差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2005年5月22日日曜日 21:10
宛先: 銭湯ML
件名: 第五良の湯(渋谷区代々木)

ナカムラです。

今日(5/21)は、「第五良の湯(渋谷区代々木)」に行ってきました。
参宮橋駅(小田急線)から、0.3キロ、5分くらいです。

17:30から京王プラザで大学のゼミの後輩の結婚式。
新宿近辺の特徴的な銭湯とのことで、第2かねき湯と同湯をリストアップ。
第2かねき湯は、開店が16:00と遅いので、15:00開店の第五良の湯の一番風呂とあいなった。

礼服が入ったスーツケースを携え、番台に祝儀を預けて・・・。
いつもながら、変な客ではある。

同湯は、昭和29年築のコンクリ造の建物。
1920年代のコルビジュ風のインターナショナルスタイルを彷彿させる独特なデザインと構造を持つ稀有な湯。
どういう経緯でこんな独特の銭湯ができたんだろう・・・。

オーナーは、第一良の湯(廃業)、第二良の湯(昭和27年築の伝統型銭湯)、第三良の湯(廃業)、第四良の湯(存在しなかった)、第五良の湯(昭和29年築)と4軒の銭湯を経営したが、現在は2軒となっている。

同湯も平成15年10月にお客さんに対し廃業を告知。
しかし、2ヵ月前に隣湯の「梅の湯(渋谷区初台)」が廃業したため、渋谷区の要請で営業が継続されている。
廃業を告知したので、引っ越した人もあり、客は減ってしまったらしい。

入口正面には、コインランドリ棟が増築されている。
昔はどんな「顔」をしていた建物なのだろう・・・。残念ながら、想像がつかない。
コインランドリーの奥に立派なコンクリの階段があって入口がある。
若い女性が文庫本を読みながら洗濯している。さすが、代々木のコインランドリー。

靴脱ぎ場だけでなく、壁がタイル張りという独特の雰囲気。
下足箱の錠はカナリア。

サッシの戸を開けると番台。
ご主人は昭和31年から、女将は昭和37年から運営を任されているという石川県の方。

脱衣所の形状は台形と変っている。
スペースは、狭い感じがする。
天井高は2.25間くらい。煤けた天板から古い天井扇が下がっている。

東京錠の島ロッカーと、奥壁に少しのロッカーがあるのみ。
その他、HOKUTOWのアナログ体重計、縦型の冷蔵庫があるくらい。

最大の特徴は、台形という形状とともに、浴室との境が全面サッシになっていることと、外壁側も上部まで開口部になっていること。
浴室との境は、20年前くらいにサッシに変ったけど、以前は木製だったらしい。

昭和29年築の建物の全ての開口部が、木製のインターナショナルスタイル。
かなり壮観だったと思う。
外壁側は現在も一部木製なのでその雰囲気に接することができる。

浴室も台形。真中に釜場が置かれており、女湯とは接する部分がない。
浴槽がある内壁側が3間、外壁側が4間の台形。
丸柱は、細かいタイル巻きでレトロな雰囲気に満ちている。

天井は、コンクリ造の浴室ながら板張り。高さも2.25間と高い。

島カランは1列で、5・5・6。奥壁側にもシャワー無しのカランが4。
奥壁側が総ガラス張り。今はサッシだけど、昔は木製で構成されていたという。かなり壮観だったはず。

浴槽は、内側に2槽。
手前槽が座ジェット2機と寝湯というかただ浅い部分がある。
奥の槽がバイブラと赤外線ランプが付いているが、壊れているのか、稼動していない。透明な静かな湯面。

同湯は井戸水の薪焚き。湯は柔らかくしっとりとしている。
薪は、隣湯だった旧「梅の湯」の経営者が、今でも運んでくれているらしい。
賃借での「梅の湯」の経営は止めたけど、併営の解体業は継続し、燃料を供給している。
区の要請で営業しているということと何か関係があるのかな。地域の銭湯を守るという、いい話だと思う。

15:00から16:00滞在。相客は2人。
二人とも、つり銭を受け取らず帰っていった。
恐らく苦しい経営を察してのことだろうけど、銭湯で「つりは要らない」的な対応を始めて見た。それも連続して。

礼服に着替えて同湯を出る。どう考えても変な客だけど、女将はうれしそうだった。
コインランドリーで洗濯してた、くだんの文庫本嬢は、えっって感じの顔をしてた。

代々木という都心にあるいい銭湯だった。