差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2013年7月4日木曜日 21:58
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 天水湯(神戸市垂水区天ノ下町)

ナカムラです。

今日(6/16)は、「天水湯(神戸市垂水区天ノ下町)」に行ってきました。 垂水駅(山陽本線)から、0.5キロ、5分くらいです。

前段は、20数年振りの神戸を堪能するスケジュール。北野の洋館街を散策した後”にしむら珈琲店” で喫茶部。ネットブックPCのSDDが一杯になったので、写真バックアップ用のポータブルHDD購入。 旧西国街道という、三宮駅・元町駅・神戸駅という3駅にまたがるアーケド街をウィンドゥショッ ピング。さらに、垂水で生まれて初めてアウトレットモールなる所にまで行って、前日の強雨でリ タイアしたティンバーランドの替わりに屈強なダナー靴や、再びやって来るだろう大雨に備え雨具 などを調達した。

さて、向かう天水湯は、明石大橋を見上げる垂水漁港脇のアウトレットモールから、山陽線を渡り、 山側に1キロ弱転進した辺りにある。

山屋の世界で”天水”と言えば、沢からの水を調達できない場合に、やむを得ず使う、雨水を溜め た飲用水のことを言う。水に困る土地とも思えないけど、珍しい屋号の銭湯だ。

コンクリ煙突を有する昭和30年台半ばに建てられた伝統的木造銭湯。2階建ての脱衣所棟やモルタ ルの浴舎が、鬱蒼と蔓草に覆われて、壮絶な姿を晒している。そして、地方政治関係のポスターが そここに張られ、普通とは違った雰囲気がぷんぷんしている。

二度と開かないような開かずの雨戸が閉まった木造の二階家に、黒瓦の入母屋屋根の奥行きの浅い エントランスがついている。政治関係の幟もはためいている。暖簾を潜れば、両サイドに日之出と おしどりが描かれた錠前の下足箱が向かい合わせに並ぶ。番台裏の茶色のタイルが何ともレトロな 雰囲気だ。

さらに、その番台裏には、信楽焼のタヌキや、同湯のオーナーにして”嵐を呼ぶ男”のキャッチフ レーズで地方政界に挑み続ける、藤本氏の往年の空手家(?)時代のポスターが額装されている。 今は相応に歳を取っているらしいけど、往年の姿はかなり目立つ美男子。ちょっと足を踏み入れた だけで、やはり普通とは違った雰囲気がぷんぷんしている。

番台への扉を開ければ、白色の化粧板を張った木組みの番台に小柄の番台氏。1人で切り盛りして いるのか、出たり入ったりしていて、入る前に既に顔を合わせていたので”撮影は終わりましたか” と、呆れとも労いとも付かない言葉を頂戴する。相方が2人分の風呂銭820円を渡す。

脱衣所は、幅2間半、奥行3間ほど。天井は、平格天井。2階が載っているので1間と2/3くらい で高くはない。ロッカーは外壁側に、おしどり錠が付いたオール木製の漢数字を記したものがある。 床は籐敷き。前栽方向には障子戸のような造りの古風な硝子戸が残っている。

その他、亀井製作所の貫目盛りがメインのアナログ体重計、座式および寝式のマッサージ機なんか がある。そして、新旧の”嵐を呼ぶ男”の写真、新聞記事、関連団体の案内が満載。一風変わって いるのは、張ってあるだけでなく、小さな状差しのようなものが随所にあって、名刺大のカードの ようなものを持ち帰ることができるようになっていること。(記念に1枚頂戴してくるんだった。。。)

浴室は、幅2間半、奥行3間ほど。天井は、四角錘型で中央に湯気抜き。床のタイルは正八角形の 淡いブルーと濃紺の正方形を組み合わせた古風な感じのもの。

同湯の最大の特徴は、浴室の中央の普通は島カランがある位置に、腰掛けるための段に囲まれた、 入ることはできないくらいに幅が狭い、細長い汲み湯専用の湯槽があること。この地方独特のもの らしい。

古い小石タイルが使われていることからしてオリジナルだろう。カランは、男女境に4機、外壁側 に5機。同湯では、かつてカランは補助的なものだったと推測される。

さらに男女境には、カランの鏡のさらに上に、立って使うひげ剃り用の鏡と湯道具を乗せる台が前 後に2枚ある。これも関東では見ないものだ。

浴槽は、奥壁に接して、スチームサウナ室と深槽の主浴槽。さらに、入口の両サイドに副浴槽が2 つ。1つはジャグジーで、もう片方は空だった。

井戸水をA重油で沸かしたお湯は、42度くらいで、柔らかい。肩幅より広い妙な間隔で1穴ジェッ トが8つ均等に並べられている。後からやや無理矢理増設したようだ。

スチームサウナが面白かった。よくある熱湯シャワー式ではなく、50穴ほどの穴が開けられたパイ プから熱湯が簾のように垂れる方式。ゆったりとした気持ちになれるものだった。

ビジュアルは、奧壁に増設とおぼしき洋風の湖畔風景のタイル絵の他、地場の”旗屋”の広告が入 った、リアルな女性の入浴シーンが描き連ねられた入浴心得など。

奥壁上部に男女湯を跨ぐように「天水GTX」という謎のタイル文字がある。番台氏も知らないとい う不思議な符牒だ。。。

日曜日の19:30から20:20に滞在。内外に”嵐を呼ぶ男”のキャッチフレーズとともに地方議員(候 補)であるオーナーの新旧の写真で満ち溢れている珍妙な雰囲気に満ちた銭湯。珍しい汲み湯槽な ど地方色も豊かで、銭湯それ自体も印象に残るいい銭湯だった。

上がりの一杯は、目星を付けていた同湯隣の焼鳥屋が満員御礼で入り込めず、駅近くの「だいがく」 という地場の居酒屋に入った。昨日に続いて、まぁまぁ地場の魚を堪能できたかな。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp  
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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                             長年政治活動を続けられている



















                          浴室の女湯側




                  公認垂水廉売市場

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