差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年11月23日火曜日 16:51
宛先: 銭湯ML
件名: 熱海湯(新宿区神楽坂)

ナカムラです。

今日(11/22)は、「熱海湯(新宿区神楽坂)」に行ってきました。
飯田橋駅(総武緩行線)から、0.5キロ、5分くらいです。

この前、大学のゼミのOB会で、深窓のご令嬢風、恭ちゃんが話題に出したので気になっていた。

この坂は何回か歩いているけど、古い商店は淘汰されて、中型のビルが建ち並んでいる。休日前夜の19:30。結構な人通り。

最盛期は650人もの芸者を擁した花柳界。独特の細い石畳の路地を通って、同湯に赴く途中、年季のいったお姉さま数人とすれ違った。雰囲気のいい、新旧の店が多く並んでいる。

そんな石畳の細い路地を下ると同湯の傍らに出る。初めての銭湯との接し方としては、趣があって、なかなか。

入口は千鳥破風の黒瓦。脱衣所棟の上にも大きな千鳥破風がある。戦前からの銭湯らしい。現経営者の先代が昭和26年に受け継ぎ、建物の大半は昭和30年ごろのものとのこと。街の歴史からして、艶やかな女性も、多く通った湯だと思う。

暖簾をくぐると、小さなエントランス部。明るく、そしてピカピカ。清潔感と緊張感がある。正面には信楽焼きの小さなタヌキが客を出迎えている。下足箱の錠はカナリア。

開け放たれている番台への戸は木戸。番台は焦茶色の木組みのもの。彫刻はないものの波型の仕切り板がある。番台のこちら側に立っているご主人に400円を手渡す。

脱衣所の広さは2間半四方。坂下に佇む中型の銭湯という感じ。天井は平格天井ながら、格子、天板ともにいい材で趣きがある。天井扇のポールが下がるものの羽は付いていない。建具も、浴室への入口がサッシのほかは木製のものが維持されている。床もピカピカ。

小さな島ロッカーが縦置きに1つ。錠は松竹。外壁側にも、もっと古いものかな、ロッカーがある。錠は松竹だけど一部は「TOKYO」の錠。他にビン物中心の冷蔵庫、HOKUTOWのアナログ体重計、黒縁の古い丸時計などがある。

入り口側には小さな縁側があり、その外は池になっていて鯉も泳いでいる。さすが神楽坂。様式が整い、手抜きはない。

浴室は、幅2間半、奥行4間。天井は、ウィング1間半の2段型。きれいにペンキが塗られていて、明るい浴室。いい銭湯だ・・・。

鏡すらないプレーンな島カランが1列。カラン数はセンターから6・6・6・6。シャワーは両サイドのみ。カランはWaguriの角型で茶色の取っ手のもの。

島カランの真中に陣取るけど、明るく、清潔で気分が高揚する。タイルは新しいものに更新されて、古いものはない。島カランの石鹸台のタイルが、黒いタイルで赤の花の模様のある珍しいタイル。蒲田の名湯、女塚浴場(大田区西蒲田)で見て以来の遭遇。

浴槽は深浅2槽。浅槽はバイブラに2穴ジェットが2機、側面から赤外線ランプが照らしている。温度は43度くらい。深槽は、弱弱しく泡が立ち上るもの。後ろに引き上げられた、備長炭が並んでいる。温度は44度は超えているかか、結構熱い湯。

ビジュアルは、奥壁が早川師の西伊豆。平成15年7月19日。男女ブチ抜きの富士山、特徴的な波しぶき、富士の色合い、いつ見ても見事な銭湯芸術。

その下には、縦5枚×横27枚の池に鯉の図の旧来型のタイル絵。銘等はないものの、それなりに歴史を経た感じのもの。男女境にも洋風の山、川、湖のタイル絵。これは、改修した時に新しく入れられたものという感じ。

30分くらい滞在したけど、相客が多い。延べ20人くらいか。それも、客層が若い。女湯からも若い声。小生の訪れた銭湯での第1位。

主人と替わった女将に、いつもこんなに混んでいるのかと問うと、「今日は、理科大の学園祭だから。いつもこんなんだといいけど、いつもはガラガラよ」と笑っていた。学祭と銭湯が混雑する因果関係は理解しがたいけど、まぁ、そんなもんなのかな。

所用があって神楽坂の街には滞在できなかったけど、いい街にして、いい銭湯だった。









マンションの谷間にある。


神楽坂の石畳を下りると、熱海湯が現れる。