差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2013年7月20日土曜日 0:27
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 若葉湯(新宿区若葉)

ナカムラです。

今日(6/28)は、「若葉湯(新宿区若葉)」に行ってきました。 四ッ谷(東京メトロ丸ノ内線等)から、0.8キロ、10分くらいです。

どの方面からアクセスしようとしても、急な坂を下ることになる。迎賓館の脇を通り、学習院の初 等科の脇から鉄砲坂を降りる。途中には瀟洒なマンション群、三国シェフの雰囲気が良さそうなレ ストランなどがある。

しかし、坂を下って行くとだいぶ趣が異なる。旧鮫ヶ橋町界隈。元々は川だった界隈を貫く湾曲し た道があって、そこが古い商店街になっている。

だいぶマンションに替わったけど、今でも庶民的な街が広がる。同湯は、そんな商店街の中心。油 井型の煙突を見つけ、マンションに囲まれたその煙突から、勢い良く煙が出ているのに驚かされる。

昭和中期的なモルタル造の銭湯。昭和38年と現在の航空写真を見比べ、今も古い建物が引き継がれ ていると期待していた。しかし、同じ伝統的木造銭湯ながら、想像していた建物とは異なっていた。

大将によれば、昭和40年代半ばに経営を引き継ぎ、以来、建替えは行っていないという。しかし、 同湯は戦前からの銭湯だろうと推測されていた。昭和22年の写真では、戦災で銭湯の建物は写って いない。戦後築の建物が、昭和38年から昭和40年代前半の間に建替えられたようだ。

しかし、築50年近い現在の建物もなかなか味わい深い。存在感ある煙突、コインランドリーの古い 看板、紺地にゴシック文字の屋号染め抜きの珍しい暖簾、名糖牛乳のベンチで崩れそうに眠る警備 会社の交通整理のオヤジ。隣のレトロな理髪店は火事で焼けている。これらを合わせたシャビーな 外観にぐっと惹き付けられる。

暖簾を潜るといきなりの硝子張りのフロント。番台を反対にしたフロントを、広くはないエントラ ンスに無理矢理押し込んだような独特の構造。左右にある旧型さくら錠の下足箱は、入口方に向か って靴を出入れする配置になっている。

脱衣所は、幅3間、奥行3間半くらい。天井は山型の船底天井。何本かの支えと支えの間は、壁と 同様にやや煤けた凹凸のある白い壁材が使われている。

ロッカーは、少し増築された壁側に松竹錠シリンダ式のものが並ぶ。その他、トレーニング機器、 Keihoku Hakariのアナログ体重計などが置かれている。

前庭にあたる部分には、ポリの浴槽が3つほど重ねられ、金魚だか鯉が泳いでいる。客へのビジュ アルというよりは、趣味で飼っているという感じだ。

浴室は、幅3間、奥行4間くらい。天井はプラ板張りの2段型。島カランは1列で、カラン数はセ ンターから6・5・5・5。床のタイルはユリ模様の白。タイルやカランなど、全体的に井戸水の析出 物だろうか、白い付着物が多く美観を損ねているのが残念だ。

大黒柱は深緑色のタイル巻き。左右のサブの柱が、唯一、素材そのもの姿を晒している。その古色 蒼然とした古さが気になった。戦後直ぐに建てられ、ひょっとしたら、改築されていない部分が有 るのか。。。

浴槽は、奥壁に接した深浅2槽。浅槽は3穴ジェット×3。深槽はバイブラ。井戸水と水道をブレン ドしたお湯は悪くない。しかし、湯温はいずれも43度くらいと、蒸し暑い季節には少々熱い。

ビジュアルは、奥壁に中世の騎士の戦いをデザイン的に描いたモザイクタイル絵。あまり他で見た ことがない類の絵。でも、浴槽の奥の絵は、やはり風景画がいい。

上がりの一杯は、直ぐ近くの名糖の牛乳販売店からなのだろう、”安曇野”という牛乳100円。冷え てはいなかったけど、商店街の牛乳屋の牛乳と分かるもので良かった。

金曜日の19:55から20:45に滞在。相客は2人。ロケーションや味わい深い外観に比べて、内部は やや殺風景で特徴に欠けるものだったかなぁ。。。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp  
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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                                 東京メトロ丸ノ内線四ッ谷駅




                              鉄砲坂。三国シェフのレストラン




          若葉湯横の理髪店(火災で休業中)。若葉湯からは、何れの方面も上り坂になっている。




                             元は川だったらしい谷間の商店街










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