小町湯（小樽市信香町）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2006年11月29日水曜日 0:24
宛先: 銭湯ＭＬ (sento-freak@kt.rim.or.jp)
件名: 小町湯（小樽市信香町）

ナカムラです。

今日（11/22）は、「小町湯（小樽市信香町）」に行ってきました。
南小樽駅（函館本線）から、０．４キロ、６分くらいです。

西村鮮魚店直営の｢魚一心｣で昼食を摂る。店の前にタクシーが止まっていることからして、評判の店のようだ。刺身定食６８０円。刺身定食なのに、切り身ながら焼き魚も付いている。刺身のボリュームも申し分ない。でも、値段からすれば文句を言う筋合いではないけど、質はそれなりという感じかな。

腹が朽ちた後は、雪の中、タクシーで小樽の南廓跡の松ヶ枝町へと向う。小樽はタクシーの初乗りが４７０円。安いせいか、心持ちタクシーが沢山走っている感じがする。

古い写真を見ると、南廓は森の中にある山間の集落という感じだ。町からは隔離されるかたちで遊郭の移転がなされ、吉原に倣って柳町・京町・仲ノ町・辨天町・羽衣町と５つの区画が造られた。既に時間が経ち過ぎているようだ。当時の建物は見つけることができなかった。

雪が降る日、遊郭跡の街を歩いている人はいない。街路の不自然な広さが強く印象に残る街だった。

山から降りてくる途中に、｢北のウォール街資料館｣という、小樽で使われた古い事務機器を集めた資料館があるので立ち寄る。案内してくれた事務機器会社の女性社員に聞くと、小生は３ヶ月振りの来場者とのこと。自分の偏屈振りを思い返して、｢そんなもんかな｣と思った。案内の女性は、思わず口説きたくなるような美人だったので、近くを通る際には寄るといいかも知れない。

南湯温泉、京の湯と通過し、山から海岸近くまで降りてくると小町湯は近い。信香(のぶか)町という艶っぽい呼び名の由来はわからないが、小町湯周辺は小樽で最も早くから栄えた地で、明治中頃の大火で焼けるまで、花街のあったところだ。小町湯は風呂屋よりも古くから蕎麦屋もやっていたけど、1日に５００杯もの蕎麦を遊郭などに配達したという。その建物は、北海道開拓の村に移築されている。

小町湯の建物も大火の後の明治中ごろのもの。小樽では最長の歴史を持つとともに、最古級の建物を使っている。少し、傾いているけど･･･。

ファッサードには｢ラジウム自然温泉｣と大書きされている。二重扉を入るとコンクリのタタキに大きく高い小樽仕様の番台が聳え立つ。番台の下部は、入口方の壁とともに、旧型おしどり錠の下足入れになっている。

女将に３９０円を払う。タタキからやはり２段昇って脱衣所。広さは２間四方くらい。天井高さは１．７５間程度。天井は鉄板を型押ししたレリーフ錠のものが張られている。郡上八幡の改盛湯と同様の形式のものだ。

ロッカーはなく、みんな丸い脱衣籠を使っている。古めかしい男女境には、番台前と一番浴室方に何故かもう１つの扉がある。｢髪染は５０円｣という旨の大きな張り紙がある。髪染め禁止というのはよく分かるけど、５０円別途というのは初めての遭遇だ。

その他、脱衣所には新旧のマッサージ機。アナログ体重計(メーカーは判らず)、などがある。

浴室は、幅２間、奥行４間の細長いもの。男女境の上にやや大きめの湯気抜きがある。
カランは、男女境側６、奥壁側４、外壁側５。外壁側がアルミサッシになっていて、廊下がある。一般の方は通らないものの、その間が透明なガラスになっているのが珍しい。

浴室は、手前に極浅槽。その奥が１穴ジェット×２の深槽。温度は４２．５度くらい。湯温を下げるための温泉水がポリタンに入れられ、浴室の奥に置かれている。温泉を水で薄めないとの配慮だ。

上がりはデカビタをいただく。

黄金の輝きもここでは色あせて見えたという、近くの「金曇(こんたん)通り」を眺めた後、タクシーで花園の｢豊寿司｣へ向かう。街外れの小さな寿司屋ながら、タクシーの運転手も知っていた。表にはクレジットカード、すし券が使えない旨、大きく掲げられている。ネタ以外にコストがかかるものは認められないというのだろう。そこからして、頑固のオーラが漂っている。

吹雪の中、店に入ると、７０歳くらいと思しき主人が迎えてくれた。とりあえず特上の握りと燗酒を頼む。出てきたお通しが粋だった。薄く切った鯛の刺身に一味唐辛子が振ってあって、ぽん酢で食べさせるもの。お通しとは呼べない一品だった。そして、寿司は特上でも２０００円。寿司屋通りの寿司屋の半分の値段だ。味はこちらが大差で上を行っている。

｢ゆっくりしにぃ、来てぇるんでぇ｣というご主人の方針で色紙などはもらわない。取材拒否の店でもある。しかし、女将の話では、最近、中日の落合監督、ペギー葉山、小林亜星、巨人だった水野なんかが来たらしい。

お好みでカニ、イカ、アナゴなど計６カンと、最後にかんぴょう巻きを頂いて、合計で４２００円だった。
今まで訪れた寿司屋の中で出色の店といっていいだろう。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
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URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ （風呂屋の煙突）
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	南小樽駅
金曇(こんたん)通り｢小町湯｣で女将やご常連に伺ったけど、みんな知らなかった。	金曇通り正面は信香会館
花園町･豊寿司	花園町
北のウォール街資料館