差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2010年6月19日土曜日 0:05
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 安善湯(横浜市鶴見区寛政町)

今日(6/12)は、「安善湯(横浜市鶴見区寛政町)」に行ってきました。 安善駅(鶴見線)から、0.3キロ、3分くらいです。

江戸幕府15代将軍徳川慶喜の侍医をつとめた木村春東氏の邸宅が「ターミナル・ラウンジ」と いうイベントスペースになっている。そこで行われていたアートイベントに訪れた。

明治の末頃に建てられた塔屋を持つ3階建ての洋館。貴族の社交場だった雰囲気が濃く残って いる。4年間続いたこの貸スペースも今回で閉鎖。建物は復元を含めてかなりの手を入れなけ れば、既に寿命が尽きているという状況だった。

偶然、世田谷美術館の幕末をテーマとした街歩きの御一行が、大竹誠氏を先頭にホールに上が ってきた。この建物は予定外の登楼だったようだ。去年、「東京パノラマウォーク」でお世話に なった学芸員T氏が上がって来た時には驚いた。銭湯や写真を深く理解し、それらに関わる企 画を練る方でもある。

さて、銭湯。。。神奈川方面の印象的な銭湯に行こうという甘言で、予め高輪浴場を考えていた 銭湯通を巻き込み、鶴見・安善湯に向かう。

同湯の「銭湯」登録は昭和44年だけど、炭坑住宅のような旧社宅群の中心にあって、その共同浴場としての開業は鶴見線が浅野止まりだった頃、昭和ヒトケタくらいと推定されている。

炭住と同様に、当時かなり高価だった鉄筋コンクリート造。正八角形の浴室には、センターに 円形浴槽と円形の湯気抜き。ファサードはぶ厚いコンクリの看板建築のようで、ドイツ表現派 的な印象がある。全国的にも希有な構造と意匠の浴場建築だ。

そして、男湯の八面の壁のうち、2面に早川さんの最晩年のペンキ絵がある。絵柄は「山梨」 と「近江」。日付が漢字ではなく縦に20.11.6.とあるのが珍しい。「山梨」は南アルプス夜叉神 峠からの富士山だろうか。「近江」は、常識で考えれば琵琶湖なのだろうけど、海蝕で岩が削ら れた海岸を描いたような絵で、初めて見るものだった。前の絵は中島さん。次はまた中島さん に戻るのだろうか。。。

上がりは、大井町のハモニカ横町で本格的に飲む心積もりなので、生レモン果汁入りのサイダ ーで抑える。。。

そして、久しぶりの大井町。東浴の組合のHPでは、既に廃業とされている、飲み屋街の「朝 日湯」の入口には、「都合により休業します」とあるだけ。コインランドリーは、営業中で、廃 業の告知は見当たらなかった。

一昨年に廃業した「大山酒場」は、廃業の告知が張られたまま、路地裏に以前のままの姿で残 っている。朝日湯の入浴の前後に、1日に2度訪れた印象深い大衆酒場だった。

さて、酒が欲しくなってきた。一軒目は「肉の前川」。入るのは初めて。レモンサワー230円に 110円のモツ焼きを3本ほど。普通の肉屋がそのまま立ち飲みになっている。結構、濃い店だ った。。。

昔は平和じゃなかったから「平和通り」と名が付いたのか。そんなことを話しながら、2軒目は 中華屋「永楽」で白鶴とワンタンメン。ラー油が良くて、それを付けた餃子も結構いけた。

戦後のヤミ位置の名残を残す、大井町の飲み屋街。店は入れ替わっても、まだ昔の雰囲気が残 っている。そして、そんな場所の「朝日湯」が店を畳むのは寂しいことだ。。。

《前回訪問:2007.05.12.》

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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旧木村春東





大井町


大井町・朝日湯