差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2005年6月4日土曜日 1:00
宛先: 銭湯ML
件名: 龍の湯(町田市森野)

ナカムラです。

生田で、遅ればせながらの父の命日の墓参りを終え、今日(5/28)は「龍の湯(町田市森野)」に行ってきました。
町田駅(小田急線)から、1.7キロ、15分くらいです。

高校生時代に丹沢山塊を登っていた頃はよく通過していた駅だけど、降りるのは初めて。
横浜線ともクロスしていて、駅周辺はかなり雑然と発展している。

今日は、足裏に注射を打たれ腫れている。歩くのは難儀なのでバスで行くことにする。
足裏の単なるイボだけど、削っても、漢方薬を飲んでも治らず、ここ1ヵ月はブレオマイシンなる物騒な抗腫瘍剤を注射されている。
この注射が結構痛い・・・。
でも、風呂は問題ないということなので、とりあえず銭湯巡りには出かけることになる。

バスを乗り間違えたため、「森野5丁目」で、急遽バスを降り、坂を登っていく。
登り切って開けたところが一面の麦畑。
その向こうに同湯の煙突と建物が見える。

ここは・・・、東京なのか?。
そう思い返されるほどに印象的な風景。麦畑と銭湯。初めてのコラボレーション。

町田市の銭湯は5軒。
同湯の経営者が昭和42年に建物を賃借して商売を始めた時には14軒銭湯があったらしい。
最近も1軒廃業(H16/3さがみ湯)し、女将さんは淋しいと言っていた。

賃借で経営を引き継いだのでよく判らないとのことだったが、同湯は昭和36年築らしいと言っていた。
入口棟は破風を載せた黒瓦。その上には簡素ながら懸魚のある千鳥破風の黒瓦。
暖簾の上は漆喰。両サイドにはモザイクタイル絵がある。

暖簾をくぐると、正面に傘を突き差す式の傘入れ。
下足錠は、旧型のおしどり錠と、カナリ錠。

ガラスにはヒビが入っているものの、大きな摺りガラスが嵌められた立派な戸がある。
番台は木組みのしっかりしたもの。
背には、商売繁盛を願う逆さ馬の書と、風呂グッズが駄菓子屋のように整然と吊るされている。
なかなか壮観な光景。

脱衣所の広さは、幅2間半、奥行3間程度。
天井は折り上げ格天井。さほどの材ではないことが判ってしまうけど、古色蒼然とした木造ワールドがある。
磨き込まれたガラス戸と縁側、木しかないけど掃き清められた、すがすがしい庭もある。
外壁側にはオール木製ロッカーもあり、いにしえの銭湯の風景が清潔に維持されている。

その他に、ビールの入った冷蔵庫、メーカーは見つけられなかったけど寺岡式のような大きなアナログ体重計などがある。

浴室は、幅2間半、奥行4間。
天井が2段型ではなく、最高部が2間ほどの板張りながらごく緩くカーブを描いているもの。これも初めて見るタイプ。

島カラン(鏡のみ)は1列で、カラン数はセンターから7・6・6・5。
隣が畑のため採光が優れていることと、床のタイルが3センチ角の淡いピンクのであることで、明るく軽快な雰囲気のある浴室になっている。
旧式の3センチ角のタイルがピンク色というのは初めての遭遇かも知れない。
結構な音量で演歌がガンガンかかっているのも悪くない。(?)

浴槽は深浅2槽。
浅槽が2穴ジェットが2機で42度くらい。
深槽がバイブラバスで43度くらい。

ビジュアルは、奥壁に丸山師の「精進湖」。15.7.22とある。
広告看板も現役で多磨クリスタルのアクリル看板なんかがある。
町田市の銭湯のペンキ絵は、組合が一括して発注しているらしい。

男女境には真中に富士山があるモザイクタイル絵。

上がりはビールのミニ缶。
人懐っこい感じの女将も素敵な方だった。

東京だけど区部の東京銭湯とは趣きが大きく異なる、麦畑の隣にあるいい銭湯だった。

帰りは歩き。
途中のあたみ湯を見てきたが、恐らく戦後期の建物。
なかなかそそられる銭湯。また町田に来なければ・・・。










昔は営業時間も長く寝る時間も少なかったらしい。






一部に旧型のおしどり錠が残っている。


コインランドリーは独立した建物。