天神湯（中野区中野）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2011年3月7日月曜日 22:36
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 天神湯（中野区中野）

ナカムラです。

今日（3/4）は、「天神湯（中野区中野）」に行ってきました。中野駅（中央線）から、0.6キロ、6分くらいです。

駅からずっと線路沿いを新宿側に戻って、北に折れた「天神通り商店街」という、商店街とは呼べないような店が疎らに並ぶ道の中ほどにある。

車が通るのも難儀するだろう道にあるので、角地に建つ天神湯の建物はひときわ大きく映る。黒瓦平入りの脱衣所棟にやはり黒瓦唐破風の威風堂々のエントランスがある。

表で写真を撮っていたら、向かいの花屋の店を仕舞いながら、「ここ古いんだよ。昭和3年の建物。創業は昭和5年・・・」と、聞く前から話かけてくる。問われなくても説明したくなるような、シャビーな商店街の盟主なのかも知れない。

同湯の暖簾は東京型なので形は違うけど、姫路・中島湯で見たのと同じ牛乳石鹸の新柄の暖簾があった。シンプルで拙い感じの富士山の暖簾だけど、不思議な味わいのある濃い色使いの絵だ。

中に入ればやや寸づまり感があるエントランススペース。天井はオリジナルではない感じもあるけど、網代風の平格天井というのが珍しい。左右にSakura-G錠の下足箱。正面には傘を立て掛けるロッカー式の傘入れがある。

脱衣所への自動ドアを入れば、番台を逆さにしたような小さなフロント。美人女将が座っている。

聞けば、昭和30年代に建築して創業したという。向かいの花屋爺さん説と対立する、新たな創業年の説が出てきて困惑する。まぁ、北野神社のお膝元であるこの地には花屋の爺さんが言うように昔から銭湯があったんだろう。そして、同湯の先代あたりが、昭和30年代に経営を引き継き、建物を改築したのではないだろうか。

脱衣所は3間四方。昔は折上げ格子天井だっただろう天井はクロス張りで蓋をされている。そして、中央には昭和中期的な、丸いガラスの笠がいくつも段違いで下がる照明がある。

ロッカーは、島ロッカーが横置きに1つと外壁側にシリンダ式のSakuraⅢ錠のもの。その他、「朝日湯」と記されたTANAKAのアナログ体重計、旧型マッサージ機、籐張りの万能台なんかがある。

そして、狭いながらも手摺りのある濡れ縁があって、その下には小さい故にやや深い池があり鯉が泳いでいる。池の周りには築山があり大小の石灯籠。塀には瓦が載り、外に抜ける木戸はかなり年季がはいったものだ。小さいながらも銭湯というものに対する印象を左右する重要な庭というものを大切にしている。

浴室は、オリジナルは幅3間、奥行4間。30年ほど前に中普請をしたということで、幅が半間程度広げられている。木板ペンキ塗りの高い天井が印象的だ。2段型で、緩いカーブの高天井は4間を超えている。低い方も通常より高い。

島カランは2列で、カラン数はセンターから6・5・5・5・0・4。中央寄りの島カランの先端に長い支柱が立ち、公園にあるような水銀灯がある。灯っていないのが残念。白熱灯でも灯せば、それなりに和んだ雰囲気になるのに。。。

浴槽は奥壁に接した深浅2槽。深槽は7点座ジェット×2。メインの浅槽は内側石張りの浴槽。赤外線ランプが2つ点くものの、バイブラは動いていない。側壁格子が付いた焚出し口があって、寝風呂になっている。

2年ほど前に重油からガス湯焚きに転換。奥のコンクリ煙突もその際に短くされた。井戸水を沸かしたお湯の温度はいずれも42度くらい。柔らかでいいお湯だ。ただ、井戸水のミネラルの析出が、シャワーなどに白く付着し、汚れて見えるのが難点だろうか。

ビジュアルは、浴槽のすぐ上にL字型に広がる切り絵調の水中の熱帯魚を描いたモザイクタイル絵。その上には多少くすみが目立ち始めた丸山さんの「本栖湖（18.3.27）」のペンキ絵。

上がりは明治牛乳120円を、週末の解放感と満ち足りた気分で頂く。金曜日の19:50から20:40 に滞在。相客は10人ほど。帰り際に客がどんどん入ってきた。

お湯は柔らかいし、ペンキ絵も鯉が泳ぐ庭池もある。格天井が失われているのが惜しいものの、思いの外いい銭湯だった。

上がりは中野の友人と合流し、ご家族が魚屋という「ひろし」という居酒屋。小柄で若い店主がシシャモながら、慎重に真剣に炙っている姿に好感が持てた。

2軒目は、有名な立ち飲み「パニパニ」に案内された。今井美樹似のスレンダーな女将から、明るい笑顔とハスキーボイスで「おかえりぃい」と声が掛かる。ご常連の心を掴むもの凄い営業力だ。ご主人も朗らかで人なっつこく魅力的。お二方ともに接客と調理に向かう目つきに甘さは微塵も無い。しかし、その差の大きさが少し落ち着かなかった。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
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