得のある設計になっている。

島カランは無く。カランは、センターに８、脱衣所方壁に５、外壁側に４というもの。カランは日の丸扇の刻印がある取っ手が銀のもの。全てにハンドシャワーが付いている。

このハンドシャワーの構造が変わっている。シャワーヘッドのホルダーの下にリングがあって、ホースがその中を通っている。つまりはハンドシャワーながら、シャワーヘッドを自由には動かすことができない。まさか設計ミスとは思われないけど、その意図がいまいち理解できない、不思議な構造だ。

浴槽は正方形の室内の中央に、奥壁から手前にかけて、浅いけどかなり広い浴槽がある。湯温は４２度弱。底に張られたパール色のタイルが、明るい照明に照らされて、光輝いている。奥壁側には、２点ジェット×２、デンキ、水枕付きの寝湯(バイブラ)がある。

さらに、外壁側には細身の２つの扉があって、テレビ付きの快適なサウナと、小さな壷庭で飾られた石張りの落ち着いた半露天風呂と水風呂がある。

サウナでは、これ以上の面積を彫っている人は見たことがないという年配の方が、蛇の｢青大将｣の如く入っていた。挨拶だけして、隣に座るけど、間近で見るとなかなか凄いというか、グロテスクな感じがする。思わず、局部付近はどこまで彫っているんだろうと観察してしまった。(失礼)

青大将氏は、水風呂が苦手なようで、立ちシャワーを往復しながら、浴槽のヘリで時折休憩･･･。小生は、露天の、深さ３０センチくらいと妙に浅い水風呂を３往復ほどする。

この露天スペースの奥。浴室の奥壁の後ろに独立した、８畳ほどの和風の立派な休憩スペースがあって、テレビや血圧測定器が置かれている。増築を重ねた関係なんだろうけど、設置されている位置が、微妙に変だ･･･。

ビジュアルは、幅４間、高さ３間の奥壁に巨大なモザイクタイル絵。しかし、深川という立地を反映してか、支流に掛かる太鼓橋の向こうに本流が見えるという絵柄と、その右側には独立する感じで、川遊びをする裸婦像が描かれている。あまり他では見ない、独特の絵柄で面白い。

上がりは、キリンラガー２５０円。金曜日の２１：００から２２：００に滞在。客は途切れなく入ってきて、２０人超といったところ。客層もじいさんは少数で、若い人も来ている。

帰路は、隣湯の｢常盤湯｣を見てくる。大きな、ティピカル･東京銭湯だ。この銭湯、タウンページでは、㈲山の湯となっているので、不思議に思っている。庭が素晴らしい銭湯らしいので、訪れなければと思っている。

帰りは錦糸町に出て、時間があれば下町の居酒屋に入りたいところだけど、結局は、23：13発の横須賀線･最終の久里浜行。グリーン車を奮発して、酎ハイを飲みながら、ウトウトしながら帰館。。。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp　　
URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ （風呂屋の煙突）
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小さな看板だけがあるシンプルなファッサード。ただ、歩道にレストランのメニューのような、看板を置いているのが珍しい。	共同住宅の後方に変った形の浴室建物が付属している。電球色の増築部分には和風の露天風呂がある。
常盤湯〔㈲山の湯〕	時間限定で「ソフト整体｣をやっているようだ。それに、冷水機の紙コップが有料（１０円)だった。水は何杯でも無料。
旧東京市営店舗付住宅。建物の後方は｢清澄庭園｣

小さな看板だけがあるシンプルなファッサード。ただ、歩道にレストランのメニューのような、看板を置いているのが珍しい。	共同住宅の後方に変った形の浴室建物が付属している。電球色の増築部分には和風の露天風呂がある。
常盤湯〔㈲山の湯〕	時間限定で「ソフト整体｣をやっているようだ。それに、冷水機の紙コップが有料（１０円)だった。水は何杯でも無料。
旧東京市営店舗付住宅。建物の後方は｢清澄庭園｣