差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2005年11月19日土曜日 12:58
宛先: 銭湯ML
件名: 記念湯(品川区西品川)

ナカムラです。

今日(11/18)は、「記念湯(品川区西品川)」に行ってきました。
戸越駅(都営浅草線)から、0.9キロ、15分くらいです。
最寄り駅は下神明(東急大井町線)で、こっちからは0.7キロくらいです。

なかなか、いい銭湯だった・・・。

同湯へは、戸越銀座商店街をずっと歩くことになる。
途中の「中の湯」の灯りが点いていない。建築標識が架かっている・・・。廃業か・・・?
内容を眺めると、「公衆浴場・共同住宅」とある。
来年4月に着工して、5階建てのマンション銭湯になるようだ。本日は定休日。

目を引いたのは、建築物の名称が「(仮称)戸越銀座温泉」となっていること。
新たに「温泉」を名乗るからには、掘ったということなんだろう。完成は2007年3月と、まだ先だけど、覚えておかなければ・・・。

緩やかな戸越銀座商店街を下っていく。21:00を回っているので、飲食系の店以外は仕舞っているけど、充実した商店街だ。間口の広い、大店が多いのも印象的。
惹かれる、良さそうな中華屋が何軒かある。中を見ると、主人も客も、いい顔をしている。でも、時間がない・・・。

戸越銀座商店街が尽きる辺り、平和坂という、これも細いけど商店街になっている通りを上がると、同湯は直ぐ。
ビルの上には「カラオケ サウナ」という赤いネオンが点いている。間口は6間と標準サイズだけど、奥行きがある大きな、築40年余の古参のビル銭湯。

ビルの脇の廊下状の通路を進むと靴脱ぎ場。扉にサウナ客専用である旨が大書きされたロッカーとおしどり錠の普通の下足箱。

サウナは10:00から23:00、水曜休。銭湯は14:00から25:00、年中無休。午前中はどのように人が流れるのかな。

透明のガラス戸を開けると、6間四方の、天井が高い、大きな空間。その真中に円柱型の柱が下りている。浴室方が、男女の脱衣場で、商店街側はフロントスペースになっている。

フロンとには、静かに本に目を落とす下條正巳似のご主人。公衆浴場もサウナ部もいずれも400円。但し、サウナ部はフロント奥から上階に上がって行くため、銭湯との行き来はできない。サウナは今度にして、まずは銭湯。

「記念湯」の屋号の由来を聞いたら、経営を引き継いだので判らないけど、大正天皇か昭和天皇の即位を記念しての屋号らしいと。そういえば、記念湯という屋号はいくつかある。

このフロントスペースは、どことなく不思議で、レトロな雰囲気がある。天井の円形の模様も不思議な雰囲気だけど、スーパーにあるような幼児が乗る自動車の遊具、エアロバイクなどあまり見かけないものが複数並んでいる。

その他にも、お釜型のドライヤー、マッサージ師用の台。もちろん、大型テレビ、マッサージ機、ソファなど普通のものもある。

脱衣所を含む四方の上壁は、それぞれビジュアルになっている。正面側の上壁は巨大は漫画チックな宇宙の絵、浴室側の上壁は摺りガラス8枚に裸婦が8人8様のポーズでくねってる。両サイドも、昼・夜のニューヨークの写真だったり、風景写真だったり。
もの静かで枯れている「下條正巳」は、かなりこだわりの人のようだ。

大きな空間の4分の1が、高さ2メートルくらいの壁で仕切られて、男湯の脱衣所(3間四方)に充てられている。松竹シリンダ錠のロッカー、藤敷きの万能台。その他、古風なONO SCALEのアナログ体重計が目立っているくらいで変ったものはない。ただ、トイレが脱衣所の真中に外壁から突き出すように設置されている。いかにも不自然。以前は、1階のレイアウトが現在と大きく違っていたんだろう。

さて、浴室。幅は3間、奥行6間と、広い。明るい。天井は、カマボコ型の天井で十分な高さ。品川区の銭湯に多い、ピンク、緑、白の三色の縞模様に塗り分けられている。

島カランは1列で、カラン数はセンターから8・8・8・0。カランは日の丸扇の刻印のあるもので取っ手が銀色のもの。ありそうで、あまり遭遇しないタイプ。

カラン下の桶を載せる部分は高さがあって、台になっている。そのため、普及椅子は高いものが使われている。桶はケロリン。

床のタイルは、10センチ角のオフホワイトのしっかりとしたもの。これも、ありそうで、あまり見ない仕様。清掃に隙がなく、清潔で心地いい。

浴槽がまたすごい。浴室奥側の3間四方がすべて浴槽といっていい。左右に3人程度の低温槽と高温槽があるほかは、群青色のタイルが張られた広く大きな主浴槽。奥壁側には、寝湯が6席。うち、3つがボタンで操作するジェットになっている。その上が、山・湖・洋館と絵柄的は平凡だが、全面のモザイクタイル絵。

センターにも帆船のモザイクタイル絵と別荘とヨットという、こっちは絵付けタイプのタイル絵がある。

珍しいのは、奥壁には釜場への戸があるが、営業中は浴槽の男女境側にある花道のような「浅瀬」を通らなければ通れない。まぁ、実際、営業中は出入りできないだろう。

この充実した内湯のほかに、外壁側に、3間×2間のスペースに岩風呂の露天がある。平面の石張りの風呂で、岩風呂という雰囲気はないけど、銭湯にある露天としては出色の出来だろう。今日は、今冬で初めてコートを羽織ってきた寒さ、その寒さ&この露天。湯質も柔らかいし、週末の会社帰り、堪えられないものがある。

さらに、隣には1間半四方の「森林浴」がある。小生が好む、湯の熱気による低温サウナという浴槽だけど、「フイトンチット」という芳香成分が、パイプからシューーっと放たれている。初めての経験だけど、銭湯にして、このアロマ。堪えられないものがある。照明もやや落とし、御影石の浴槽で上部は太い竹状のタイル。かけ湯と打たせ湯もある。雰囲気もいい・・・。出ると近くに2人用の水風呂まであって、何回も往復した。

上がりは、週末だからと缶ビール2本。金曜日の21:30から22:45に滞在。混んでいるほどではないけど、相客は多かった。生活銭湯派以外の人も取り込めているんだろう。

それなりに酔ったのと、充実銭湯の風呂上りでいい気分。下神明駅までゆっくり歩く。私鉄の終点の隣駅は、何故か、うらぶれた雰囲気の街が多い。この駅付近も安アパートが多く、堅実な若い人が多い感じがする。金曜日の23:00。駅前のローソンは、この時間なのに弁当類が多く仕込まていている。小さいながらも、客が多い活気のある店だった。



中の湯(戸越) 〜「戸越銀座温泉」へ改築

下神明駅(東急大井町線)