衣浦荘跡（愛知県碧南市山神町）

衣浦荘跡（愛知県碧南市山神町）　2007.6.2

今回の碧南行の第一目的は、戦時下に、海軍将校用に開設された特殊飲食店街の｢衣浦荘｣跡を訪れること。特攻隊の飛行士養成の明治航空基地と、そのための特飲街･･･。どんな、悲しくも艶のある物語があったのだろうか･･･。

そんな「衣浦荘｣は、売春防止法施行を控えた昭和２９年に、転業旅館街の｢衣浦温温泉｣に変わった。温泉ではなかったようだけど、最盛期には１０軒の旅館に、置屋、劇場、パチンコ屋なども並んだ、碧南一の歓楽街だった。字名は「常盤浦･沖見台｣。しかし、崖下に海が広がるという風光が、埋め立てによって４０年ほど前に消滅。急速に衰退した。

今回は、特殊飲食店からの転業旅館｢すゞ本｣に泊まる。今は使っていない、かつての玄関には、｢二十歳未満の方の/お客様はお断りいたします。｣という、意味深な錆びたホーロー看板が残っている。向いの、同じく転業旅館｢清元｣は、昨年廃業して空家。隣の｢翠扇｣は、女将が亡くなられて、やはり昨年暮れに廃業した。かなりゾクゾクするロケーションだ。

※新川温泉訪問時に撮影。

《碧南ガイドの決定版》
トボトボ歩く碧南市

鱗窓の旧｢吉文｣。

かつて、高級旅館だった。坂下の海水湯浴場に裸足でいける宿だったらしい。
その後は自動車学校とタイアップした合宿免許の宿泊所になっていた。
今は、個人宅として現役のよう。夜に一部屋だけ、明かりが灯っていた。

転業旅館｢すゞ本｣。１泊２食付で5500円から。	旧｢清元｣のコインランドリー
最も古風な感じの建物。	手前が｢清元｣。奥の２棟は２階の渡り廊下で縦に連結されている。
旧｢翠扇｣
旧｢清元｣	屋根が破れ、硝子が割れた廃墟だった。その奥が、個人宅に建て替った｢寸楽｣。庭に特飲時代の古い石灯籠があった。その奥が、鱗窓の家。さらに急な階段があって、かつては海･･･。
三箇所ああるアーチの一つ。最近｢衣浦温泉｣の文字が消えたらしい。｢温泉問題｣のせいか。新川温泉の、女将の「碧南には温泉は湧きません。｣という言葉が、妙に頭に残った。
｢すゞ本｣。恐らく、古くからの玄関はこちらなのだろう。	｢すゞ本｣。この古いプレートが意味するものは･･･。
「すゞ本｣。かつてこの雪洞が、町中に立ち並んでいた。見つけられたのは｢寸楽｣とここだけ。現役なのは、この雪洞だけだ。	夕方暗くなってこの使われていない大浴場を訪れた時、奥の人形にゾッとしたなぁ･･･。
ちょっと色彩が変な岩風呂。	何ともレトロな洗面所
｢白帆の間｣。窓の下はすぐ海。そんな時代には、最もいい部屋だったんだろう。前の新館は廃屋になっている。	夕食
	朝食
	｢吉文｣の隣の見事な松があるお宅。やはり、特殊飲食施設だったんだろう。鮮やかなタイル張りの丸柱があった。