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代々木上原・大黒湯
 2016.02.05.







昭和3-11年の地図に既に煙突記号が記されている戦前派の古豪銭湯。南側と地図には描かれていない裏手に当る東側の2方面で宇田川(下流は渋谷川)の 中流(暗渠)に排水可能という古銭湯ならではのロケーション。

小学生に上がる頃、代々木公園に一人で行くことが”冒険”で、この上原商店街を横切る 支流に架かる橋が残っていたことを憶えている。

同湯は今は雑然とした古いビル銭湯になっている。脱衣所には数多くの芸能人の色紙や巨人の星の絵(梶原一騎 画)に混じって、中曽根首相までの歴代総理大臣の顔写真を集めた額や、韓国POSCOの浦項製鉄所完成記念の額(中曽根氏宛)など理解に苦しむ物が並ぶ。

お湯の能書きには、鉄分を含んだ井戸水を沸かしたもので”本質的に家庭のお風呂とは違います”と言い切っていた。確かに同湯のお湯の温まり方は、他の銭湯 とは大きく異なる。入る度に非常に温まる特徴的なお湯だと実感する。

上がりは、裏の「皆月」という小料理Barに入った。トイレに張ってある古く小さな雑 誌記事で初めて気が付いたけど、カウンター内の白髪で柔和な顔のマスターは、かつてイモ欣トリオの”ワルオ”の西山浩司氏だった、厨房を担当するママもは 元女優の奥様で、夫妻がやっている店だった。

《前回訪問:2008.11.29.》

《参考》東京の水 2005 Revisited 2015 Remaster Edition(Honda, So氏)
【2-7】宇田川(1)狼谷の上流部
【2-8】宇田川(2)上原支流と宇田川中流部


「東京時層地図」から引用







花道には屋根が架かりずらりとコインランドリー設備が並ぶ。
1960年代の日付があるタレントの色紙がずらりと並ぶ。





東京国際センター(JAICA東京)を水源とする支流川と商店街がクロスする辺り。
大黒湯は提灯のある所(八幡上橋跡)を右に曲がって直ぐ。






川跡を反対側から。八幡橋跡を左に曲がれば大黒湯。正面が商店街。

















脱衣所にあった加山雄三の色紙の下には”父、上原謙”と記されていた。
昔は中華料理屋もやっていたようだ。





谷間を流れる宇田川中流はこの坂を下りきった所で蛇行していいた。
小田急線は駒場と初台の間のこの谷間に沿って敷かれたことが分る。
















代々木上原駅。結構なショッピングモールになっていて驚いた。
代々木上原駅は昭和52年の高架化の際に、何百メートルか東に移され、新駅に繋がる旧駅部分が長年空きスペースとなっていた。
当初から計画されていたのだろうか、今それがショッピングモールになっている。私鉄の沿線開発の息の長さに驚かされる。




西山浩司氏がカウンターに入っていた小料理Bar「皆月。FaceBook
行灯看板の後方が大黒湯の東側の水路だった通り。




越乃景虎の純米吟醸。硝子の酒桝に初めて遭遇。1号桝よりも多く入る感じだった。