差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2010年7月11日日曜日 21:33
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 朝日湯(熊谷市本石町)

ナカムラです。

今日(7/10)は、「朝日湯(熊谷市本石町)」に行ってきました。 熊谷駅(JR高崎線)から、1.2キロ、15分くらいです。

5月に所用で秩父を訪れた帰り、寄居、熊谷、深谷と歩いた。同湯の定休日は水・日(営業時 間は16:00-21:00)で、その日は生憎の日曜日で、入浴はままならなかった。しかし、惹か れる銭湯だったことと、外から見てもかなり老朽化が窺えることで、気になっていた。

同湯の近くは、旧中山道の熊谷宿の中心地。古刹・熊谷寺、百貨店の八木橋、片倉シルク館(片 倉工業の最後の紡績工場だった)などがあり、付近の住所も「本町」だったりと、熊谷の古く からの中心だった。

熊谷は、2007年に40.9度を記録。まちづくりの政策「あついぞ!熊谷」を推進している。梅雨 の中休みの今日も、日差しや水分補給に注意しなければならないくらい、東京の暑さとはひと 味違っている。 町のあっちこっちには「あつべえ」なる、かなり出来損ないのマスコットが氾濫している。洒 落で八木橋でオリジナルTシャツを買い求めようとしたけど、怒られそうなので止めておいた。

さて、朝日湯。昭和15年に創業。戦災に遭って焼失し昭和22年に再建されている。以前はも っと先にあったということで、区画整理で移転した経緯もあるようだ。油井型の煙突を持つ現 在のモルタルの建物は昭和30年代頃の建物だろうか。

切り妻の脱衣所棟は平入り。エントランス部分には奥行きはないものの黒瓦を載せたエントラ ンスが付けられている。エントランスの中央には「朝日湯」と大書きされた看板があって、そ の両サイドにいきなり男女別の入口があるという地方銭湯の造り。その扉の上にかなり派手な メダリオン様の装飾があるのが、大きなアクセントになっていて、同湯の大きな特徴になって いる。

暖簾を潜り中に入れば、番台と小さなコンクリのタタキ。番台の反対側、入口方の壁に松竹錠 の下足箱がある。幅4間、奥行3間の大きな脱衣所ながら、構造はやはり地方銭湯そのものの 造りになっている。天井は木板のペンキ塗り。漁師町の銭湯のような希な天井構造になってい る。

ロッカーは、昭和中期的な新建材で張り替えられた外壁側と浴室方に、松竹アルミ板鍵のもの。 相客は丸籠を使っているように籐編みの脱衣籠も現役で使われている。

高窓にはレースのカーテン。敷物も多く、椅子などにはカバーが掛けられている。寒い時期は いいけど、蒸し熱い夏には少々過剰で邪魔な感じがする。

その他、Teraokaの表示が小窓の小さなアナログ体重計、旧型マッサージ機、ロディオ式の健 康機器などがある。

浴室は、幅4間、奥行3間ほどの横長の浴室。床は3センチ角のイニシエの白タイルが使われ ている。天井は2段型で、脱衣所と同様に木板にグレーが混じったブルー系のペンキ塗り。島 カランは2つ残っているものの計10機のカランは全て外され、カラン数はセンターに4機、外 壁側に5機のみ。脱衣所方にはカランが壊れて使われていない流し台があった。全体的にあま り見かけない構造になっている。

浴槽は、奥壁に沿って深浅2槽。横長の浴室なので奥壁の幅に比べ1間ほど狭い浴槽になって いる。深槽は何らの仕掛けもないただ湯が注がれただけのもの。湯温は43度くらい。深槽は 42度くらいでジェット2機のシンプルなもの。いずれも清澄かつ柔らかでいいお湯だ。

ビジュアルは、奥壁に行田のエハラ尚栄堂の海の向こうに富士山を描いた図。2001年5月に描 かれた絵は、所処に剥離が目立ち、素人仕事による補修も入っている。さらに、男女境の鏡が 外された部分に九谷・鈴栄堂の胡山画の箱根・芦ノ湖の絵付けタイル絵。芦ノ湖と富士山を背 景に遊山の人々が細やかなタッチで描かれた優れたタイル絵だった。他の鏡の裏にも他のタイ ル絵があるのだろうか。。。

女将さんは伊勢町・見晴湯が実家で、現在は息子さんが見晴湯を継いでいるという。客に細や かに対応して下さる方で、牛乳を買ったらお菓子を頂いた。男湯には無かったけど、女湯には お菓子が振る舞われているらしい。

土曜日の17:55から18:40に滞在。相客は6人ほど。近くの喜美の湯が昨年1月に廃業し、そ こからの客も流れてきているようだ。設備的には厳しい感じがするけど、そこそこの客の入り だった。

熊谷の町は、7/20から3日間「熊谷うちわ祭り」が開催される。京都の祇園祭りのような山車が 繰り出すようだ。町中の水路に舞台が架けられたり、そっちこっちで提灯の準備が行われてい る。さらに、山車に乗るお囃子勢か、ずっとカンカンと鉦などの鳴り物が響いていた。

駅までの途中、ホルモン焼きの「水よし本店」や「奉天」なる店に惹かれた。。。秩父・高砂ホルモンの仕入れも熊谷とのことだった。ホルモン焼きが盛んな土地柄のようだ。レトロな内観、 クーラーなんて無さそうで、煙りがもうもう・・・。しかし、まだお腹が空いていなかったの と、ホルモンの煙があまりに凄いので、湯上がり後としては少し腰が引けてしまった。でも、 気になる。。。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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ほねつぎ・黒澤療院


「あついぞ!熊谷」の「あつべえ」


旧喜美の湯 〜2009.1廃業