柳湯（新宿区市ヶ谷柳町）

差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2015年4月26日日曜日 22:15
宛先: 銭湯ＭＬ (sento-freak@freeml.com)
件名: 柳湯（新宿区市ヶ谷柳町）

ナカムラです。

今日（1/18）は、「柳湯（新宿区市ヶ谷柳町）」に行ってきました。牛込柳町（都営大江戸線）から、0.1キロ、1分くらいです。

牛込柳町駅至近の湯。築創業は昭和42年。当然に改築かと思って尋ねたら、当初からビル銭湯として創業したという。

高校山岳部時代によくランニングで通過した交差点は、道路拡幅のために空き地が目立つ。同湯の有る、交差点より一筋入った通りは暗くひっそりとしている。看板の灯りやコインランドリーも無いので、近くで風に揺れる暖簾を確認して、このビルが銭湯であることが分かる。

靴脱ぎ場としての小さな簀の子が、自動ドアの外側に敷かれている。それほどに同湯のエントランスはコンパクト。入って右手、畳一畳ほどの小さなスペースに松竹錠の下足箱が向かい合わせ。頭上にはご常連の留め桶の棚がある。2人以上交錯するとにっちもさっちも行かなくなってしまう。

入口の左手にフロント。冷蔵庫と木製のベンチがあるものの狭小の穴蔵のようなスペースだ。いつものように、相方が2人分の風呂銭を払い、小生がスタンプ帳を差し出す。

同湯は地下100メートルから汲み上げた天然水を薪で沸かしている。窪地に建つ同湯の煙突よりも周囲の建物の方が高い。日本初の沿道大気汚染事件の「牛込柳町鉛中毒事件※（昭和45年）」が起きた土地柄。煤煙に敏感だろう土地にあって、窪地の同湯にとって薪を燃す煙が問題になることがないか聞くと、着火の時に少し煙が出るものの燃やし続けていればさほど煙は出ないらしい。大将だろうか、若く柔和な物腰のフロント氏が教えてくれた。

※「牛込柳町鉛中毒事件（昭和45年）」指呼の距離にある牛込柳町の交差点は、交通の要衝ながら交差点全体が窪地で、自動車が激増した昭和45年に周辺住民が排気ガスによる鉛中毒におかされている疑い（後に因果関係は否定）があるとされた。日本における初の沿道大気汚染事件だった。

暖簾を潜り脱衣所に進むと、幅3間、奥行2間ほどの広さ。壁には鈴和建設寄贈の事務用よりも多少品がいい丸時計が掛かっている。コインランドリーが無いので、消失ブランド”SANYO”の洗濯機2台、TANAKAの小振りのアナログ体重計、自販機などが並び、狭いスペースを圧迫している。

ロッカーは入口方壁に並ぶ。下足の木札と交換にフロントで渡された3番のロッカーは縦長の大きなロッカーだった。隣に外国人がやってきた。銭湯ビギナーらしい彼にはこの狭い空間でも広く映るらしく、天井を見上げてはワォを声を上げている。人生観が変わるような、伝統的ないい風呂屋を教えてあげたくなる。

浴室は、幅3間、奥行3間半ほど。天井はフラット、プラ板張りで高さ2間半ほど。島カランは2列でカラン数はセンターから4・4・4・0・5。床のタイルはユリ模様の白色。奥壁には鈴和建設の十八番、写真による鮮やかな緑の竹林が全面に広がっている。

浴槽は、奥壁に沿って深浅2槽。深槽は1穴スーパージェットと7点座ジェットが1機ずつ。主浴槽の浅槽の一部は寝湯になっている。お湯はすっきりとした地下100メートルの深井戸からの天然水を、煙を抑えたおそらく良質の薪で沸かしている。湯温は43度弱とやや熱め。しかし、この寒い日には余計に心地いい。

サウナは、畳二畳ほどの狭さが、さらに柱にスペースを喰われている。2人が定員だろうか。ドアの前に桶と椅子が並んでいたので余り利用する人は多くないようだ。水風呂は1段踏み込み段を昇って入る関西に多い、東京では珍しいタイプだった。子供の頃、井戸水は”夏冷たくて冬温かい”と教えられた。しかし、水風呂として入るには冷たい18度くらいだった。サウナ、水風呂、熱めの浴槽と何回も往復を繰り返す。サウナは狭いけど、無料での提供にただただ感謝する。

日曜日の20:00から20:50に滞在。相客は7､8人。よさ気な銭湯なので以前から気になっていた。しかし、金曜日が休みなので会社帰りに寄ることがままならなかった。建物などのハード面でこれといった特徴はないんだけど、上がって顔がほころぶ良い銭湯だった。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com（風呂屋の煙突）
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