草津湯（荒川区南千住）

差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2007年7月1日日曜日 10:56
宛先: 銭湯ＭＬ (sento-freak@kt.rim.or.jp)
件名: 草津湯（荒川区南千住）

ナカムラです。

今日（6/30）は、「草津湯（荒川区南千住）」に行ってきました。
南千住駅(常磐線)から、０．３キロ、３分くらいです。

先週に続いての吉原通い。撮りこぼした赤線時代の建物や、「おはぐろどぶ｣の遺構が残っているというので、また撮りにきた。
このソープランド街に通う御仁と同じく、かなりのスキ者ではある･･･。

２時間ほど旧廓内の地域を撮影し、吉原(千束４丁目)から、「山谷(日本堤、清川、南千住)」、泪橋を経由して南千住駅へ。

山谷は、横浜の寿町ほどの集積度がないからか、ドヤの住人も疎らで、それほど異様な雰囲気は無かった。それでも、歩いていると煙草をたかられたりする。無いと言うと、５００円くれという。江戸時代から小塚原の刑場や遊廓、木賃宿という、あまり好まれない機能を担ってきた土地柄。かたち変れど、今もそんな機能を引き継いでいる。まぁ、そんな地域ではある。

さて、草梅湯（南千住七丁目）。南千住駅から近く、いわゆる山谷の端っこに位置する銭湯だ。駅前近くにもドヤがあるけど、駅はつくばエキスプレスも通り、最近綺麗にしたようだ。

建物は、通りに面した質屋から、少し奥に引っ込んだ所に建っている。
やや痛んではいるものの唐破風と千鳥破風を組み合わせた豪壮な銭湯建築だ。厚手のコンクリ塀もなかなかなもの。

入口に空き缶回収機なるかなり大型の機械がある。機能しているのか･･･。

大型の銭湯につき、カナリア錠の下足箱が並ぶエントランス部も大きい。サッシの扉を開けると、やや暗いものの焦げ茶色の渋い木造ワールドが広がっている。

番台には、ふくよかで、いかにも銭湯のおばちゃんという感じの明るい方。４３０円を渡す。番台は、彫刻などは無いものの、厚い材が使われた木組みのしっかりとしたもの。どっしり感がある。後方の窓の桟には、反対に繊細な意匠がある。なかなかいい番台だ。

脱衣所は、幅３間、奥行３間半ほど。天井高は２間半ほどと高い折上げ格天井だ。ただ、材はさほどの物ではない。天板はベニヤで雨漏りで波打っている。冷房が入っているそんな空間の中で、梁の大型扇風機が轟音をあげている。いかにも、昔風の銭湯の風景が残っている。

島ロッカーは縦置きに１つ。錠はシリンダで銘は判らなかったものの、鍵が華奢な物で、たまに見けけるもの。

その他、２枚扉のやや大型の冷蔵庫に飲料が少々、表示板の硝子が無くなっているKeihokuのアナログ体重計、一部が陥没しているビニールレザー張りのベンチ、２台の旧型マッサージ機などがある。不潔とまではいかないけど、やや雑然とした脱衣所ではある。

浴室は、幅３間、奥行４間。天井は２段型で高天井もウィング部も緩くカーブする凝ったもの。ライトブルーのペンキはかなり草臥れているけど、脱衣所棟だけでなく、浴室もベースはかなりの造りだ。

島カランは１列で、カラン数はセンターから７･５･５･３。外壁にシャワーブースが２つ。カランはWaguriの取っ手が茶色のもの。カラン台のタイルは御影石模様のもの。タイルも白の大振りのものが組み合わされポイント模様が入った新しいものだ。古いものは残っていない。

浴槽は奥壁に接して、Ｌ字型に深浅２槽。センター側が浅槽でバイブラ。浅槽から一段階段があって、深槽がある。１穴スーパージェットとボディーマッサージ機があって、夫々スイッチを押すと稼働する。このスーパージェットが凄い水圧だった。スイッチを押して、油断してたら、よろけるほどの威力だ。

ほぼ一体の浴槽。奥壁に格子の奥に石を仕組んだ焚出し口があるけど、機能はしていなくて、実際の湯は浴槽内のパイプから供給されている。湯温は４２度くらい。湯にひと目で分かる色付きがあるので、井戸水を使用しているようだ。

ビジュアルは、早川師の西伊豆(平成十一年五月二十八日)。男女境の上に、青い富士山が描かれ、海岸に波飛沫が大きく上がっている。古いペンキ絵なので経年変化なのか、最近の富士山よりも紫がかっている感じがする。緑色も少し最近の色合いとは異なる。

さらに、外壁に３つの窓があって、窓外に溶岩が置かれている。後方が波板なので、無いよりマシという程度のものだけど、初めて遭遇するタイプのビジュアル設備だ。

土曜日の１６：００から１６：４５に滞在。年配者ばかりだけど入れ替り客が入ってくる。都合２０人くらいか。

手元の地図には、泪橋際に｢常盤湯｣が記されている。もう何年も前に廃業しているようだけど、最近建てられたような新しいマンションが建っていた。ドヤ街の中心部にマンションが建つような時代になってきた。もう山谷の暴動も歴史的な事実になってきたということだろう。

高城湯(南千住６丁目)もいつの間にか廃業してしまった。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ （風呂屋の煙突）
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延命寺。小塚原の刑死者の菩提を弔うため、寛保元年（１７４１年）建てられたお地蔵。
豊川稲荷