差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2019年6月30日日曜日 10:29
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: 春の湯(江東区大島)

ナカムラです。

今日(6/28)は、「春の湯(江東区大島)」に行ってきました。大島駅(都営新宿線)から、0.9キロ、10分くらいです。

先々週、やって来たものの特注設備の故障ということで3週間を目処に休業するという張り紙があった。22日に再開予定とあったので、再びやって来た。

千鳥破風&唐破風の見事な伝統的な銭湯の建物。夕景に油井型の煙突が映え、屋号を記した白色の暖簾が風にはためいている。

関東大震災前から、北側の竪川と南側の小名木川沿には工場が建ち並んでいたものの、その間は田圃が広がっていた。関東大震災後に住宅が増え、大正14年には同湯向かいの地に小学校(現三大小記念公園)が開校。次いで、田圃の用水路沿いに同湯が開業したようだ。酷い戦災に遭っているので、航空写真では同湯が戦前派銭湯かは確認出来なかった。現在の建物は昭和30年築という。隣湯の竹の湯より2年ほど新しい建物。

暖簾を潜れば松竹錠の下足箱が向かい合う平格天井のエントランス。大きな衝立に半ば隠れているものの番台裏の窓などは簡素ながら古い造り。一方で丁寧にペンキが塗られている。

番台への自動ドアを通れば、木組みのどっしりとした番台。大将だろう、小柄で華奢な印象の方が詰めている。

脱衣所の広さは、幅3間、奥行3間強。天井は周囲のアールに持ち上げられた感じの、べんがら色の平格天井。昭和30年築らしい古さを感じる。

ロッカーは島ロッカーが1つと、外壁側に並ぶ。

柵付の濡れ縁を介して、桜の木が植わる池のある庭がある。手入れが行き届いてはいるものの、池に水はない。昔、東京の小学校では入学式に桜の苗木を与えられた。そんな苗木の桜かなと想像してしまう。

大黒柱には大田建設から寄贈されたSEIKOの黒い柱時計。ゼンマイを巻かなければならないもの。ゆっくりと振り子が揺れている。趣味でゼンマイの柱時計を使っていたことがあるけど、週1回程度ではあっても、結構大変だ。

旧型マッサージ機は椅子がスリムの古そうなもの。アナログ体重計は文字盤がステンレス地で、数字がマジックインキで書き込まれている。どうしたんだろう。

浴室の広さは、幅3間、奥行4間ほど。木板張りの2段型の天井は他より高い感じ。側壁は天井の高さまで淡いモスグリーンの、古い小さな長方形のタイル張り。木造銭湯では珍しい。釜場への木製の扉が簡素かつ渋い。

ブルーに塗り潰された奥壁を含め、臨時休業中なのか、それなりの規模のメンテナンス工事を行ったようだ。

島カランは1列で、カラン数はセンターから7・5・5・5。床のタイルはユリ模様の白。明るく、かなり清掃が行き届いた銭湯で気持ちがいい。

浴槽は、奥壁に沿って3槽。センターから、生レモンを入れた布袋を浮かべた非循環の薬湯槽で40度位。センターは座ジェット×2の白い泡風呂、外側はシンプルな白湯槽。いずれも42度弱といったところ。

昔は井戸水を沸かしていた時代もあるけど、当地の井戸水は塩分が多く、設備が持たないので、今でも汲みあげることは出来るけど使ってはいないという。

浴室には小生を含めて3人ほど。礼儀正しい彫り物を背負ったスキンヘッド氏がちょっとだけ騒々しいかったけど、落ち着くいい空間が広がっている。

ビジュアルは、奥壁がブルーのペンキで塗り潰され特筆するものはない。ただ、清潔ゆえに男女境の白いタイルに描かれた、淡い色の昼顔の花が美しく見える。

横綱北尾についてのテレビ番組を見ながら、カルピスウォーターを頂く。替わった、番台の女将さんは眠っていたので何も言わずに出る。革靴の紐を結わえていると、番台の方から“ありがとうございました”という声がした。

金曜日の19:30から20:20に滞在。相客は6人ほど。白い端正な暖簾を掛ける銭湯は、掃除が行き届いた、明るく清々しい銭湯だった。

当地が出身という馴染みの理髪店の女将さんからはラーメン大学が美味しいと聞いていたけど、1軒目のもつ焼角吉でお腹が一杯になってしまった。そういえば、雨の予報だからか、角吉には巨大暖簾が掛かっていなかった。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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