差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年5月17日日曜日 13:39
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 葭の湯(青森県むつ市海老川町)

ナカムラです。

今日(5/2)は、「葭の湯(青森県むつ市海老川町)」に行ってきました。 下北駅(JR大湊線)から、1.7キロ、20分くらいです。

大湊線の終点の一つ手前の下北駅。大正時代に最短で北海道へ渡たるルートとして、ここから 大間崎までの鉄道が計画された。昭和14年に18キロ先の大畑町まで開通(旧国鉄大畑線)し、 その先は高架橋などとともに建設途上の路盤は遺棄され、その未成線の遺構が今も所々に残っ ている。同湯のある下北駅は、そんな本州最北端方面への玄関口になっている。

同湯は、釜臥山を望む田名部川畔の葦原に昭和37年に創業。当時、付近は一面の葦原だった。 「葭(よし)」とは葦の若い頃の名前らしい。先代が葦のように力強く、この銭湯が発展するよ うにとの思いを込めて命名。その先代が昭和40年代に記した「葭の湯に因む」という銘板が 奥壁にはめ込まれている。

同湯に近づいて、変わっていると思うのは、浴舎に横に連なる建物に油井型の煙突が3本立っ ていることだ。一部は現役ではないようだけど、初めて遭遇する珍妙な光景だ。

独立した平屋の銭湯建物。ファッサードは簡素なモルタルで、エントランス部には三角の小屋 根が張り出している。下足箱に靴を納め、自販機プラスチックの入浴券を買う。420円を入 れてボタンを落とすとプラスチックの札がカラン・・・と落ちてくる。今年から仕舞いの時刻 が22:30と30分短くなったようだ。

フロントから脱衣所に入れば、幅3間、奥行4間ほどの広さにSSLOCK錠のロッカー、HOKUTOW の150キロ計測のアナログ体重計、脱衣籠などがある。天井は一般住宅よりやや高い程度。 天井には天井扇がある。

浴室は、幅3間で、奥行4間の前室と奥行2間の後室に分かれている。天井はプラ板張りのド ーム型で真ん中に四角い湯気抜きが開けられている。

島カランは1列。カラン数はセンターから8・5・5・7。やや黄ばんだ白ケロリン桶と3足 の白ケロリン桶が8つもある。これは女性用の洗髪用との認識だけど、男湯に8個もあるのは 何故なのだろうか。もっとも、使っている客は見あたらない。

浴槽は奥壁に接して3点座ジェット×2と粉っぽいミネラル系の薬湯が入っているバイブラ槽 になっている。3点座ジェットが浴槽組み込みではなく、ネイキッドな配管仕様というもので 初めてみるタイプ。ビジュアルはないけど、奥壁に例の「よしの湯に因む」というやや気負っ た口上書きの銘板。ありそうで、なかなかない類のものだ。

後から増築されたと思われる奥行2間ほどの後室があって、奥壁の左右から後ろに回ることが できる。そこには、座面に水が流れる清潔なスチームサウナ、水風呂、湯温ぬる目の薬湯槽が ある。

駐車場もそこそこあって、5連休初日の土曜日の夕刻には家族二世代がクルマでやって来る光 景がいくつもあった。

趣きの面でも、設備の面からも特筆する銭湯ではないかも知れない。しかし、客が集まること で分かるように、居心地のいい銭湯だった。

帰り際にご主人と話していたら「下北のお風呂やさん(平成9年)」という個人出版の本を譲っ てくれた。軍港を中心に発展した大湊に3軒あったという銭湯は、当時既に廃業していたのか、 掲載がなかった。

上がりは田名部の町の市街地まで1キロほど歩いて魚系の居酒屋に入った。大間産なるマグロ を頂いたけど、どう考えても天然のクロマグロではなかった。そういったものは高く売れる、 築地に行ってしまうのだろう。。。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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