竜の湯（葛飾区高砂）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2010年5月23日日曜日 9:04
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 竜の湯（葛飾区高砂）

ナカムラです。

今日（5/15）は、「竜の湯（葛飾区高砂）」に行ってきました。京成高砂駅（京成本線）から、0.4キロ、5分くらいです。

高砂駅近くには、渋い「春日湯」や「高砂湯」があった。ゼンリンの地図に、まだ建物が描かれているので見に行った。

しかし、春日湯は最近壊された感じの更地で、ブルーのタイル片が少しだけ散らばっていた。そして、高砂湯は3棟ほどの真新しい住宅に変わっていた。何れも駅から近い利用価値のある土地。放っといてはくれないようだ。

さて、竜の湯。駅から車が通らない本当に道幅の細い商店街を北上。商店が途切れると、戦前築だろうか、古いながらかなり手入れされた住宅が並ぶ一角を通り過ぎ、同湯のある通りに出る。

昭和39年築創業。宮造り東京銭湯の正統的な系譜に名を連ねる棟梁による大型の伝統的木造銭湯だ。敷地も大きいのだろう、後方に立つコンクリ煙突はガレージを挟み、浴舎から10メートルほど左後方に離れ聳え立つ。

蔦が絡まるファッサードは、妻入りの千鳥破風黒瓦の脱衣所棟に唐破風の威風堂々のエントランスが付くというもの。蔦は、建物を傷めると聞くけど、どうなのだろうか。。。

下足箱の錠はSakuraG。番台への扉を開ければ、幅3間半、奥行4間ほどの大きな空間が広がる。天井は意外にもクロス張り。折上げ部に相当する部分には、簡素ながら寺院の肘木のような装飾がある。

木製建具の向こうには、タイル張りの濡れ縁がある。ただ、庭には池はなく岩と植栽のみ。やや荒れてもいる。

一般論として、人手がなくなり庭に手間を掛けられなくなったというのもあるけど、暑くなればクーラーを入れ、庭を通じて風を入れるということが無くなった。それも理由なのかも知れない。

同湯は、そもそも女湯の庭はコインランドリーに転用されて庭自体が無くなっている。コインランドリーの進出とクーラーの進出はどちらが早かったのだろうか。

ロッカーは、衝立を兼ね番台近くに半身の島ロッカーが縦置きに1つと壁側にある。ロッカーの錠はSakuraⅢのシリンダ錠。脱衣かごも現役で使われている。

その他、Hokutowのアナログ体重計、新型のマッサージ機なんかがある。

浴室は、幅3間半、奥行4間半の大きなもの。天井は2段型で、大きな躯体故に梁が太い。堂々とした東京型銭湯の典型。基本的には開業時のままではないだろうか。東京銭湯の「原風景」がある。

大型の空間の床は3センチ角のイニシエの白タイル。かなりくすみが目立つものの替え難い雰囲気を醸し出している。島カランは鏡すらないプレーンなもので、ホコリが堆積しているものの大型の銭湯なので2列。カラン数はセンターから8・6・6・6・0・7。

浴槽は、奥壁に接して3槽。温度別に3槽が並ぶ。薪焚きの柔らかいお湯。当然に井戸水だろうと想像していたら、半年ほど前に井戸が壊れ、以降、水道水を沸かしているという。金町浄水場の水は評判がいまいちだったけど、風呂にはいいのか。。。

そして、大きな空間の大きなビジュアルが充実している。奥壁には中島さんのペンキ絵。男女境の上に富士山、木船、海を描いたもの。高さ2間半ほどで、幅は3間半と、かなり大きなペンキ絵だ。

その下には松、砂浜、富士山が描かれた色調の濃いモザイクタイル絵。奥壁に3間半、さらに外壁へ1間ほど延びたＬ字型屏風様式になっている。

さらに、幅4間半の長い男女境には日光結構のモザイクタイル絵。神橋、東照宮・陽明門、華厳の滝などが描かれている。

それぞれのビジュアルは内容を伴ってそれぞれが大きい。なかなかグッとくる。

上がりは、瓶牛乳を頂こうと2枚扉の古い冷蔵庫をのぞいたけど見当たらなかった。子供が減って売れなくなり現在は入れていないという。

土曜日の19:00から19:45に滞在。相客は学齢前の孫を連れたじいさんを含めて5人ほどだった。この大きな空間からすれば寂しい客の入りだった。

高砂駅の南北を歩いて呑み処を探索するけど、決め手に欠いたので赤羽に戻り、赤羽八幡神社近くのモツ焼きの「米山」へ。先日、厄払いに来た時に連れに教えてもらった。

カウンター10席ほどの店。完璧に昭和20年代が残っている。21:30。もう、あまり材料がないよといいながら最後の1席に招き入れてくれた。この「天然記念物」的な空間を求めてやって来たという感じの、女連れの客が2組ほど。古い写真をよく見ているからか、強烈な既観感がこみ上げた。強く印象に残る店だ。

冷凍した焼酎にサワーを注ぐ独特のレモンサワーに串を5本ほど。ハラミの半焼きには驚かされる。ステーキといっていい味だった。ツクネ、カシラ、ハツ、シロとも、特徴があって、水準を大きく超える。そして、すべて110円。凄い店だ。。。そして、妙なサワー、不思議と後からしっかり効いてくる。また、行かねば。。。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
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▼赤羽・米山