差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年5月3日月曜日 10:38
宛先: 銭湯ML
件名: 田浦湯(小田原市扇町)

ナカムラです。

今日(5/2)は、「田浦湯(小田原市扇町)」に行ってきました。
小田原駅(JR東海道線)から、1.1キロ、15分くらいです。

昭和3年築のレトロ感あふれる小銭湯。なかなかいい湯。私の中のランキングではかなり上位に来る銭湯です。
これで、小田原の全銭湯の実査完了。といっても3軒だけど・・・。

小田原城の方は、混んでいるのかも知れないけど、商店街は日曜日で閉まっている店も多く「銀座通り」という中心的な商店街も閑散としていた。
駅から銀座通りに出る途中、みずほ銀行の駐車場(栄町一丁目16)の隣に、銭湯のコンクリート煙突と建物が残っていた。だいぶ昔に廃業した銭湯のよう。
さらに200メールトル進んだ「国際通り」に面して、旧若松湯(栄町二丁目14)の煙突と建物がそのまま残っていた。こちらは5年ほど前の廃業らしい。

田浦湯の主人の話では、小田原の銭湯は昭和40年ごろがピークで23軒の銭湯があったらしい。
41年から廃業が始まり、今ではたったの3軒だけ。
国道1号線沿いには100メートル置きくらいに銭湯があったと。(ちょっとオーバーだと思うけど・・・。)

さて、田浦湯。
間口4間の小銭湯。煤けた訳ではないだろうけど、何故か屋根周りがが黒く塗装されている。
番台裏に「田浦湯」という行灯型の看板。これが毛筆タッチでなかなか渋い味を出している。
その下に、牛乳石鹸の暖簾が営業中の目印として掛かっている。

ブロック塀とサッシの戸の隙間に身を入れ、戸を入れば、コンクリの三和土があり左手に番台がある。
下足箱もロッカーもない。
靴は入口側の壁と番台の下に棚があって、そこに入れるようになっている。
外壁側に4段の棚があって、テレビと脱衣かごが収まっている。

小生が訪れた銭湯の中で一番小さな銭湯かも知れない。
脱衣所の大きさは、幅2間、奥行1間半。
奥行の中には、50センチくらいのコンクリの三和土も含まれるので、板の間は2メートル強の奥行きしかない。
ただ、隣に住まいがあって、そこにつながる三角のスペースを脱衣所としても使っているらしい。
脱衣籠が積まれているし、洗濯機と旧型のマッサージ機が置いてある。

天井も当然低く、民家風の押し縁の天井。壁は板張りになっている。
番台の後ろのガラス窓の上、多少デザインされた格子に緑や黄色の色ガラスが嵌められていた。

男女境に鏡が掛かっている。清酒「灘雪」の鏡。下には「キユダナ」と書いてある。なんか、ただならぬオーラを発している。
アナログ体重計は「EIKO」とある。これもあまり見ないブランド。その他には冷蔵庫とドライヤーと丸椅子が2脚だけが置かれている。

それと、冷蔵庫の後ろの壁に半分隠れているけど、「公衆浴場営業許可証」が小さな額に入れられて掛かっていた。
昭和26年10月。主人が先代から名義を引き継いだ時の許可証。主人は石川さんで昭和6年生まれらしい。
当時の神奈川県知事は内山岩太郎という人だったのか・・・。(S21年〜S42年まで横浜市長)

浴室との仕切りは木枠で全面が透明なガラス戸。
昔の家の縁側にあったような感じのもので、軽くてカラ・カラ・カラと音を立ててスライドする。

浴室は、幅2間、奥行3間。レトロではあるが、整然として清潔面で緊張感を感じる。いい浴室だ。
天井は高くないけど、真中に正方形の湯気抜きが伸びているので圧迫感はない。
壁は板壁に天井もそうだけどブルーのペンキが綺麗に塗られている。
なんか、湯治場の雰囲気すらする浴室。

床は、白い正六角形の亀甲型のタイルが、極めて平滑そして緻密に組まれている。
鎌倉の清水湯と同じもの。清水湯で、既にこのタイルも張れる職人もないと聞いた。
緑椅子を使わない年配者が複数居たが、ここだったら気にならない。もちろん自宅の風呂などよりはるかに清潔である。

島カランはなく、両側に4個ずつ計8個のカラン。このカランがレトロで取っ手が真鍮製で「湯」の刻印があるもの。
センター側のみシャワーが付いている。このシャワーが変っていて、シャワーヘッドが円錐形でパイプが曲線。
ここまでは普通だけど、シャワーの下にレバーが付いて、左右に動かすもの。
レバーのプラスチックは透明で綺麗なピンク色だった。最近付け替えられたものかも知れない。

浴槽は深浅2槽。
深い方は普通に深いけど、浅い方は神奈川の小銭湯によくあるけどかなり浅い。
それに、ここの浅槽は1人入れば一杯という大きさ。
温度は先に埋めていた客が居たので43度くらい。おそらくはもっと熱いのだろう。

ビジュアル物は、浴槽の上に縦2枚×横13枚の池に鯉の章仙画のタイル絵。小生が見たこの種の章仙画では最小かも知れない。
タイル絵の上には、北鎌倉・新世美術のペンキ絵。これも、小生が見たペンキ絵の中で最小かも知れない。

上がりは、キリンの一番搾りが250円。小さなおつまみが付いていた。
生ホッピーを飲んだことがないので、次は焼き鳥・ホルモン焼の「だいご」に向かうが、日曜日は定休日だった。
「銀座通り」を戻って、大衆居酒屋「飛騨」へ。ここは、去年の12月に「政の湯」に入りに来たときに寄ったところ。
女将は銭湯に通う変な客をよく憶えてくれていた。

近くに、「緑湯(緑町)」、「万年湯(浜町)」、「十字湯(南町)」、そんな屋号の銭湯があったらしい。




田浦湯


割烹だるま