差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2003年10月25日土曜日 15:43
宛先: 銭湯ML
件名: [sento-freak:00001] 富の湯(横浜市西区)

ナカムラです。

今日(10/24)は「富の湯(横浜市西区)」に行ってきました。
日の出町駅(京急)から15分くらいです。
但し、駅からは階段続きで、一気に野毛山動物園へ登って行きます。

途中、湧き水がコンコンと出ている場所がありました。暗くて良く判らなかったけど、かなりの水量。水汲み用の片手鍋が置いてあったので、汲んで行く人もいるようです。

階段を登り切ると、ランドマークタワーや桜木町のビル群が真近に見えて、思わず立ち止まります。暫く行くと野毛山動物園の入口。かつて、交番の並びに30年代的な売店、お面やおでんを売っていた売店があったけど、更地になっていました。ズーラシア(よこはま動物園)が出来て、いくつかの動物も移って行ったし、野毛山動物園へ来る人も減ったんだろうな。

富の湯はその野毛山動物園の裏側にあります。通りは、昔、小さな商店街だったようで、「三角屋(お菓子屋)」「こみやま(中華屋)」「よし鮨」「島津商店(肉屋)」という看板が残っているけど、どれも廃業してから結構時間が経つという感じ。この短い通りで営業しているのは、富の湯と居酒屋のみ。

千鳥破風には屋号と赤く温泉マークが大きく描かれている。放火で無くなってしまった「第二草津湯(横浜市南区)」みたいだな。牛乳石鹸の茶色の暖簾をくぐると、正面は鈴栄堂胡山画の相撲取りが土俵入りをする図。化粧廻しには「富乃湯」と書かれている。下足箱はおしどり錠と横に木札を差し込む新しい松竹錠が混在。下足箱の下の板の間がピカピカに磨き込まれている。

体育館の入口みたいな、大きな取っ手がついた大きな引戸を開けると、番台の前に衝立を置く式の簡易フロント。番台は立派な木組みのもの。色がこげ茶ではなく、浅い色なのが珍しいかな・・・・番台には誰もいない、何回か「すいませ〜ん」と呼ぶと、聞こえたからというわけではないだろうけど、ミニュチュアダックスフンドを抱いた主人が釜場から浴室経由で現れた。

昭和31年開業。脱衣所の天井は高く立派な折上格天井。6×11の大きさ。中型の銭湯。格子に嵌められている天井板は木目正しい、高級そうな板。梁・柱も立派な材料で造られている。梁に設置された蛍光灯以外にも、天井からボール型蛍光灯の照明器がつるされていて、全体に明るい印象。また、床、鏡、窓、トイレと、すべてがピカピカに磨き込まれている。

島ロッカー(片側16個×2)と壁側に大型のロッカーが12個ほど。脱衣カゴも5つほど積まれている。柱には「贈 職方一同」とある黒くて長い柱時計。いつからか、9:48で止まっている・・・。柱時計の前、男女の境の上には大型のテレビ。今日は阪神・ダイエーの日本シリーズ第5戦。8回ウラで阪神がリードしている。

テレビの前には机とソファー。その後ろには低いオロナミンCの自販機。初めて見るもの。飲み物は、これ以外にも四角の冷蔵庫があり、森永牛乳やビンのコーラ、ラムネが少しずつ入っている。しかし、ビンのコーラが180円とは高いな。小生はラムネ110円を飲む。「蓋を開けるヤツは?」「指で開けられるよ・・・。」ビー玉が指で押し込めることを初めて知った。

島ロッカーの上には大きな水槽。かつてはアロワナがいたらしいけど、今は水が半分以下と苔ばかり。すべてが清潔なのにこれだけが調和を乱してるかな。

浴室は、幅のある島カラン1つ。濃い肌色の大理石模様のタイルが貼られている。カラン数は、センターから7・6・6・4。浴室の幅は広い。鏡は1人ずつの丸鏡。すべてにシャワーが付けられている。脱衣所側の壁側に9点のボディーシャワーと温冷の立ちシャワーもある。

天井は2段型で高い。しかし、溝のあるプラスチック板で覆っていて、少し無粋かな。天井にカビが生えているし・・・。

浴槽は、広い方が白湯で3点ジェットに水マクラ。この水マクラが結構気持ち良かった。焚き出し口は、太陽石を設えた格子から湯が注ぎ込まれている。下には赤外線ランプ。狭い方が薬湯(バスフレンドの福寿効)。温度は両方とも熱くなくて丁度よい。43度くらいかな。

浴槽の上には西穂高のペンキ絵(11.6.26)。女湯も山稜と森の絵みたいだった。絵師は誰なのかな。淡い色使いで、しっかりとしたタッチのものだった。

初めは客が居なくて大丈夫?という感じだったけど、9時半くらいから人がやってきた。それでも数人という感じ。野毛山の裏に佇む、清潔に磨き込まれて、落ち着いた、いい湯だった。

帰りは桜木町に下って餃子&ビールという予定だったけど、ここら辺は訪れにくいので、つい、かなりの上り下りを経て、奥の「中の湯(横浜市西区藤)」を偵察。帰りに方向感覚を失って、道を尋ねたら、そのおばあさんはバス通りの藤棚まで案内してくれた。(夜中に暗がりでウロウロしている怪しいおやじなのに・・・)そんでもって、バスを乗り違えたら、小生しか乗ってないからだろうけどバス停でもない乗り継ぎのところで降ろしてくれて、バス・チケットまでくれた。

なんか、いい週末だった。




(出所)横浜浴場組合のHPより。丸山師の西穂高。