差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2003年9月15日月曜日 22:30
宛先: 銭湯ML
件名: [sento-freak:04335] 斗の湯(横須賀市佐野1丁目)

ナカムラです。

今日(9/15)は横須賀の「斗の湯」に行ってきました。横須賀線の衣笠駅から徒歩15分程度です。京浜急行の横須賀中央駅からも同じくらいですが「平坂」という、急坂を登る必要があります。また、双方の駅から頻繁にバスが出ています。

横須賀市上町(うえまち)、佐野町には多く(6つ)の銭湯があります。横須賀中央駅からの途中には「当世館浴場」「あたり湯」「大徳湯」が、衣笠駅からの途中には「松の湯」「常盤湯」が、あります。

斗の湯は県道三崎線という、片側一車線ではありますが、主要道に面しています。破風屋根の下の牛乳石鹸の暖簾をくぐると、福助のタイル絵(鈴栄堂)があります。先週見た板東橋の「末広湯」と比べ、タイル絵自体の大きさは同じで大きいのですが、福助の顔がデカイなと感じました。

下足箱は「富士錠」。先週の大船の常楽湯と同様に、木札を出し入れすると、鍵の部分が左右ではなく上下する特徴のあるものです。
関東で「富士錠」は珍しいとのことですが、2週連続で遭遇です。

入ると番台があります。しかし、横須賀地方の銭湯でよくあるように、通路をカーテンで仕切って番台には座っていないようです。しかし、番台が低く、その部分にはカーテンがないので女湯側がまる見えです。まぁ、若い人は来ないのかも知れませんが、目のやり場に困るくらいです。

脱衣所に入ると狭いと感じますが、横須賀、鎌倉の銭湯とまわっていると、10畳間くらいが標準サイズなのかなと感じます。小さいながらも格天井。脱衣所は壁側に12個のロッカーがあるほかは、脱衣かごです。先客が数人いましたが、脱衣かごを使っている人がほとんどです。

浴室も中規模。島カランの片側にはカランがなく、センターから6・4・5。センターと壁側のみシャワーがあります。島カランには鏡もありません。

湯船は浅・深の2槽。浅風呂は床がらあぶくが出るタイプ。湯温は双方の湯船に水が注がれ、かなり温めでした。洗い場から、裸で釜場に去って行った人がいたから、これが標準温度なのか?

ペンキ絵は「外房勝浦」とある風景。横須賀でよく見る海の濃い青色に特徴のある絵。久里浜の絵師が8年ほど前に描いたとのこと。ペンキ絵の下一面に池の鯉のタイル絵。九谷鈴栄堂の銘。

センターには3枚のタイル絵。かなり、絵が薄くなっている。いずれも「峯雲」の落款と「大竹画工場」の銘。昭和12年に改築して以来のものとのこと。

飲み物は牛乳類、野菜ジュース、コーラ、大塚系飲料がありました。久々にコーラを頂く。

創業は大正5年。近くの遊郭では建物の2階が落ちたりしましたが、関東大震災でも斗の湯では影響がなく、翌日から営業を行ったとのこと。創業時の建物は昭和12年に建て替え、現在の建物はその時のもの。しかし、柱の一部は創業時のものがそのまま使われているとのこと。

改めて、低い番台を見ると、釘を使わずしっかりと組まれた風格のあるものでした。

今年中にすぐ近くに大きな温浴施設が開業するとのこと。(工事中のクレーンを指指して教えてくれました。)跡取りはいないし、時流というか、時代の流れには勝てないと女将は言っておりました。

銭湯と温泉温浴施設がどの程度競合するかは判りませんが、「駄目になるね」というのが見通しのようです。ここら辺は銭湯の密集地ですが、ピークから「3分の1に減った」という銭湯が、更に減るかもしれないようです。


《H16.12.11》
〜松の湯に故笹野富輝氏のペンキ絵を撮影するため佐野町を訪れた折に