だるま湯（小樽市花園町）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2006年11月25日土曜日 11:20
宛先: 銭湯ＭＬ (sento-freak@kt.rim.or.jp)
件名: だるま湯（小樽市花園町）

ナカムラです。

今日（11/21）は、「だるま湯（小樽市花園町）」に行ってきました。
小樽駅（函館本線）から、１．０キロ、１０分くらいです。

だるま湯は、飲食店を中心とした花園銀座商店街にある。表通りは喫茶店や観光客相手の寿司屋などが並び、一筋奥からは、スナックやら風俗店やら、ごちゃごちゃした感じの場所だ。打ち捨てられたような、古い小樽の光景が少しだけ残っていたりして、好きな場所だ。

今回の小樽行のテーマは「銭湯＆寿司紀行」。初めて小樽に来た頃は、高校生だったので寿司なんて思いもよらなかった。よつば牛乳を買って、煎餅をかじって旅を続けていた(今でも思うけど、醤油味の草加煎餅と牛乳というのはマッチする)。大学生の頃は、ビッグネームになる前の寿司屋通りの｢政寿司｣のカウンターで、勘定がいくらになるのかドキドキしながら寿司をパクついていたり、「とほの宿／ぽんぽん船｣主人の目利きで小さい寿司屋を試したりした。

今回は、不味くはないけどバカ高い、観光客相手の寿司屋を避けるべく、慎重にインターネットで小樽ジモティーが通う(らしい)寿司屋を調査してきた。｢豊寿司｣｢利政《廃業していた》｣｢神寿司｣｢伊勢寿司｣などをリストアップ。トップバッターは｢神寿司｣･･･。技の冴えは感じなかったものの、すし屋通りの半分の値段で、それ以上の寿司が食べられて満足･･･。

腹は一杯。酒も入っているという、あまり入浴には好ましからざる状態で、だるま湯に向かう。ＨＰ｢風呂屋の煙突｣のＴＯＰページに、犬が雪道でこっちを見ている写真を掲載しているけど、この写真がほぼ２０年前に同湯の前で撮影したもの。この時は、迷ったものの｢稲穂湯(稲穂町)《1997年火災廃業》｣に入った。

だるま湯は昭和７年築の洋風建物。一階には本屋と地元で支持されている鍋焼きラーメンの｢鍋匠｣が入居。二階も賃貸スペースになっている。この商店街にしては大型の建物だ。７０年余前はひと際目立つ建物だっただろうと思う。

銭湯の入り口は、本屋とラーメン屋の間にある。二重扉の間の緩衝スペースにベンチがあったり、東京銭湯並みのスペースがある。奥の戸の前には、名古屋銭湯のように中に男女別々の縦長の暖簾がカーブして下がっている。

戸を開けるとこれまたコンクリの広いタタキがある。左手には、サイドに傘立て金具が付けられた、高い番台。右手には、ツル･カメ錠の下足箱。脇役をさせたら、渋い演技をしそうな感じの女将に３９０円を払う。

脱衣所は、｢鍋匠｣が一部食い込んでいるけど、コンクリのタタキまで入れれば幅３間、奥行き４間。昭和７年からさほど変っていないだろう、渋い光景が拡がっている。男女境の上には、だるま大師の額が掲げられていて、脱衣所に睨みを利かせている。

古い木製ロッカーを黄緑と緑色でカラーリング。錠には、下足の錠と同じく鶴と亀があしらわれている。初めての遭遇だ。ただ、ロッカーよりも脱衣籠の利用が中心のようだ。

その他、アナログ体重計、新型マッサージ機などがある。男女境には、番台前の他、真中にもドアがある。元サウナ室らしい。稼動を止めてから何年になるのか･･･。

浴室は幅３間、奥行２間。天井も高くない。建物の大きさに比して、以外に小さい浴室というのが印象だ。

カラン数は、男女境４、奥壁３、外壁５、入口方壁３。カランは｢宝｣マークのレバーを向こう側へ押し込む式のもの。

主浴槽は真ん中に深めの円形浴槽。温度は４３．５度くらいと、高めだ。その奥にバスクリンの岩風呂風の浴槽。男女境側にやはりバスクリンの湯が満たされた１穴ジェット×２の副浴槽がある。これらは４２度弱だ。

同湯の男女境は、スリガラスではないものの半透明のガラスブロックが使われている。少しドキドキとさせられる構造だ。壁のタイルは白を基調としたもの。床は、八角形の白とブルーの正方形を組み合わせた厚手のもの。

ビジュアルはないものの明るく清潔でいい浴室だ。

あがりは、デカビタを頂く。

外はみぞれまじりの雨降り。脱衣所に客は小生ひとり。ヒーターの上の古い１４型のテレビのスイッチを入れると演歌番組だ。田川寿美が｢雪が降る｣という曲を歌っている。この歌い手の歌は、情感がこもっていていい。しばし、女将と歌に聞き入っていた。

小樽は札幌が近いため、観光客数は函館を上回り、さらに伸びている。２５年前に初めて訪れて、煤けているけど、美しいと感じた小樽の町は、あたり前だけど段々と失われてきた。最近は、訪れるたびにもう来ないだろうと感じている。

*************************************************
ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp　　
URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ （風呂屋の煙突）
*************************************************


老舗の｢玉光堂(花園店)｣は８月に閉店していた。	若き神さんが握る｢神寿司｣。冷酒、特々上の握り、お好みで７、８カン食べて５４００円だった。
1986.2.25撮影