吉野湯（江戸川区平井）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2010年10月19日火曜日 21:54
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 吉野湯（江戸川区平井）

ナカムラです。

今日（9/25）は、「吉野湯（江戸川区平井）」に行ってきました。平井駅（総武本線）から、0.5キロ、5分くらいです。

11月1日からの個展を控える大倉ひとみ氏と、神田のレトロ喫茶「ショパン」で打ち合わせ。そして、小津安二郎もよく訪れたという洋菓子店「柏水堂」の喫茶室をハシゴ。まぁ、レトロ喫茶探訪部の部活を兼ねて。。。

その後、入る銭湯を「千代の湯」に定め、平井に移動する。初めて降りる駅。先ず、旧花街だった駅の南西の一角を歩く。「まじま」という古い料亭や、いくつかの元料亭の建物を見ることができた。街割りにもそれらしい痕跡がある。東京に50近くもあった花街。これでいくつくらい訪れたのか・・・。

東京の日の入り時刻は17:30ころ。だいぶ日が暮れるのが早くなった。日没15分くらいが夕景撮影にとっていい頃合いになる。その時刻に千代の湯の前に到着した。

しかし、煙突から煙は出ていない。暖簾も下がっていない。明かりも点いていない。定休日は木曜日のはず。。。特段の張り紙などもなく、特に客がやって来る風でもない。今日、同湯が営業していないことは周知のことのようだ。定休日が変更されたのか、休業中なのか・・・。

向かいに古いスナック跡が残るロケーション。コンクリ煙突を有する千鳥破風＆唐破風の豪壮な東京銭湯だった。また出直さなければならない。

蚊に刺されながらも、気を取り直し、転進先を検討する。そして、最も近い「吉野湯」に決めた。

吉野湯は、創業大正11年。現在のモルタル風の簡素な建物は昭和44年に建てられたもの。後方にコンクリの煙突が見える。

塀の向こうに見える庭木、コインランドリーや、入口までの小さなアプローチにある植栽など、全てがきれいに整備されている。自転車が多く止められていて、客の出入りも多い。同湯より北側の銭湯の多くが廃業したこともあって、かなり繁盛している銭湯のようだ。

下足箱は松竹のアルミ板鍵のもの。男湯だけはフロントでロッカーキーとの交換が必要。お行儀が悪い客が多い銭湯でよくあるシステム。

脱衣所は、幅3間、奥行4間ほど。天井は木目プリントの新建材、壁は白柄のクロス張りというもの。ロッカーは外壁側にSakuraⅡ錠のもの。その他には、背もたれのないベンチと、小さな水槽が置かれているくらい。水槽の横には富山の観光案内のパンフレットが置かれている。

変わっているのは前庭。同湯のコインランドリーは男湯の庭に増築されている。しかし、庭を全部は潰していない。縮小した小さいスペースに池を設え、庭木や石灯籠などを配している。池に水が無いのは残念だけど、このようなかたちで庭を残しているのに初めて遭遇した。

浴室の広さは、幅3間、奥行4間ほど。天井はプラ板張りのドーム型で、真ん中に2間四方の湯気抜きがある。

島カランは1つで、カラン数はセンターから7・6・6・6。タイル類は床にグレーの足触りのいい厚手の物が使われるなど、総じて新しいものに置き変わっている。そして何より清潔。好感度が高い浴室だ。

浴槽は奥壁から外壁に向かってＬ字型にある。釜場側が「高温」槽で、温度はそうは言っても 42.5度くらい。Ｌ字型の主浴槽は、初めて見る「常温」というもので、7点座ジェット×2の水枕付き、バイブラ、岩盤浴泉という設備が置かれている。湯温は41.5度くらい。日本酒の燗の温度じゃあるまいし、「常温」を見て思わず笑ってしまった。

ビジュアルは中島さんの「立山」。「立山をあおぐ特等席/富山市」と、いつもの中島さんの文字よりも大きな文字で記されている。中央には町田忍氏が描いた富山のライトレール（新型路面電車）。

ここだったのか。。。

富山市がスポンサーになって、富山と東京の浴場組合を経由し、東京の5つの銭湯に中島さんと丸山さんが立山のペンキ絵を書いたということは知っていた。そして、路面電車を町田さんが描いたことも。

千代の湯敗退で同湯に流れてきたけど、その5つの銭湯の一つが吉野湯だったことは憶えていなかった。清潔な浴室で、お湯はいい。そしてこの希なるペンキ絵。かなり得した気分になる。

ちなみに富山市がスポンサーとなって立山のペンキ絵が描かれたという他の4つの銭湯は、押上・第二香藤湯、代々木八幡・八幡湯、田端・仙石湯、代田橋・大黒湯。

上がりは、「贅沢プレミアム牛乳」という小瓶の牛乳を試してみた。少し甘いクリームみたいな牛乳だった。風呂上がりの飲み物としては、イマイチだったかな。他に「柴又ラムネ」というラムネがあった。

土曜日の18:20から19:10に滞在。相客は優に20人は超えていたと思う。清潔、いいお湯、珍しいペンキ絵。いい銭湯だった。

一杯は、駅前の「日本橋紅とん」に入った。いつも混んでいる八重洲の店に何度か入れなかったことがある。

まぁ、安く、味も不可でなかったものの、店員が少なすぎてサービスが行き届かない。大半の客が、フリーの飲み放題を頼んでいたけど、そのせいかやや荒んだ感じの店だった。。。

*************************************************
ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp　　
URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ （風呂屋の煙突）
*************************************************

	割烹まじま
神田・ショパン