差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2013年6月29日土曜日 8:28
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 弘法の湯(所沢市金山町)

ナカムラです。

今日(5/25)は、「弘法の湯(所沢市金山町)」に行ってきました。 所沢駅(西武池袋線)から、1.8キロ、20分くらいです。

清瀬の市民ホールで演目の全てが”鉄ネタ”という古今亭駒次さんの独演会&ダメじゃん小出さん のゲストライブを観る。ノーケアだったけど、立派な市民ホールの窓外に喜多の湯という大きな伝 統的木造銭湯が見えた。初めての清瀬。また来なければ。。。

さて所沢へ。何度も通過しているけど降りるのは初めて。日本初の飛行場(現航空公園)が置かれ たり、織物で栄えた蔵の町。当時の町の中心は”銀座通り”と呼ばれた江戸道沿い。多くは高層マ ンションに換わっているものの、その間に、蔵を構える旧家が思いの外残っている。

昭和40年代前半には所沢市には6軒の銭湯があったようだ。残る「弘法の湯」「沢の湯」という2 軒の銭湯は、大きく言えば江戸道沿いの旧市街にある。町の案内図には「松の湯」という銭湯も描 かれていた。いつ頃まで有ったのだろう、既にマンションに換わったのか、見つけることが出来な かった。

先ずは、東川を三浦橋で渡った辺りに広がっていた”浦町(現有楽町)”と呼ばれていた遊廓跡を散 策する。栄えたのは戦前だけど、赤線として昭和33年まで存続していたようだ。

海老屋小路の三浦橋袂の三好亭跡を含め、3軒ほど往時の遺構を見ることが出来た。また、今でも” 盃横丁”という遊廓前衛のハモニカ横丁が有って、一部には風俗店が混在している。遊所としての 流れが今の時代に引き継がれている。

さて、弘法の湯。金山町には明治天皇が行幸の折に泊まったという豪商の家以外にも、良く見ると 織物で栄えた見世蔵が多く残る。同湯はそんな一角にある。屋号は近くの”弘法の三ツ池”から来 ている。

細い路地の奥にあるコンクリ煙突の小振りの銭湯。この辺りでは新参者と言える昭和35年の築創業。 ファッサードは風避けのトタンの”看板”で覆われる。元々のエントランスは撤去され、三角の地 形に合わせるように、煉瓦調のタイルが張られた、エントランスと小さなロビースペースからなる 建物が増築されている。

小さな靴脱ぎスペースにはSakura-G錠の下足箱。自動ドアを開ければ絨毯敷きの小さなロビースペ ース。元々番台があった場所にカウンターが置かれている。埼玉県の風呂銭は410円。サウナはプ ラス300円。今日は、風邪がぶり返したのか、軽い頭痛がしたので入らなかった。

脱衣所の広さは、幅2間半、奥行4間ほど。壁と天井は白いクロス張り。残念ながら風情は皆無だ。

ロッカーは、男女境と入口方の壁にsakura-3錠のものが並ぶ。男女境の上にテレビ、TANAKAのア ナログ体重計、飲料の自販機。さらに、広くはない脱衣所ながら外壁側に洗濯機が3台、大型の乾 燥機が壁埋め込みで2台置かれている。使えるのは入浴者のみだけど、コインランドリー機能が脱 衣所にコンパクトに押し込まれている。

浴室は、幅2間半、奥行4間ほど。天井は、木板張りの極めて珍しい構造の2段型。前後左右の1 段目が卍形に組まれ、湯気抜きに相当する3間四方の正方形部分は、3枚の鎧戸が組み込まれた天 板で塞がれている。木製の鎧戸の隙間からは夕暮れのブルーの窓が見える。初めて遭遇する珍しい 構造の天井だ。

島カランは1列で、カラン数はセンターから6・4・4・4。スペースの関係からか、島カランはシャ ワーとカランだけで湯道具を置く台が省略された珍しいもの。床のタイルはユリ模様の白。湯桶を 置く台を含めカラン周りはサワーピンクの大理石模様。壁は多少レリーフで模様が入った大判の白 色のものが使われている。それぞれが磨き込まれた清潔な銭湯だ。

浴槽は、置壁に接した深浅2槽。幅が狭い分、外壁側にある主浴槽が奥壁から2間ほど張り出し、 肩マッサージ、ジェット、電気が並んでいる。”弘法の三ツ池”と水脈は同じなのだろうか、所沢の 天然水を汲み上げ薪で焚きあげた41度位のリラックスできるお湯に仕上がっている。もう片方は実 母散の薬湯で42.5度くらい。精神の安息にいい匂いが薫っている。

さらに外壁の外に、それぞれ1間四方の乾式サウナと岩風呂風の水風呂があって、十分に長湯を楽 しめるようになっている。

ビジュアルは、中島さんの富士山のペンキ絵(22.11.17.)。前衛の山から、すっかり雪に覆われた 富士山を描いた絵が珍しい。ただ、雪で微妙な山襞がない分、富士山が平板に見えるのが残念だっ た。

上がりは狭いながらも寛ぐことができるロビーで、明治牛乳110円を頂く。

土曜日の19:00から19:50に滞在。相客は10数人。地元に支持されているのが分かる銭湯だった。 落語を聞いた後、ちょっと旅行気分で、旧遊廓散歩、銭湯めぐり。池袋から近い所沢の町を再認識 させてくれた。

上がりの一杯は、駅前から旧市街を繋ぐ、現在は最も繁華になっている「プロペ通り」で居酒屋を 物色。結局、土風炉というチェーン店に入った。この店はまぁまぁの居酒屋だと思っている。焼き 場が望めるカウンターで、きびきびした料理人を眺めながら焼酎を頂いた。

独演会の会場を出てから6時間余り、帰路、池袋の改札を出た所でダメじゃん小出さんに声をかけ られた。古今亭駒次さんと清瀬にある鉄道床屋に行っていた後、飲んでいたんだろうか。おふた方 とも人間味あふれる”いい人”だと想像している。また観に行かなければ。。。

(参考)ふるさと所沢散歩

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp  
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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                           弘法大師の三ツ池の1つが残っている




                                     大師堂

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