差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年10月10日日曜日 17:46
宛先: 銭湯ML
件名: 千代田湯(横浜市神奈川区)

ナカムラです。

今日(10/9)は、台風22号が神奈川県を通過している中、「千代田湯(横浜市神奈川区)」に行ってきました。白楽駅(東急東横線)から、0.2キロ、2分くらいです。

六角橋は、昭和43年に廃止になるまで横浜横浜市電の北の始発駅、いわば小さなターミナル駅だった。横浜駅を通って、直接、伊勢佐木町、中華街、元町、本牧や三渓園方面へ通じていた。

当時の活気は失われているんだろうけど、戦後の闇市が発展した狭いアーケードの「仲見世通り」が旧綱島街道と平行で200メートルも続いていたりと、今でもかなりディープな街ではある。しかし、嵐だからか、土曜日の15:30、開いている店は1/4くらい。

同湯は、その「仲見世通り」のまさに入口近くにある。細い路地の奥に窮屈そうに建っているので、全景は見渡し難い。

正面は千鳥破風の黒瓦。その上もモルタルながら寺社風の三角屋根になっている。煙突はコンクリの煙突で屋号が記されている。

暖簾をくぐると正面に、傘を突き差す式の傘入れ。暴風雨の中、この先にある「親松湯(神奈川区六角橋)」を往復したので、全身ドボ濡れ。靴下を脱いで、靴下を絞ってから上がる。下足錠は松竹錠。

自動ドアを通ると、こげ茶色の木組みの番台。高さは低く、雲形の仕切りには、簡素ながらも彫刻がしてある。脱衣所を一見して、こげ茶色の木造のレトロワールドが広がっている。いい眺めである。昭和30年築。

同湯の最大の特徴は、女湯を含め、脱衣所の高窓に目隠しがないことかな。だから、窓の外に空がある。「仲見世通り」等周りの建物は古い木造の2階建て、付近に脱衣所を見通せる高い建物がないということだろう。とても珍しいことだと思う。

脱衣所の広さは3間四方。天井は折り上げ部分が漆喰で塗られているものの7×13の折り上げ格天井。茶色の天井から男女1機ずつの天井扇が下がっている。ロッカーは、4つの島ロッカーが縦置きに配列されている。錠は松竹のロータリー錠。

大黒柱には黒く大きな柱時計。たまたま見た時刻は、後ろの別の時計と同じ時刻。振り子は動いていなかったからたまたまなのかなぁ・・・。その他、文字だけの「綱島映画」のポスター、TANAKAのアナログ体重計、外壁側にテレビがある。

伊豆半島に台風上陸、神奈川県内が暴風雨域に入ったと告げている。「ちょっとヤバイな」と思いながら浴室へ。

こんな天気ながら相客は延べ10名くらいとまずまず入っている。広さは幅3間、奥行4間と大型。天井は2段型の体育館様式のもの。

島カランは特徴のあるものが1つ。湯船側が一辺が50センチくらいの大型の正六角形になっていて、それぞれにカランが付いている。カラン数はセンターから、7・4・4・6。(正六角形のカランは別途5つ)カランは日の丸扇の取っ手が茶色のもの。

浴槽はセンターから、薬湯、(通路)、湯面静かな深槽、バイブラ、外壁に寝湯。薬湯以外、3つの浴槽は繋がっていて、すべて42度くらい。寝湯は、背中に2列2段の4穴、反対側に足裏用に2穴、あまり見ない配列だった。

薬湯に浸かっていると、頻繁に飛沫が落ちてくる。窓は閉まっているようだけど、なにせ外は暴風雨、雨の吹き込みがある。隣の爺さんも「風呂場で雨に降られるたぁ思わなかった・・・。」とブツブツ言っている。

浴室のタイルは、床がパールに輝くもの。カラン周りは大理石模様のピンク色のものと古いものはない。外壁側の一部が外に張り出していて、植木鉢が置いてある。

ビジュアルは奥壁に中島師のペンキ絵。センターから1間くらいの所に釜場への戸があるので、富士山の頂上がなんか窮屈そうに見える。

上がり赤ラベル180円也。相客の爺さんはここらは浸水の心配はない云々と。しかし、地元民ではない小生、テレビを見て帰宅を急いだ方がいいと、17:00に同湯を後にする。同時に、店主はシャッターを閉めた。

横浜駅に出ると既に東海道線は運転見合わせ。ホームにすら立てない状況。横須賀線も5分後に運転見合わせ。

地下鉄があるからと甘さがあった。途中、何回か止まり、蒔田というところで運転再開の見込みなしとして放り出されてしまった。バスは来ないし、来ても乗れない、身体は冷え切ってきた。(福乃湯か福徳湯に逃げ込むか・・・)

結局、戸塚に戻るのに3時間以上を要した。横浜での用事が済んだら、すぐに帰宅すればよかったが、寄り道をしたお陰で帰宅には相当苦労してしまった。まぁ、千代田湯は、ロケーションといい銭湯だった。今度、親松湯にも行かなければならない。






親松湯

六角橋の繁栄を象徴していた果物屋のビル。
2・3階が全面ガラス張りのインターナショナル様式のビルで、
2階には喫茶店が入っていた。