恵比寿湯（茅ヶ崎市南湖）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2003年11月30日日曜日 13:12
宛先: 銭湯ＭＬ
件名: [sento-freak:04617] 恵比寿湯（茅ヶ崎市南湖）

ナカムラです。

今日（11/29）は、茅ヶ崎の「恵比寿湯（茅ヶ崎市南湖）」に行ってきました。そぼ降る雨の中、茅ヶ崎駅から２０分くらい。

「海岸通り商盛会」という、長いけど寂れた商店街がずっと続いています。商店街の中程の少し奥まった所には「吉野湯（茅ヶ崎市共恵）」。油井型の煙突が見えます。

それにしても、廃業した店舗が多く、商店街から普通の道に戻ろうとしている道が延々と続く・・・。

この商店街と交差する、もう一つの商店街の八雲神社への参道の入口に恵比寿湯はある。ここも油井型の煙突。

入口はあまり尖っていないけど、千鳥破風が２段階。どちらにも黒瓦が乗っている重厚なもの。入口の両側には、お決まりのようにタイルが張ってある。そして、風情には欠けるけど、「恵比寿湯」と大きく書かれた樹脂製の庇が取り付けられている。

牛乳石鹸の暖簾をくぐると、正面に舟に乗った大黒様と恵比寿様。下足箱は５５番まで。錠はおしどり錠。

戸を開けて番台。厚い木を組んだ立派なもの。雲形の彫刻を施した衝立も付いている正統派。ここの風呂銭は３９０円。料金表を見ると平成１１年から価格を据え置いているらしい。神奈川標準より１０円安い。神奈川は西へ行くほど安いのかな。辻堂までは４００円。茅ヶ崎は３９０円。小田原は３６０円だった。

ここの銭湯の最大の特徴は「何もない」ことかな。ホント余計なものは一切ない。フロアに置いてあるものは、丸籠、ソファ、テーブル、販売する風呂用品を入れるケース、大塚の縦長の冷蔵庫、ヘルスメーター、首を外してあるフロア型の扇風機。これらが、すべて端っこに寄せられている。

冷房はもちろん、暖房機もない。冷房は検討したらしいけど、とても投資を回収できないので、断念したと言ってた。暖房は浴室に入ると暖かいから、必要性を感じていない話し振りだった。

夏以降に銭湯回りを始めたので気に留めたことなかったけど、暖房がない銭湯って多いんかなぁ・・・？。

先客は１人。物が少ないので、２間半四方の板の間の脱衣所は広々としている。天井は折上格天井（５×１１）。番台、梁とともに、こげ茶ではなくベージュの色になっている。壁は白壁。大黒柱の黒く長い柱時計は、ゆっくり振り子を揺らしている。ここは、明治から続く茅ヶ崎で最古の湯。主は４代目で、この建物は昭和３４年築とのこと。

壁側にオール木製のロッカーが９個だけある。よく手入れされていて現役。錠はSakuraⅡ。今日は、ここを使う。裸になると少し寒い。

さて浴室。島カランは１つ。カランはセンターから５・４・４・５。カランは日の丸扇の刻印がある、取っ手が茶色の６角形のもの。シャワーはすべてのカランに設置されている。鏡も楕円型のものがそれぞれのカランに独立して付いている。床のタイルもパール色に輝く新しいもの。このように浴室は新しく改修されている。

浴槽は、広い方がバイブラと焚き出し口だけがあるだけのものが部分的な仕切りでつながっている。但し、バイブラは壊れているのか、稼動していない。

狭い方は５点座ジェットが２人分。ステンレスの水枕が付いているけど、冷えていない。
湯はすべて薬湯（ハーブ）だった。しかし、全部薬湯っていうのもなぁ・・・。

ビジュアルは、北鎌倉の新世美術の手になる富士山と川とあずま屋のペンキ絵。多少波打っているキャンバスに描かれている。女湯は、やはり富士山。富士山が２つ並んでいるのは初めての遭遇。普通の人は隣のペンキ絵なんか見比べないんだろうけど、なんか変だし締まりがないなぁ。

その下には３枚×１８枚の池の鯉のタイル絵。鯉はゆったりと泳いでいる。章仙の銘。

男女境にも、４枚×６枚のタイル絵が４枚（上高地大正池、金太郎、灯台と入り江に舟、森の中の池とあずま屋＆滝）。この４枚のタイル絵は新しいのかな、重厚な色遣い。なかなか味のあるものだった。銘はなし。

茅ヶ崎の銭湯は寒川を含め１１軒あったけど、今は５軒に減ったと。店舗を借りていた銭湯はすべて廃業。こちらも４代目で打ち切り。いい時もあったけど、今は全然・・・。こちらは駐車場もあるけど、女将曰く、スパー銭湯が出来てからは悪くなったと。

清潔で問題のない銭湯だったけど、なにか、心に響くものがなかったかな・・・。やはり、島カランは、カラン以外に何もないプレーンな形がいい。墓石が連なっているような、島カランはなぁ。