差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年5月23日日曜日 23:52
宛先: 銭湯ML
件名: 長生館湯(渋谷区千駄ヶ谷)

ナカムラです。

今日(5/21)は、「長生館湯(渋谷区千駄ヶ谷)」に行ってきました。

代々木駅(東口)から出て明治通りを渡って、0.3キロ、5分程度です。
代々木駅は、かつて馴れ親しんだ駅だけど、代々木駅の東口から出るのは初めてかも知れない。
昔は新宿駅の貨物ヤードの外れだったハズだけど、地下道を出るとNTTドコモの高層ビルがあったりと、状況は一変していて驚いた。

同湯のある道は、明治通りを渡り、こんなところに商店街があったのかという小さな商店街。
昭和5年築の同湯と同じく、戦災で焼けなかったと思われる家もチラホラ。
(同湯の両サイドは空襲で焼けたらしい。)

入口は唐破風の黒瓦屋根。その上にはむくり破風気味の黒瓦屋根。どちらも正面はやや煤けた漆喰が塗られている。
正面右側の男湯の庭からはしっかりと掛かり松も枝を伸ばしている。

入口の両サイドは改修されていてガラスブロックで組まれている。暖簾はなし。
エントランスもそこそこの奥行きがある。天井は格天井ではないけど、なかなか凝った意匠と、いい材で造られている。
下足箱はSakuraG。番台へ通じる戸もなかなかレトロな木戸。上に「男」と赤いガラスに白抜きで書かれている。

脱衣所の広さは幅2間、奥行3間と中型の銭湯。
天井は格天井(8×10)だけど折上げにはなっていない。恐らく、折上げ格天井が流行る前の建築だからだと思う。
梁は茶色に煤けているけど、檜らしい。

天井からは、愛嬌のある玉が付いている天井扇のポールが伸びている。
女将にこの天井扇は現役が聞くと、羽根はどこにあるか判らない言った後に、試しにスイッチを入れてくれた。
男湯のは少し動いただけだったけど、女湯のものはゆっくり回転した。

外壁側と縦置きに島ロッカーが1つ。ともに錠はSakuraU。
その他、冷蔵庫、HOKUTOWのアナログ体重計、洗面台、テーブル&丸椅子などがある。余計はものはない。

これもオリジナルらしいけど、木製の桟のガラス戸を開けると小さいながら庭がある。
正面奥に石灯篭。
その前は、昔は池だったとのこと。池に水を注いでいた古いカランが残っている。

庭の脇にあるトイレは昔は無かったらしい。女将もどうしていたのかなぁと。
三崎の「高野湯」で、トイレを所望したら釜場へ通されたけど、ここもそんなだったのかな。

浴室は幅2間、奥行4間。天井は2段型。
照明器具(蛍光灯2本のが2つ)が、ウィングを支える梁に吊るされている。
ここに照明器が付けられていた痕跡が残っている銭湯は多いけど、今もここに照明器が付いているというのは少ない気がする。

島カランは1つで、カランはセンターから7・6・6・7。カランは取ってがブルーの角型のものですべてにブルーのシャワーが付いている。

浴槽は深浅2槽。外壁よりも30センチくらい外に張り出した変った構造。
深い方がバイブラで、浅い方が3点ジェット×2に赤外線ランプ。温度は両方とも42度くらいかな、やや温いお湯だった。
でも、このお湯はなかなか肌にしっとりくるいい湯だった。
後で女将に聞くとやはり井戸水を沸かしているとのこと。
表現しずらいけど、水道水を沸かした湯がやや棘とげしいとすれば、井戸水を沸かした湯にはそれがない気がする。

ビジュアルは、中島師の富士山。その下には既成の熱帯魚のモザイクタイル絵。
男女境にも海、灯台、かもめのモザイクタイル絵。

昭和5年築の古い銭湯。昭和30年くらいに、先々代が経営を引き継いだらしい。
檜の柱がしっかり組まれているため、今でも建物の狂いは出ていないと言っていた。

金曜日の21:00〜21:45。相客は地元の年配者と若者が5〜6人ほどだった。
新宿まで歩いて10分。こんなところに、なかなかなレトロ銭湯だった。







明治通りから入る小さな商店街にある。


代々木駅の裏口は貨物操車場だった。


代々木駅の裏口