差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2014年11月30日日曜日 7:42
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: ゆ家和ごころ吉の湯(杉並区成田東)

ナカムラです。

今日(10/3)は、「ゆ家和ごころ吉の湯(杉並区成田東)」に行ってきました。新高円寺駅(東京メトロ丸ノ内線)から、1.6キロ、18分くらいです。

新高円寺で青梅街道から五日市街道が分岐する。しばらくは五日市街道を西に進んで行く。この街道沿いは特に武蔵野の風情が色濃く歩いていて気持ちがいい。同湯がある南の方に道を折れると古くからの邸宅もちらほら残る。

昭和43年の浴場銘鑑を見ると南麻布の「黒水温泉竹の湯」と同一の経営者の名前が記されている。戦後昭和22年から38年の間に、周囲に畑が広がっていた頃、竹の湯の支店なのか「吉の湯」として開業したようだ。

昭和38年の航空写真を見ると2段型の伝統的木造銭湯とは異なっている。先代の建物はコンクリ造の建物だったようなので、開業当初からコンクリ造の銭湯だったのかも知れない。

その建物が2007年に現在の建物に建て替えられた。やや辺鄙な場所なので賃貸住宅は難しいのかも知れない。マンション下駄履きの銭湯ではなく、経営者の居住部分と思われる他は基本的に銭湯のみで構成されている。純粋な住宅地の銭湯が、銭湯単独として建て直されるのは希有なことだと思う。設備は上品なプチスーパー銭湯と言っていいもの。若い女性2人で経営しているというだけあって、そんな気遣いが所々に見て取れる。

3台分くらいの駐車場があるだけなので、歩いて来る客のみ。周辺住民との取り決めで仕舞いは22時と少しばかり早い。その代わりスタートは13:30から。なかなか条件が難しい中で8年目に入った。

脱衣所は、幅3間、奥行2間ほど。さほど天井は高くない籐敷きの空間。体重計があるくらいで余計な物がないシンプルな空間。下足札と予めフロントで交換した鍵を使うロッカーは、ベージュ色の壁とマッチした実にシックなものだった。

浴室の幅は3間。手前の3間が室内で、湯気抜きのあるプラ板張りの山形天井。その奥4間半が屋外で、板を格子のように組んだ藤棚的なものを被せたスペースになっている。この茶色の”藤棚”は、なかなか洒落ているし、屋外の良さをそのままに視界や直射日光を程良く防御してくれている。

室内には、ガラス張りの奥壁から張り出すように、3種のジェット系設備があるセンター浴槽が延びる。島カランは無く、カラン数は外壁側に8、脱衣所側の壁に5、男女境側に4。カラン周りは湯桶を載せる台がある関西風の造り。お湯は井戸水を恐らくガスで沸かしたもので42度強。すっきりとした中に円やかさを感じるいいお湯だ。

屋外には壷湯槽が2つと、掘り込んだ浴槽があって高濃度炭酸泉と冷却された水風呂。それぞれ4、5人が入ることのできる広い浴槽だ。さらに奥に独立した感じで、テレビが置かれた綺麗な乾式サウナが置かれている。これ以外にも十分なスペースがあり、背もたれのある涼み用の椅子が置かれている。

同湯は今も「麻布黒美水温泉竹の湯」の姉妹店らしい。週2日、水曜日と土曜日にはタンクローリーで黒湯の温泉水を運んで来て、同湯では壷湯に注がれている。

上がりは、テーブルが並べられ生ビールやソフトクリームなども売っているロビーで自販機で買った瓶の森永牛乳を頂いた。

金曜日の20:45〜21:35に滞在。広いので混雑している感じは無いけど相客は20人くらい。温い高濃度炭酸泉もあるので子供もゆっくりと入ることができ滞在時間が長いようだ。プラス430円のサウナは3時間という時間制限がある。それだけ居心地がいいということだろう。小商圏の小さな”スーパー銭湯”。資本の回収期間は長めかも知れないけど、客はゆっくり出来る。有りそうであまりない珍しいタイプの銭湯だ。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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