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差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2018年5月30日水曜日 9:17
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: 十思湯(中央区日本橋小伝馬町)

ナカムラです。
今日(5/26)は、「十思湯(中央区日本橋小伝馬町)」に行ってきました。小伝馬町駅(東京メトロ日比谷線)から、0.1キロ、1分くらいです。

台東区界隈でのクラフトのイベント「第10回モノマチ」が開催されていて、台東区の支援施設になっている復興小学校の旧小島小学校に入ることが出来るということで出かけていった。浅草橋や蔵前辺りの各所に会場(店舗)が点在する結構大規模なイベント。昨年は松本のクラフトフェアに出かけ、清々しい風の中で築100年近い駒井の湯に入ったことを思い出した。

界隈をそぞろ歩き。途中で戦前期の建物で戦災をかいくぐった鶴の湯の前を通る。しかし、同湯は土曜日が休みなので通り過ぎざるを得ないことが多い。今日は、小伝馬町の牢屋敷の跡にある十思スクエア別館2階に、4年ほど前に新設された十思湯に向かう。

十思スクエア、十思公園、延命地蔵尊が祀られた大安楽寺などこの界隈は、江戸幕府の小伝馬町牢屋敷の有った場所で、安政の大獄で処刑された吉田松蔭はここで最期を遂げている。公園の東側には松蔭直筆の辞世の句碑、吉田松陰終焉の地の碑が並んでいる。十思スクエアは、数年前に改築されるまでは、小島小学校と同様に戦災復興小学校で、小学校廃校後に転用された建物だった。

十思スクエア(地域密着型特別養護老人ホーム等複合施設)別館は公民館のような建物。エントランスの石垣は牢屋敷跡から出土した石垣を転用、建物のアーチ窓は関根要太郎設計の旧十思小学校のデザインをモチーフにしている。内部は実に簡素な内装だ。2階に昇る階段の脇は小伝馬町牢屋敷展示館という小スペースに牢屋敷の模型が展示されている。

ガラス扉の自動ドアという入口に花王の暖簾が掛る。中に入れば広くはないバリアフリーのスロープと広くはない靴脱ぎ場。下足箱はグレーのスチール製が置かれている。

守衛室のような窓口に詰める“管理人”のような感じの人に相方が2人分の風呂銭を渡す。入らなかったけど、乾式サウナはプラス400円のようだ。

ロビースペースは自販機とテレビだけがある、広いけど病院の談話室のような殺風景な空間。休憩後の再入浴や飲食は控えてという張り紙がある。確かに、雰囲気はともかくとして食べ物を持ち寄れば1日じゅうダラダラと出来なくもない広さがある。

脱衣所の広さは、幅3間、奥行2間半ほど。ロッカーは、縦長2段の100円リターン式のやはりスチール製のもの。その他、冷水器や丸椅子が何脚かあるだけ。すこし黄ばんだYamatoのアナログ体重計は何処から流れて来たものか、それだけが時代を感じさせるもの。4年前に新設された新鋭銭湯。他に古さを感じるものはない。

浴室の広さ幅3間、奥行6間ほどとかなり余裕のある広さ。女湯とは完全に分離している。島カランは1列で、カラン数は右手の壁側から7・5・0・0。それぞれに仕切り板がある黒御影石を基調としたシックな印象になっている。天井は木目プリントが印刷された材料。床はタイルかあるいは樹脂製なのか、滑りにくさを追求したチャコールグレーのものが使われている。

浴槽は、白色のガラスブロックが積まれた奥壁の前に掘り込み型のものが2槽。周囲に人が座れるほどの大きな浴槽。広い方は41.5度くらい。熱い方は案外高く43度くらい。誰も入っていなかった。その他、左手の壁側には立ちシャワー2、乾式サウナ室、水風呂が並んでいる。

ビジュアルは、浴槽横の壁に、広重画の日本橋の浮世絵のプリントが貼られている。同じ中央区が設置した入船湯のタイルに描かれた近代錦絵と比べると、かなりぼやけたものでやや残念な出来だった。

新鋭銭湯だけあって客層は幅広い。ちょっとマナー的には問題なしとしないけど、若い2人が浴槽の縁に腰かけて仕事の進め方を延々と話している。奥壁側にも座れるので、そっちでやってくれとも思わなくもないけど気持ちはわかる。まぁいいか。子連れのお父さんも何組か。客は増えてきたものの大きな浴槽なのでみんな気持ち良さそうに浸かっている。

土曜日の18:15から19:05に滞在。最初は数人だったけど、相客は都合20人は超えていたと思う。銭湯をイメージするとその趣は物足りないけど、風呂という観点からすればいい風呂なんだろうと思う。上がりに小岩井のLL牛乳を頂いたけど、通っているスポーツジムよりも20円も安かった。

上がりの一杯は駅近くの「炭火やきとりさくら」。6月1日で閉店とあった。中央区の会社に勤務していた時にお世話になった激安チムニーの”焼き鳥”ブランドだった。人手不足なのかなぁ。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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