第二淡島湯（世田谷区池尻）

差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2012年12月1日土曜日 6:36
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 第二淡島湯（世田谷区池尻）

ナカムラです。

今日（11/24）は、「第二淡島湯（世田谷区池尻）」に行ってきました。下北沢駅（小田急線小田原線等）から、1.3キロ、15分くらいです。

昨日、世田谷美術館で夭折の画家「松本竣介展」を観て、その帰りに寄ろうと思っていたけど寄ることが出来なかった。

今日は、京王閣の”東京蚤の市”や、小生が注目する芸人・ダメじゃん小出氏を追っかけて下北沢の鉄系お笑いライブ”鉄渦8”。さらに、古道具屋で大正期の旧芝浦製作所（現東芝）の扇風機、昭和初期の精工舎のボンボン時計を衝動買い。2軒ほど下北沢での”喫茶部”活動をはさみながら、同湯に向かった。

古い豆腐店や蕎麦屋などが並ぶ通り。前面に奥行きが”薄い”2階建てが増築されたファッサード。その入口のテントには「天然温泉」とあり、同湯の黒湯の色と同じ褐色のオリジナル暖簾に「淡島湯温泉」とある。元々「第二淡島湯」という屋号だけど、近くに「第一」は見あたらない。最近は暖簾にあるように「淡島湯温泉」を名乗っているようだ。

大将によれば戦前からの古い銭湯という。確認したら昭和22年の航空写真にも写っている。

極端に奥行がない正面の2階建て増築部は、前栽を潰して建てたものだろう。左手がコインランドリー、中央部がロビースペース、右手がエントランスに充てられている。

暖簾を潜ると、正面に横差しの松竹錠の下足箱。右半分が男湯用の黒い番号札。左半分が朱書きの番号札で女湯客用。分ける必然性は乏しいと思いながら機械音の”いらっしゃいませ”という言葉に迎えられながら、でも、よっこらしょと手動ドアを開ける。

うぁ、全てが昭和中期的な木目プリント合板という内装のロビー。黒字の番号札だけが召し上げられ、19番の刻印がある松竹シリンダー式の鍵を渡される。下足札を男女で分けなくとも、男か女か見れば分かると思ったけど、見分けが付かない客も居るんだろう。何せここは下北沢。。。

脱衣所の広さは、幅3間、奥行2間半。天井高は2間ほど。中央に古い天井扇の軸とスピンナーが残っているくらいで、天井にも壁にも何のアクセントも無くただただ昭和中期的木目プリント合板が張られている。これ程完璧に新建材でチープに更新された脱衣所も珍しい。

ロッカーは、男女境とロビー側に衝立を兼ねて松竹シリンダ式のものがある。外壁側に枠にはめられた古い鏡。元々は男女境にあったものか。

殺風景というかシンプルな脱衣所空間。さほど広くないこともあって、不思議と落ち着く。壁に能登・見附島のカレンダーが掛かっていた。古いものかと見れば、今年のカレンダーの最後のページだった。三宿の運送屋の小さなカレンダーだけど、新建材で囲まれたやや薄暗い空間にあって、茜色の見附島の写真にはとてもいい存在感があった。銭湯でこれ程に力を持ったカレンダーに出会ったことはない。。。

浴室は幅3間、奥行3間半。天井は木板に白ペンキ厚塗りの2段型。高天井の幅が男女合わせて2 間ほどと狭く、そのかわりにウィングが幅2間半と大きい。外側の半間は水平で”3段型”にも見える構造。驚いたことに、ウィング付け根の部分に、古民家のように湾曲した梁が用いられている。初めて見るもの。直線的な2段型の天井といい、浴室の駆体はかなり古い感じがする。

島カランは1列で、カラン数はセンターから6・5・5・4。タイル類は昭和の末期頃に中普請をしたのか、レトロなものは残っていない。

浴槽は奥壁に深槽と浅槽2槽。深槽はスイッチ式の7点座ジェット×2、浅槽は外側の1/3くらいをステンレス板で仕切って”あつい湯”としているものの、温度は隣と変わらない。浴槽には、ウーロン茶よりも若干淡い色合いの、43度弱というやや熱めの黒湯が満たされている。浴槽の底には微かに砂が沈んでいるので浅い井戸。見渡しても高い煙突は見当たらなかったのでガス焚きだろう。

ビジュアルは、角に出っ張りがあるので幅2間半の奥壁に中島さんの富士山のペンキ絵。波が磯にぶつかりはじけ飛ぶ白い波飛沫が珍しい。

上がりは瓶のブルガリアヨーグルト120円を頂いた。狭いロビーのテレビでは、皆が浅田真央に釘付けになっている。何の大会なのか、浅田真央の優勝を見て、客が散っていった。

三連休の中日、20:45から20:35に滞在。相客は7､8人といったところ。新建材だらけの銭湯。しかし、ちょっと小さな古い感じの銭湯で、気になる箇所も多い。言葉では言い尽くせないけど、ちょっと郷愁を誘ういい銭湯だった。

上がりは、入る前に同湯近くの洒落たイタリアンに目星を付けていたものの、同湯で気が付いたんだけど下北沢の靴屋に風呂道具を忘れてきた。。。21:00の靴屋の閉店時刻の関係で、結局、タパス・タパス下北沢北口店へ。ここは20数店舗あるタパス・タパスの第1号店。雑居ビルの2階にある小さな店だ。30年近く前の開業当初から時折使っている。同社のフォーマットには合わない小さな店だけど、思い入れもあるのだろう、ずっと残されている。そして、味も他店よりいい気がする。贔屓目かも知れないけど。。。

*************************************************
ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp　　
URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ （風呂屋の煙突）
*************************************************