差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2005年7月23日土曜日 8:04
宛先: 銭湯ML
件名: 天神湯(品川区北品川)

ナカムラです。

今日(7/22)は。「天神湯(品川区北品川)」に行ってきました。
新馬場駅(京浜急行)北口から、0.3キロ、3分くらいです。

「サクセス品川/新馬場北口通り」という商店街の真中にある。駅から旧東海道に直交する短い商店街だけど、銅版が張られた看板建築(注)や伝統的な町屋造りの商店などもある。

(注)関東大震災以降に東京および関東近県で建てられた装飾付きの商店建築

昭和51年、南馬場駅と統合され両駅の中間に駅が移される前は、新馬場北口付近は旧北馬場駅。高架になってしまったけど、かつては踏切があった、駅前商店街の風情だったんだろう。夜なので細かい点は見えないけど、かなり歴史のある街のようだ。

同湯は通りからやや引っ込んだ不整形な敷地に建っている。枯れた雰囲気のモルタルのファッサードを持ち、いい雰囲気を醸し出している。煙突は最奥に金属パイプの細いものが立っている。屋号は駅前の品川神社が由来なのかな。東京十社の1つで富士塚と板垣退助の墓がある。

この街は戦災に遭っていない。同湯は、昭和33年に経営を引き継いだ時には、直ぐに改修の必要があったというから、戦後直後あるいはそれ以前に遡る建物かも知れない。

入口の暖簾をくぐると、番台裏が結構せり出していて、タイル絵がある。傘立てがあってよくわからないけど、渓流を走るいかだの図のよう。

それと、番台の側面(せり出しているのでエントランススペース)に、精巧な木組みの傘を突き差す式の傘入れがある。旧型・小型のさくら錠が付いているけど、見たことがないレトロなものだった。

いい風合いの戸を開けると、脱衣所にはレトロな木造ワールドが広がっている。番台は、奥行きの2/3はエントランス部にせり出しているコックピットタイプ。前面がカーブしたものだけど、新建材のような安っぽさはない重厚なもの。

脱衣所の広さは、基本的には幅2間半、奥行3間だけど、手前が不整形な敷地の関係ですぼまっていてコンクリ造。外の塀と一体になっている。天井は、茶色の天板が張られているだけの簡素なもの。なんか古そう・・・。男女境の上部に丸太を這わしているのも特徴的だ。

ロッカーは島ロッカー1つと外壁側にロッカー。それに脱衣籠も現役。その他、Keihokuのアナログ体重計、大黒柱の柱時計、大きな木製のベンチと役者が揃っている。

そと壁側のレトロなガラス戸の外は、幅1メートルくらいしかないけど、整備され綺麗な水の池があって鯉が泳いでいる。最近は、みずみずしい池にはなかなか出会わないけど、本当に小さいながらいい池だった。

浴室は、幅2間半、奥行3間半の中型。天井は2段型。ウィング部のカーブの形状、高天井部の周辺処理などから、ペンキの奥の躯体はかなり古い年代の建設を感じさせるもの。

島カランは、墓石型のものが1列で、カラン数はセンターから6・5・5・6。カランは日の丸扇の刻印のある角型で茶色の取っ手のもの。タイル類は更新されていて見るべきものはなかった。

浴槽は3層で、薬湯(じっこう)、座ジェット×2機、バイブラバス。外壁側のバイブラバスが手前にせり出して、スペースを広げている。

ビジュアルは、奥壁にペンキ絵。渓谷の図で置くに高峰が描かれている。中島師のものかな。女湯には富士山が見える。浴槽上にはモザイクタイル絵。

上がはスーバードライ。他にキリンビールも2種類置いてあった。商店街にはいい店が何軒かあったが、夕方に小諸そばを食べてしまっていた。残念・・・。

北品川という歴史ある東海道の宿場町にある、レトロな銭湯。営業時間が午後2時から深夜1時までというのも、レトロ系銭湯にしては気合が入っている。金曜日の21:00から21:30に滞在。相客も多く若者がいるのも印象に残った。



中島師の渓谷。


簡素なレトロな天井が目を引く。





番台が後方にせり出している。側面に精巧な傘居れ。


コインランドリーに何故か脱衣かご。


よく見えないけど、銅版吹きの看板建築。





2駅を統合し中間地点に移しても、街へのアプローチは変らない。
それ程に2駅は近かったのだろう。

※2009.03.07(改)