差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2012年4月6日金曜日 22:45
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 天狗湯(杉並区西荻南)

ナカムラです。

今日(4/1)は、「天狗湯(杉並区西荻南)」に行ってきました。西荻窪駅(中央本線)から、0.5キロ、5分くらいです。

昨日の土曜日は台風並みの風雨だったので、近くの小さな図書館に行っただけで家に籠もっていた。時折、銭湯で見かける「親父の小言」に風の強い日は出歩くなとある。小生が子供の頃、父から強く言われていたことでもある。

そして今日から4月。東京でも桜の開花が報じられる。年々早まってきた桜の開花も今年は小学校の入学式くらいにピークを迎えるのではないだろうか。

天気はいいけど風がまだ強く少し肌寒い。今日は古い住宅を見ながら中央線の西荻窪界隈の松庵などのエリアを散策する。そして、喫茶店「DANTE」で休憩して天狗湯に向かう。

現在の建物は昭和45年の改築という。フロント氏に創業は祖父の頃で昭和30年代と教えてもらう。しかし、古い航空写真を眺めると同湯の住所に該当する地には昔から銭湯が写っている。昭和38年の航空写真はもちろん、昭和22年の航空写真にもおぼろ気ながら銭湯らしき建物が見える。

脱衣所にあった写真(昭和40年頃の風景とあった)によれば、前の建物は切妻の脱衣所棟に軒に彫刻を施した唐破風のエントランスという極めて正統的な伝統的木造銭湯だったようだ。よく写真見ると左右にハの字型というよりも男女向かい合わせに、取っ手が斜めの棒という別々の洋風タッチのドアがある。純和風ながら少し変わった構造の建物だったようだ。

現在の建物は先代の建物と比べるとかなり簡素。モルタルの切妻で小学校の体育館のような形をしている。天井の高い脱衣所にアパート部分を載せているので、低層の住宅地の中でそこそこの威圧感を感じる大きさだ。

最近ガス焚きに替わったようで、油井型の煙突がステンレスの小型のものに替わっている。塀には丸山さんのペンキ絵を描いた板が掛けられている。何よりの広告看板になっている。

風に翻る暖簾を潜れば左手におしどり錠の下足箱。右手少し入った所にはカウンターがあって、脱衣所を一部仕切った形のロビースペースになっている。相方が2人分の風呂銭を払って、小生のみスタンプを押してもらう。

脱衣所の広さは、幅2間、奥行3間ほど。オリジナルは奥行き2間半かも知れない。前栽を潰して脱衣所の一部に組み入れたのは間違いないようだけど、それをつなぐ半間ほどのスペースもひょっとしたら増築なのかも知れない。

天井は伝統的な銭湯と同様に高い。ただ、縦に桟を渡し、天板は白と黄色の2色とちょっと伝統からは離れている。

ロッカーは外壁側に松竹シリンダ式のものが中心。その他、Keihokuのアナログ体重計、新型マッサージ機、扇風機などが置かれている。何故かプラスチックのケースにそこそこ大きくなった亀が飼われていた。

浴室は、幅3間と1/3、奥行4間ほど。天井は木板張りの2段型で一部の蛍光灯は消されているものの、それでも十分に明るい。そして、床のタイルはあのイニシエの3センチ角の表面がふっくらとした白タイル。これに出会うのはかなり久し振りの感じがする。

島カランは2列で、カラン数はセンターから3・3・0・5・5・5。黄色のケロリン桶は関西型の小さいものが使われている。家の風呂場で大・小ともに使っているけど、東京の銭湯で出会うとかなり華奢で小さい印象を受ける。

浴槽は、奥壁に沿って3浴槽。先ずは温めのミルク風呂から。温度は40.5度くらいだろうか。疲れと気分が解放される実にいいお湯だ。中央がバイブラと2点座ジェット×2。男女境側の深槽は手前に浅い部分を岩風呂風に拡幅して浅い湯で寝転べるようになっている。中央の浴槽とともに淡い宝寿湯で湯温は42度くらい。

そして、釜場への通路には足ツボを刺激するためにタイルの代わりに那智黒を立てて埋め込んである。男女境には足裏のツボと内蔵の対比表が貼ってある。

浴槽に浸かっていると10人は超える客で浴室の広い空間は湯気で濛々としている。銭湯の銭湯らしい光景が広がっている。

西荻窪駅の近くに印象的な大型の木造アパートと、その向かいに千木良医院という昔からの医院があったけど、その医院を含むアクリル板の広告が5枚ほど掛かっていた。いずれも現役のようだ。

ビジュアルは、奥壁に丸山さんのペンキ絵で絵柄は「本栖湖(2010.10.20.)」。湖とともに秀麗で静的な氏ならではの富士山が描かれている。男女境にも昔ながらを感じさせるモザイクタイル絵。遠方には山々、海上には海鳥が舞う。岬には松林。そんな、どことなく懐かしい感じの絵だ。

上がりは小岩井の牛乳120円を頂いた。パックはよく見るけど、小岩井の瓶牛乳を飲んだ記憶はない。かなり珍しいのではないだろうか。

日曜日の18:35から19:25に滞在。相客は20人を超えていたのではないだろうか。旧来の設備を創意工夫でうまく手直しして居心地のいい空間にしている。いい銭湯だった。

上がりの一杯は駅反対側の加賀廣。相方がここのラビオリが好きで、ここに来るのも3度目くらいだ。焼酎の水割りと濁り酒を頂く。片口に入った濁り酒の量が案外に多く、飲み残してしまった。ラビオリをお代わりしたら、2度目の盛りはサービスで心持ち多かった。。。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ (風呂屋の煙突)
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