差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2012年7月29日日曜日 19:23
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 戸田の湯(戸田市本町)

ナカムラです。

今日(7/27)は、「戸田の湯(戸田市本町)」に行ってきました。戸田公園駅(埼京線)から、0.4キロ、4分くらいです。

連日の猛暑。都内各所で30度台半ばの気温を記録したらしい。電機大手を皮切りに、今日から企業の第1四半期決算の開示が始まり、蒸し暑いなかの外出が多くなり、汗だくだ。京浜東北線と埼京線で戸田公園駅を目指す。”通勤快速”って戸田公園駅を通過してしまうんですねぇ。武蔵浦和駅まで行ってしまい、各停で戻り返すというヘマをやってしまった。

戸田公園駅の南には、戸田オリンピックボートコースがある。駅から遠いコース西側では、競艇(戸田ボート)も開かれているようだ。

駅から割に近い。両隣が材木屋と空地で、建物の全景が見渡せる。昭和42年にこの建物が建てられた時は、一面、畑ばかり。東京との境の荒川の戸田橋が見渡せたらしい。埼京線が大宮まで通ったのは昭和60年。その20年近くも前のことだ。

油井型の煙突を持つコンクリ造の銭湯。共同住宅などを併設する、いわゆるビル銭湯ではなく、脱衣所棟と浴舎からなる銭湯専用の平屋で、伝統的木造銭湯の構造を踏襲している。昭和中期の40年代初頭、都内ではモルタルの木造銭湯が多かったと思う。この手の建物は、都内であまり見かけない。郊外なので、複合的なビル銭湯だとオーバースペックだったんだろう。そして、戸田近辺には、同じ構造の銭湯がいくつかあるようだ。

開け放たれた窓から、ラジオの音が流れている。エントランスの上には植木が載せられ、コインランドリーの鄙びた感じとともに、独特の外観を形成している。

暫く表で写真を撮っていると女将さんが怪訝な顔で見ている。昭和49年に、この銭湯を引き継ぎ、当時はかなり客が多い銭湯だったという。出窓越しにそんな会話をした後、暖簾を潜り、松竹錠の下足箱があるエントランスに進む。

自動ドアを開ければ、女将さんが入るカウンターと長椅子だけがある、干涸らびたクッションフロア敷きの簡素なロビースペース。天井の照明など、昭和の世界が広がっている。

埼玉の料金は410円。水風呂併設の乾式サウナがあるけど、現在は追加料金不要のようだ。但し、サウナは21:00終了。相方によれば、女湯はサウナに灯りが点っていなかったというので、サウナ営業はしていないのかも知れない。

脱衣所に進むと、こっちは冷房が効いている。広さ3間四方、天井は3間四方と、伝統的な木造銭湯の大きさを踏襲。陸屋根だと思うけど、天井は切妻の平入りをイメージさせるためか、男女湯を跨ぐ緩やかな船底天井になっている。

島ロッカーは無く、ロッカーは入口方に松竹シリンダ錠のロッカーがあるだけ。その他、旧型マッサージ機、Keihokuのアナログ体重計、木製のベンチや椅子がいくつかあるくらい。質素でシンプルな脱衣所だ。

浴室は、幅3間、奥行3間ほど。天井は緩い円弧を描くカマボコ型。天板が、木板の白いペンキ塗りというのが、古い時代のコンクリ造の建物ということを現している。

島カランは1列で、カラン数はセンターから7・5・5・0。床のタイルはグレーをベースにしたユリ模様のおぼろ。タイル類は、全て新しいものに置き換わっている。

浴槽は、奥壁から外壁側に向かって、レモン湯の薬湯40度、バイブラの43度弱、7点座ジェットと打たせ湯の主浴槽の42度強が、L字型に並ぶ。主浴槽には、大きなステンレスの箱からお湯が流れ出る”二股カルシウム湯”が設置されている。さらに、立ちシャワー2つを挟んで、水風呂。押している時だけ水が注がれる。

水は井戸水を用いている。そして、仕込みは薪で、その後は重油で沸かしている。やや熱めのお湯だけど、柔らかく、温めの薬湯や水風呂とでいろんな入り方を楽しむことができる。

サウナは、ガス遠赤外線サウナ。生活銭湯派が多いのか、小生の後から入って来た相客も、サウナなど使わず、みな先に上がって行く。サウナは小生一人。音がない静寂な空間が広がっている。

ビジュアルは、奥壁一面に、古城、湖、ヨット、前衛の緑の山に後衛の雪の高嶺を描いた絵付けの洋風タイル絵。タッチが細やかで陰影に富むなかなかいい絵だと思う。さらに、男女境に既成の洋館のレリーフ的な絵が入っている。

暑い日の金曜日。20:00から20:45に滞在。最初は相客が1人だけだったけど、その後、客が増えて都合5、6人くらい。駐車場はないけど、車の通りも少ないので、クルマでやってくる客も2人ほど。ただただ、普通過ぎる銭湯だけど、印象に残る伝統踏襲型のコンクリ造銭湯だった。

※公式HP

*************************************************
ナカムラ (Masayuki Nakamura)

URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ (風呂屋の煙突)
*************************************************