差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年2月22日日曜日 12:13
宛先: 銭湯ML
件名: 幾久の湯(横浜市磯子区)

ナカムラです。

今日(2/21)は、「幾久の湯(横浜市磯子区)」に行ってきました。

今日から神奈川県近代美術館鎌倉で「松本竣介・麻生三郎展」が始まったので絵画鑑賞。同年代の藤田嗣治に似た、都会的なタッチで、場末を多く描いたこの夭折の画家が好きです。

さて、古代檜風呂の「ひばり湯(大船)」にするか、足を延ばして懸案の「蔦の湯(平塚)」に行くか、「てんや」で天丼をモグモグしながら悩んでから、いざ平塚へ。

蔦の湯は平塚駅から20分ほど。やや遠いので予め電話を入れると、電話口は女性の声、何と先月29日で暖簾を畳んだと・・・。どんな銭湯だったのだろう。思いが頭を駆け巡る・・・。残念・・・。

で、切符を買って既に改札内に入っていたので、急遽、根岸線で根岸駅へ。八幡橋を渡り、貸本屋もあるというレトロ商店街で名高い「浜マーケット」の浜まで、約1.2キロ。20分の道のり。埋め立てられていない戦前は、まさに海が近かったため別荘地としの機能もあり、付近には洋館がくつか残っている。

幾久の湯。何の予備知識もなくやってきたけど、なかなかの佇まい。いい感じ。塀からして風情がある。どっしりとした支柱。塀板の真中には、アクセントとして白いスクラッチタイル貼られている。

煙突は油井型。神奈川の銭湯で時折みかけるけど、頂上付近には小さい回廊的なものがついている。この形式の煙突、戦時中の軍事施設のようで、何処と無くおどろおどろしい感じがする。

入口はむくり破風の瓦屋根。正面白壁の三角の部分には赤い温泉マーク。
入口の脇には斜めに伸びた松。左右と暖簾の上にはガラスが嵌められているけど、格子が幾何学模様の装飾で処理されている。さらに、暖簾の上には電球色の行灯型の軒灯が2つ付いていて、温かさと風情を演出している。

下足箱はおしどり。下足箱の扉が数列ずつ青・白・赤に塗り分けられている。エントランスホールの天井も格天井になっている。風情には欠けるアルミ枠の戸を開けると番台。両サイドに雲型の衝立がある立派なもの。

脱衣所の天井は、折上格天井(6×10)。広さは幅2間半、奥行3間。折上格天井にしては、高さがややひくいなという印象。しかし、それがこの銭湯をアットホームな感じにさせている印象を受けた。

外壁側手前におしどりの板鍵のロッカーが5つだけ。その上にコミック本や雑誌などが置いてある。次にドリンクを入れた冷蔵庫。その上にテレビ。ドリンクが番台近くではなく、外壁側にあるのは初めての遭遇。その次におしどりの板鍵式のロータリー錠のロッカーが28個ある。そう、番台脇に脱衣カゴも4個ほど積んである。

床はニスが塗られていない板の間。真中にソファが置かれているのみ。なかなか、広々としている。

その他に旧型のマッサージ機、デジタルの体重計、ステップを踏む健康機器が置いてある。
番台上に丸い時計があるだけで、柱時計はなかった。

浴室を見て興奮した。

普通ペンキ絵のある所に、青のタイルで縁取りされた巨大な章仙画のタイル絵(縦9枚×横21枚)がある。廃業した「記念館湯(神奈川区)」のタイル絵(胡山画)には、縦横少しずつ及ばないみたい(注)だけど、小生が見た伝統的タイル絵の中では最も大きいもの。「近江八幡」とあり、桜、老松、入り江に架かる木橋、帆かけ舟、山が描かれている。女湯も近江八幡というところまで見えるけど、絵柄は違っているみたいだった。

(注)「銭湯へ行こう・旅情編」の写真からすると、「記念館湯(神奈川区)」のタイル絵は縦13枚×横22枚くらいと読み取れる。

男女境には、同じく章仙画のタイル絵(縦4枚×横6枚)が4枚。やはり、青のタイルで縁取りされている。絵柄は、風景画ではなく、男湯には珍しく?、4枚ともお伽話を題材にしたもの。章仙画のお伽話は珍しいのかな、小生はあまり遭遇していない気がする。

浴室の大きさは、幅2間半、奥行き4間と縦長の印象。天井は2段型。ペンキもしっかり塗られ、手入れは行き届いている。タイルは改修されていて、床は淡いブルーのタイルに小さな青いタイルが風車のように組まれているもの。カランは、センターから8・2・2・8。外壁側の手前(脱衣所側)が、1間幅くらいで1尺半ほど外に張り出している。そこに、立ちシャワーが2つ近接して付いている。(このスペースはときどきあるけど、何なんだろう。このスペースと別にシャワースペースがあるところもあるし・・・。)

浴槽は、奥の壁から縦に伸びている小判型。鎌倉の清水湯と同じ造りだなぁ。奥が2点(だったかな)の座ジェット、手前がバイブラバス。湯温は42度とややぬるめ。しかし、だんだん熱くなってきた。小生の前の客が埋めていたのか。

土曜日の19:15から20:00の間滞在したけど、客は小生以外に爺さんが孫3人を連れて、さっと通り過ぎたのみ。綺麗に整備されているものの、客は少なかった。

ご主人に聞くと、昭和28年築の建物。戦後のバラック作りを除けば、戦後の本格的な銭湯建築の嚆矢だとのこと。施工は「貫名工務店」。同湯以降、この工務店は、この規格の銭湯を横浜で数多く手がけたとのこと。今は廃業していると。

ビールをケースから出して番第へ持って行く。
「いくらですか?」
「200円」
「酒屋さんより安いんですか?」
「ウチのお客さんにサービスしているんだよ・・・」と替わった女将。
よく見ると牛乳等のビン飲料も90円とこれも安いようだった。

帰りは、市営バスで横浜駅東口へ。
途中の東急の旧桜木町は廃駅になっている。

みなとみらい線が開通し、初めての横浜駅。あたらしくできた北通路を出て驚いた。

目の前に「月見橋」。そしてその横には青いペンキで塗られた跨線橋。ここは、「Y市の橋」等で松本竣介が繰り返し描いた場所。横浜人でもほとんど通ることはないマイナーな場所だったハズだけど、変わったものだ・・・。そう、この大きな風情のある跨線橋も、早晩取り壊されるんだろうな。

長くなりました。






隣湯の第二江陽湯