差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp> 
送信日時: 2011年11月9日水曜日 22:20
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 月の湯（世田谷区池尻）
ナカムラです。
今日（10/22）は、「月の湯（世田谷区池尻）」に行ってきました。 池尻大橋駅（東急新玉川線）から、0.6キロ、7分くらいです。
二子玉川に買い物に出かけ、帰りに三軒茶屋の栄湯や弘善湯をイメージしていたけど、いずれも定 休日。渋谷の1駅手前の池尻大橋駅で降りて、第二月の湯に向かう。三宿の第一月の湯が廃業した ので、この10月に発刊された新しい銭湯マップでは「月の湯」となっている。
同湯は表の薬屋から、公道ではないような細い道を入った所に斜めに建っている。後方にコンクリ 煙突を抱く伝統的木造銭湯だ。エントランスは黒瓦を載せたむくり破風。平入りの脱衣所棟も黒瓦 を載せている。
屋号を染め抜いた紺地のオリジナル暖簾をくぐると、松竹錠の下足箱がある広くはないエントラン ス。少し進めば、正面にカウンターがあり、小生と同年代くらいの大将がこちらを向いている。
元番台のあった場所を小さく仕切った感じの小さなロビースペース。仕切っただけなので、上を見 れば飴色の見事な折上げ格天井が視界に入ってくる。聞けば、築50年は経過 しているという。
脱衣所に進むと3間四方の空間。飴色の古い天井だけでなく、池に面したガラス戸や高窓の枠など も木製のオリジナルのままで残っている。
ロッカーは、松竹のシリンダー式のものが入口側の壁とフロントの背にあたる部分にある。この広 さからすると、やや少な目の数だ。
同湯の最大のウリは、古い木柵のある濡縁を介し、脱衣所から浴室にかけて延びる広い庭池だろう。 大きな鯉が何匹も泳ぐことから深さもあるようだ。庭石や灯籠を配した庭は2間幅くらいだろうか 見事な庭だ。裸になってしばらく眺めていたら、蚊に刺されてしまったが。。。
浴室の広さは幅3間、奥行4間ほど。天井は多少ペンキが草臥れた2段型。奥壁の中島さんの男女 ぶち抜きの富士山のペンキ絵（17.10.17.）もかなり色褪せ、汗を流したようなシミが目立つ。 ただ、釜場へ通じる扉はタイル巻きで男女それぞれのアーチ型。梁や柱はメンテナンスを要する白 木のままで維持されている。そこここに格式を感じさせるものがある。
島カランは1列で、カラン数はセンターから6・5・5・6。床のタイルは白のユリ模様で、他にも古 いタイル類は残っていない。また、ボディソープ、シャンプーが備え付けだ。
浴槽は、奥壁に接した深浅2槽。深槽が気泡の薬湯で43度強。浅槽は7点の半寝湯的なリラックス バス、2点スーパージェット、打たせ湯（非稼働）というラインナップで42度くらい。お湯は井戸 水と水道の混合。焚き物は、有れば薪で、無い時は重油で沸かしているようだ。
ビジュアルは奥壁のペンキの他に、男女境の端っこにある立ちシャワーブースの中に、つがいの丹 頂を描いた絵付けのタイル絵がひっそりとある。男女境は淡い模様が入った新しいタイル。その2 枚分のスペースに後から絵の具を盛ったのだろうか。隠してあるかのような、でも、いい絵だ。こ れほどに謎めいた感じで、いわくあり気に描かれている絵は初めてかも知れない。
脱衣所の柱に「池尻電停前/うさぎ薬局」と記された大きな寒暖計が下げられていた。昭和44年ま で地上を走っていた旧玉電時代のものだ。今は池尻大橋駅となって同湯のある池尻とは少し距離が あるけど、この辺りは旧池尻電停からは近かったようだ。
土曜日の19:30から20:20に滞在。相客は2人ほどで、浴室はほとんど1人の時間が長かった。
浴室に誰も居なくなったので、中島さんのペンキ絵の撮影を願い出た。しかし、ストロボの光やシ
ャッター音が女湯に届くので遠慮してほしいと。もちろんストロボなど発光させないし、シャッタ
ーの音もするかしないかのカメラを使っているけど仕方がない。
番台の場合は、眼が届くのでＯＫをもらえるケースが多いけど、直接眼が届かないフロント式だと 断られるケースが多い。本当は記憶に止めるだけでいいのだろうけど、1年365日、カメラを持た ないことはない。写真をやっていると、なかなかそんな境地にたどり着けない。。。
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ナカムラ （Masayuki Nakamura）
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