道徳温泉（名古屋市南区道徳新町）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2007年5月27日日曜日 9:14
宛先: 銭湯ＭＬ (sento-freak@kt.rim.or.jp)
件名: 道徳温泉（名古屋市南区道徳新町）

ナカムラです。

今日（5/5）は、「道徳温泉（名古屋市南区道徳新町）」に行ってきました。
道徳駅(名古屋鉄道常滑線)から、０．５キロ、５分くらいです。

最初は、江南市の｢栄温泉｣を目指し、４４０円の切符を買い、念のためと電話をすると繋がらない。何回か電話をするけど、同じだった。訪れて開いていないと厳しいので、栄温泉は今度にして「道徳温泉｣へ進路を変更する。

道徳駅は、去年来ているけど、エレベーターが設置されたりして、去年より大分明るい駅に変わっていた。先ず、誉れ高きボロ銭、｢敷島湯｣が元気か見に行く。去年、同湯に入りに来たが、涙が出そうな感動的なボロさだった･･･。

近くに行くと、赤錆びたシャッターが閉まっている。あっ、逝ってしまったか･･･。しかし、薪が積まれている。隣家の人に伺ったが、「営業しているよ。土曜日は休み」とのこと。後ろに回ったら、ご主人が廃材と格闘していた。ご主人には「定休日｣なんかないようだ。

道徳温泉へと、来た道を戻る途中で、今度は「風呂屋の煙突｣を発見！
廃業銭湯かと近づくと、空き地に煙突しかないという、シュールな光景に行き着いた。銭湯の遺跡なのか･･･。また、隣家の人にヒアリング。３０年以上前に越してきたけど、その時から、このようなシュールな光景だったようだ。

聞くところによれば、三菱の寮があって、その煙突だという。確かに今でも、道徳を南下した工場地帯には、三菱重工や三菱自動車といった工場がある。何と、今は｢道徳温泉｣が廃材置き場として管理しているという。

いつもながら、目的地まで行く前に、道草してしまう。
やっと、｢道徳温泉｣に到着。油井型の煙突に、茶色の木板が剥き出しの古い銭湯だけど、前に来た時と同じで客の出入りは頻繁だ。

昭和２８年築の木造銭湯。戸を開けるとコンクリのタタキがあって、木組みの番台がある。幅２間半、奥行はタタキの１間を入れて、計５間。外観に似合わず結構広いスペースが広がっている。

タタキの外壁側にある下足箱は、扉が金属の肉抜きのもの。入口方の壁側には、何と都会の銭湯なのに、天井からつるされた木製の「傘架け棒」がある。傘の取っ手を引っ掛ける、枝がたくさんついた棒というもの。傘に施錠するなんて概念がない道具だ。因島の紅梅湯で見たけど、それ以来かも･･･。

番台の女将は細身の上品な感じの方。敢てそうしているのか、眼前にグッズの硝子ケースを置き、正面への視界を遮っているように見える。
名古屋銭湯料金は４００円になったようだ。４００円を払うのは、そういえば初めて。

脱衣所は、前後１間が、コンクリのタタキと緩衝スペース。外壁側におしどり錠のロッカーが置かれている。いわゆる脱衣スペースは２間半四方くらい。天井は木板に白ペンキ。新聞何紙かが置かれた円卓、最下段には名古屋乳業のローヤルトップが入った２枚扉の古い冷蔵庫、Ｙａｍａｔｏのアナログ体重計などがある。

男女境は、渋いこげ茶色の木製で、床は籐敷きになっている。入口の戸はアルミサッシで更新されているものの４つある高窓はすべて木製の回転窓だ。今日はそれなりに気温が高いので、すべて開放されている。レトロな構造の窓を整備し使い続けている。古い設備に対する同湯のポリシーを感じる。

幅１間の緩衝スペースには、外壁側に水のみのカランが３つ付いたタイル張りの流し。男女境側には、水シャワーブースが１機。中京圏の銭湯では、同湯のように脱衣所側に立ちシャワーがある銭湯がたまにある。しかし、あまり使われている様子はないし、特に、東京、横浜銭湯育ちの小生にとって、｢脱衣所でシャワー｣は、心理的に抵抗があって試したことがない。しかし、同湯の立ちシャワースペースは整備されていて｢現役｣度が高い感じ。浴びてみれば、ただの立ちシャワーだけど、｢脱衣所でシャワー｣をはじめて体験した。

浴室は、幅２間半、奥行３間。天井は四角錘の真中に正方形の湯気抜きがある。天井の材が板張りに白ペンキという古風な造りだ。コンクリだったり、プラ板張りだったりが多いけど、同湯の構造は、浴室までもが正統的木造銭湯だ。

浴槽は、センターに長方形の白湯の主浴槽。噴出物はない素の浴槽だ。さらに、奥壁に接するかたちで、バイブラ＆１穴ジェット×２(噴射が外壁方に横向き)の浴槽。男女境側には、菖蒲湯。浴室のタイル類に古いものはないけど、浴槽の縁は俵型に盛上って、茶色の長方形の小タイルが使われ、レトロな感じに仕上げている。

今日は、菖蒲湯か･･･。
去年も、名駅･桜湯のレトロ極まりない浴室で、一人で菖蒲湯に浸かっていたなぁ･･･。

カランは、外壁側に「温」のみが６。入口方に｢冷･温｣が２。｢冷｣の配管を緩衝スペース周りに集約し、浴室へは「温」のみの配管としているようだ。恐らく、東京銭湯のように、全てのカランに｢冷･温｣を提供するよりも構造がシンプルだし、コストも安いだろう。

奥壁は、コミカ風呂的に、白タイルに青波のアクセント。その奥壁の上方に、海中に泳ぐ熱帯魚という絵柄のモザイクタイル絵がある。大きくはないものだけど、この浴室に潤いを与えている。

上がりは、冷蔵庫の最下段にある、銭湯にしかない日陰飲料（？）のローヤルトップ(名古屋乳業)１１０円。まぁ、味は、デカビタやオロナミンＣの類のものだった。

帰りにお手洗いを借りる。正方形の空間に斜めに円形の水洗穴がある古い便器が、汽車便スタイルで斜めに据えられている。便器だけでなく、タイル類もくすんではいるものの、レトロ感溢れるものだ。古い木戸を閉めたとたん、｢戦後｣にタイムスリップしたような感慨がある･･･。

土曜日の夕食前のゴールデンタイム１７：１０から１８：００に滞在。相客は２０数人といったところか。レトロだけど綺麗な繁盛店だ。

小生の携帯は、ほとんど鳴らないが、久しぶりにクレイジーケンバンドの｢タイガー＆ドラゴン｣の着メロが鳴った･･･。誰かと思ったら、さっき何回か電話した｢栄温泉｣のおやじだった。

｢どなたですか｣｢風呂屋ですけど･･･。｣と珍妙な会話。何回も電話したので、律儀に電話をかけてくれたのだ。申し訳ないが、行けなくなったことを詫びて電話を切った。近い、うちに行かなければならない。

夕ご飯は、駅前の中華屋｢栄飯店｣。去年もここで瓶ビールとチャーハンを頂いた。ここも、なかなか居心地がいい街の中華屋だ。

《2006.5.4.画像》
※敷島湯訪問時に撮影。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp　　
URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ （風呂屋の煙突）
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道徳温泉	旧三菱企業の寮のあった場所らしい。
道徳新町。古いアパートが残っている地域。	名鉄常滑線･道徳駅