差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2003年10月5日日曜日 0:34
宛先: 銭湯ML
件名: [sento-freak:04428] 朝日湯(横浜市鶴見区)

ナカムラです。

今日(10/4)は、生麦の「朝日湯」に行ってきました。朝日湯は生麦駅(京急)から5分ほどですが、銭湯密集地帯である生麦を散歩しながら、いくつかの銭湯を見るため、JR鶴見線の国道駅からスタートしました。

この国道駅は小生が16歳のまだ多感な時、ふと訪れて衝撃を受けた駅です。当時はまだ「レトロ」という言葉は無かったのですが、典型的な、「いにしえの風景」があるのです。

浅野系企の鶴見臨港鉄道が、昭和初年に建てた駅の下が、アーチ型のガードになっていて、店舗と住宅が黒く打ち沈んでいる。第二京浜(国道15号)側のアーチ入口には、戦争時の多数の弾痕が今もはっきり残っている。まぁ、生麦の銭湯を訪れる際に、ついでに立ち寄ることをお勧めします。

さて、まずは旧東海道から少し鶴見川に向かう路地に入った、「浜の湯」跡。昔はここからが海で、まさに浜だったと思われる所にある。

生麦で一番行きたいと思っていた銭湯が、最近、既に廃業(H14/9末)していることを知って残念。しかし、建物はそのまま残っていた。窓が開いていて、扇風機が見える。近所の人と話している元主人と話すことができたけど、中を見せて下さいとは言い出せなかった・・・。洗い場に特徴のある銭湯らしかったのだが・・・。

次に旧東海道に面している「松の湯」。外見は、なんてことはない銭湯。下足箱は松竹錠。しかし、「浜の湯」とは100メートルも離れていない。まさに密集地。

次に「宝湯」。破風造の銭湯。その破風屋根の上に雑草が伸びているという珍しい(?)銭湯。ここは、5年くらい前に「ふれーゆ」の帰りに寄ったことがある。(熱い湯、帝国大学石名田?博士のラジウム鉱石の効能書きがあった・・・。)入口にタイル絵(銘なし)。そして、下足箱は神奈川の古い銭湯で見られる「富士錠」であった。

次に「翠湯」。ここも、外見はなんてことはない銭湯。

次に、やっと「朝日湯」。今までの銭湯は旧東海道に面していたけど、朝日湯は第二京浜(国道15号)に面している。雑誌によく取り上げられる立派な建物。確かに堂々とした造り。

オリジナル暖簾に下足箱は松竹錠。番台への戸は、自動ドア。番台は木組みの立派なもの。衝立の木にも模様が彫ってある。

中に入った印象は、正面の堂々さにの印象に反して、大型の銭湯ではなく中型の銭湯という感じ。そういった意味で、印象より狭い。幅は大型銭湯だけど、脱衣所、浴室とも奥行きがない。

大きさはともかくとして、なかなか古いいい雰囲気を残している。天井は折り上げ格天井。男女それぞれ真ん中に扇風機のシャフトが伸びている。しかし、今は使われていない様子。床は板敷きというより、今風のフローリング素材。あまり銭湯ではお目にかからないけど、歩いた感触は悪くない。

ロッカーは、壁側と、脱衣場の真中に島ロッカーが2つ。松竹錠のシリンダ式のもの。ロッカーに「松竹錠工業株式会社」のシール。こういった社名の会社ということを初めて知る・・・。

ここは黒湯の天然温泉銭湯。昭和32年の成分分析表が額にいれられ掲げてあった。

浴室は改装されていて、古い面影は全く無い。島カランは2列で、センターから、6554、すべてにシャワーが付いている。壁側にサウナと黒湯の水風呂があるので、島カランの1つは片側のみ。

浴槽は、白湯2と黒湯2の計4つ。温度はぬるく、少し物足りない感じ。

ペンキ絵はなく、正面に大きな渓谷の写真が貼ってある。いわゆるタイル絵はなく、でも、今様のタイル絵なのかな、白いタイルに上品な花束の図が、いくつも描かれている。

追加100円のサウナは乾式で5人くらい入れるもの。サウナと黒湯の冷水浴はなかなか快適で、1時間くらいも滞在してしまった。

浴室には古いものは何もないけど、湯に浸かっていると、浴室から裸で釜場に引き上げていく老人がいた。その一瞬だけ釜場の中が見えた。非常にレトロな空間だった。裸電球に、こげ茶いろの世界。柱には小さいながら、脱衣所にはない黒い柱時計。何より、一瞬だけ、ヒノキの微かな香りが流れてきた・・・。

浴室にはレトロ感はないけど、ここの黒湯はあっさりとしていて気持ち良かった。なかなか快適で居心地がいい銭湯でした。

長くなりました。



松の湯 岸谷





旧浜の湯(廃業)


宝湯(廃業)


松の湯 生麦


翠湯