差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年3月24日水曜日 0:33
宛先: 銭湯ML
件名: 鶴の湯(世田谷区若林)


ナカムラです。

今日(3/21)は、「鶴の湯(世田谷区若林)」に行ってきました。
ちょっと遠いけど、豪徳寺駅(小田急線)で降りて、もうひとつの「鶴の湯(世田谷区豪徳寺)」を経由、世田谷線沿いを散策しながら・・・。
世田谷線を見るのは久し振りだなぁ、なかなか立派でカラフルな電車が走っているのに驚いた。

さて、鶴の湯。松蔭神社前駅から2分くらい。駅からも煙突と浴室棟の後ろ姿が望める。
表は、かなりくたびれているけど立派な千鳥破風の黒瓦。
脇にはこれまた風格のある掛松を従えている。そのすぐ下に屋号を記した行灯。なかなかの風情。

この銭湯の最大の特徴は、脱衣所棟の屋根が古い商家建築で見られる出桁造(だしげたづくり)になっていること。
恐らく、昭和初年頃の建築物と思われる。

入口周りはクリーム色のペンキで厚化粧されているので、何の趣もないけど、暖簾上の摺りガラスにさりげない模様が施されている。
下足箱は松竹錠。古いものと新しいものが入り混じっている。

番台へ通じる入口は自動ドア。番台には年の頃、70歳代半ばの親爺が鎮座している。なかなか洒落たいでたち。
番台は高く、前面が丸くカーブしている昭和中期的なグレー木目の新建材が張られているもの。

脱衣所の広さは、幅3間、奥行2間半。
天井は、格天井(5×11)だけど、折上げではない。
折上格天井の隆盛がいつからは知らないけど、恐らくそれが流行る以前の建物だからだと思われる。
しかし、それ以外に古いものはない。

床は古いカーペットが敷き詰められていて、何かホコリっぽい。
大黒柱には、真新しい金色の時計(似合わないなぁ・・・)。
その下にはホコリっぽいヒーター。男女境の上にはホコリっぽい大型テレビ。何かホコリっぽい。

真中に島ロッカー20個。それに、外壁側と入口側の壁にロッカー。いずれも松竹のシリンダ錠のもので新しい感じ。
それに、浴室側に洗濯機2台と、四角い小さな扉がついたかなり古そうな乾燥機?。
扉を開けて中をのぞく勇気はなかった・・・。

浴室への入口の自動ドア。温泉旅館、スパー銭湯を含め、浴室の入口が自動ドアっていうのは多くない気がする。
浴室の広さは幅3間、奥行4間。天井は3段型といってもいいもの。
湯気抜きの部分の下はカーブしたウィングがあって、その次は直線的にウィングが伸びている。

浴室内のペンキはそれなりにしっかり塗られているけど、かなり重ね塗りが目立って、デコボコしれいる。
それからして、かなり古い浴室棟であることが窺われる。
そして、天井に何故か大きな赤い丸。
天井は長方形をしていので、正に「日の丸」になっている。国粋主義者の銭湯なんか・・・。

島カランは2列。カランはセンターから6・5・5・5・5・6。
外側の島カランにはシャワーが付いていない。また、外壁側のシャワーのみホースの付いたハンドシャワーになっている。
カランは日の丸扇の丸味のある旧型で統一されている。

ビジュアル物は、奥壁にドーンと男女ブチ抜きで流麗な富士山。中島師の手になるもの。H12.7.22と記されている。
男女境にはモザイクタイル絵。風車、白鳥、湖といった絵柄。

浴槽は3層。外壁側が「天然鉱石エッキス」という乳白色の薬湯。42度くらい。
真中が浅槽で、半分がバイブラバス&赤外線ランプが付いている。43度くらい。
センター側が深槽で、底から弱弱しく気泡が出ている。だいぶ水を投入していた人がいたので、これも43度くらい。

「エッキス」って何だろう。
「大星薬品株式会社」「南武線矢向駅前」とある。
白い大きなアクリル板に、青一色の旧字体、絵入りで効能等が書かれているけど、
ホーロー看板じゃないから、レトロ感を模したものなのかな。なんか謎だ。

それにしても、「エッキス」って何だろう。白濁しているけど、天然鉱石だけあって粉っぽい。
「南武線」というと、小生は次の連想が働く「奥多摩→石灰岩→南武線・貨物列車→川崎・扇島→アサノセメント工場」。

この白濁した天然鉱石っていうのは・・・。小学校の時、校庭にラインを引くのに使った石灰じゃないか?!・・・。
「石灰→アルカリ→肌がスベスベ」、これは考え過ぎか。

表に自販機があるとはいえ、脱衣所にはドリンクがない。
親爺に聞くと、昭和42年にここを買い取って、サラリーマンから転身したらしい。
それゆえ、築年数は判らないとのこと。
でも、隠し部屋や仏間等はいい材料で造られているので旧状のまま使っていると。
恐らく、それらも戦前期のものなのだろう。

それに、風呂屋には興味がなく、だから詳しくないと。
風呂屋はケチで、正月も作業着で集まるので嫌いだと。

この親爺、江戸っ子なのかな。そんな気がした。
それに、何か、他にお店を構えて事業をやっているらしい。
聞いても教えてくれなかったけど・・・。