差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年5月17日日曜日 13:59
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 吉根湯(青森県むつ市大畑町新町)

ナカムラです。

今日(5/3)は、「吉根湯(青森県むつ市大畑町新町)」に行ってきました。 下北駅からレンタカーを走らせ、20キロ、30分くらいです。

むつ市は、旧田名部町と軍港の町だった旧大湊町が1959年に合併してできた市。それぞれに遊 廓があった。田名部市街の旅館建物の中央に廻り階段がある水月旅館に泊まり、双方の遊廓 の痕跡をたどる。

旧田名部神社(現第一田名部小学校)の麓に2軒あった旧田名部町遊廓の痕跡は無い。むしろ、 現在の田名部神社の周辺に密集する小さな飲み屋街(神社横町)が良かった。かつての青線的 な怪しさはもちろんだけど、この小さな街に何でこんなにも飲み屋が集積しているのかと驚か される。

旧大湊町遊廓は、港から市街を抜け、坂の途中に5軒ほどの遊廓があった。現在は地元企業の 社長邸宅の中にその一部が残されている。

「全国遊廓案内」に記載がある本州最北の2つの遊廓跡を探索した後は、一路、大畑へ向かう。 大湊から北に15キロ、北海道・渡島半島に対峙する港街だ。ここに、海側から、菊の湯、錦湯、 吉根湯と3軒の銭湯が並ぶ。

菊の湯は、火災で建て直したために新しい銭湯。吉根湯、錦湯がレトロ系銭湯だった。そのう ちの吉根湯に入る。

創業は80余年。かつての建物の横に建てられた現在の建物も築45年ほどが経過した。

モルタルのファッサードに「吉」「根」「湯」と緑の文字で屋号が記されている。さらに緑の小 屋根を冠したエントランス。グレーモルタルのファッサードもコケが生えているのか、どこと なく緑がかって独特の風合いがある。ステーで支えられたパイプ煙突もやや傾いている。辺境 の銭湯というに十分な趣がある。

のれんは、エントランスの戸の内側に架かっている。風雪が厳しい土地にある銭湯のお約束で もある。男湯の戸の左右に並ぶ下足箱の錠はツルカメとカナリア。傘立てはTaiyo錠とな かなかにバラエティーに富んでいる。

戸を開ければ、当然に番台があって、深い焦げ茶色のレトロワールドに圧倒される。風呂銭を払 おうにも番台に女将はいない。女将を探すものの、番台のすぐ向こう側には木製のベンチがあ って、目隠しも一切ないのでオールド・レディの裸身が、おっとっとと、視界に入ってくる。

何度か叫ぶと、ようやくワイワイガヤガヤの女湯から女将がやって来る。そして420円を払 う。

脱衣所の広さは2間四方。天井も壁も木目プリントの新建材。まだ電気が点っていないためほ の暗い空間になっている。床にはビニールのゴザが敷かれている。外壁側に四角く区切った脱 衣棚があるほか、かごが積まれている。ロッカーはない。その他、HOKUTOWのアナログ体重計、 旧型マッサージ機、飲料が数本しか入っていない2枚扉の冷蔵庫があるだけだ。

浴室は、幅2間、奥行3間ほど。天井はへの字型のプラ板張りで真ん中に四角い湯気抜きがあ る。

島カランは1列で、カラン数はセンターから、6・3・3・7。床のタイルは茶とベージュの 組み合わせて、その他のタイルも更新されていて古いものはない。

浴槽は、奥壁に接して深浅2槽。湯温は双方ともに42度くらいと入りやすい温度。薪焚きの 湯は柔らかく、多少クルマの運転に疲れた身体に染みわたるいいお湯だ。

変わった仕組みとしては、奥壁に釜場へ通じる薪を燃やす匂いが流れてくる小窓がある。辺境 の銭湯とはいえ、濾過・循環設備を持つと思われる同湯で、これが使われているとも思えない けど、かつては釜場と浴室の応答の手段として使われていたのだろう。

今回下北半島で接した銭湯のトイレはすべて非水洗だった。同湯もまたしかり。

13:30から20:00の営業。日曜日の14:45から15:30に滞在。相客は7、8 人ほど。女将の人柄もあるのだろう、ほのぼのした中にも、そこそこ活気ある銭湯だった。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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大畑・サウナ菊の湯