源湯（京都市上京区御前通西裏上下立売上ル北町）

差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2012年10月7日日曜日 11:49
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 源湯（京都市上京区御前通西裏上下立売上ル北町）

ナカムラです。

今日（9/27）は、「源湯（京都市上京区御前通西裏上下立売上ル北町）」に行ってきました。円町駅（山陰本線）から、0.9キロ、10分くらいです。

京都市営バス203系統他で、「大将軍」バス停から2分ほどです。

奈良の郷土料理だという茶粥の朝食を頂いた後、奈良ホテル近くの福智院町の美好湯（特に異常なし）、そして寧楽湯（住宅建設中だった）を見るために散歩。そして、京都に移動。繁華街を買い物逍遙した後、大将軍に向かう。

まずは、同湯至近で、京都で銅葺きの唐破風の銭湯としては五指に入るだろう椿湯を見る。昔の北千住・大黒湯もそうだったけど、唐破風に商店街の街灯のような照明機が打ち付けられ、少々痛々しかった。

さて、源湯。ロケーションが秀逸だ。紙屋川畔。川に架かる遙仏橋？（旧字の草書体でよく読みとれず）の袂に、小さな地蔵堂とともにある。京都銭湯特有の、黒がベースで文字がカラフルな看板は、角地に建つ母屋とおぼしき建物に「天然ミネラル温泉」という、これもカラフルな看板とともにある。この全体としての”風景”が素晴らしい。

写真を撮りに来る人も多いようだ。相方は地元の人に”ここ（源湯）有名なの？、写真撮りに来る人多いけど”と質問されている。もちろんだ。関東にも同湯の名声が轟いているので、遠路遙々やって来た。

昭和26年築。周りの町並みもそうだけど、辺りは綺麗に掃き清められ、掛かり松を含め庭木も手入れが行き届く。後方にコンクリの煙突が立つ。川畔ということもあり、ひときわ高く見える。浴舎の壁は厚いコンクリートのようだ。

正面は、2階建ての町屋風の造り。その中央に切妻の簡素なエントランス。1階部分の天井が高い造りなので、2階の窓の下にも木製建具の窓が開き、立派な折上げ格天井が見える。

暖簾を潜って驚かされた。左右にある下足箱の扉が、金属板を打ち抜いた名古屋銭湯でよく見られるもの。トイレもこのエントランス内にある。これも中京圏の銭湯の定石といっていい配置だ。下足箱の錠はKing。正面の傘立ての錠は鶴2羽が描かれ「KG」というマークの初めて見るものだった。

番台への扉は、京都特有のガラスの”障子戸”。中に入れば、格子で木組のレトロな番台に女将さん。頭上には「明日あります」という古い表示器が、ガラス越しにオレンジ色の光を放つ。

脱衣所の広さは、幅3間、奥行はタイル張りの緩衝地帯1間を含め4間ほど。天井は2間はないくらい。高くはないものの、小振りな格子の立派な折上げ格天井。ただ、折上げ部は左右のみで、番台や緩衝地帯の縦方向に折上げはなく、平格天井的な処理がなされている。初めて遭遇するタイプの格天井だ。男女境は、昭和中期に流行った、木製の波板という洋風の材料が使われている。

ロッカーは、外壁側にのみKing錠のもので、下部は四角い脱衣籠を収納する棚になっている。

その他、飲料がぎっしり詰まった富士飲料の2枚扉の古い冷蔵庫、旧型マッサージ機、Yamatoのアナログ体重計、喫茶店用のテーブル式のゲーム機などがある。

男女境にタイル張りの流しを置く、やはりタイル張りの緩衝地帯の頭上はトップライトになっていた。また、狭いながらも凝った前庭には、明かりを点した石灯籠が2基と小屋。さらに、鶴の模型などが配され、盥ほどの大きさの池には金魚が泳いでいる。模型のような庭だけど、かなりの拘りようだ。

浴室は、幅3間、奥行は4間ほど。天井は、幅広の木板が張られた緩い円弧のカマボコ型で、中央には大きな湯気抜きがある。床のタイルは複雑な形状の濃淡のグリーンのタイルを組み合わせたもの。外壁のタイルは白の中判。男女境は煉瓦大のタイルをベースとして、一部奥壁側にコミカ調の大振りなデザインの茶色のタイルが使われている。

島カランは、外壁寄りに、短いものが縦置きに2つ。カラン数は外壁から9･0･5･2。

浴槽は、男女境に接する真ん中に、おのおの1間四方で小石タイルが使われた深浅2槽。奥側の浅槽の底には3匹の鯉のタイルが使われている。そして、深浅2槽の仕切りには、鯉に跨る女神像。鯉口からは井戸水を薪で沸かした清澄なお湯がドバドバと出されている。湯温は42度くらい。少し隔てて、男女境と奥壁の角には、やや温めの40度くらいの実母酸の薬湯槽がある。

そして、脱衣所方には、電気風呂とともに赤や黄、緑の赤外線ランプが2色ずつ、時間とともに切り替わる赤外線風呂。2穴ジェットも付いている。電気風呂は、電極が浴槽の手前と奥という関東ではあまり見られない配置のもの。足を入れるといきなりの電撃が走る走る。。。

さらに、入口の扉を隔てた男女境側には、京都の銭湯の良さを実感させられる、清冽な井戸水掛け流しの水風呂。陶器の鯉口からは惜しげもなく、上質の井戸水が投入されている。

サウナは無料で、奥壁の高嶺、湖、ヨットという定番のモザイクタイル絵の一部を穿つように入口が設けられている。後からの増設なのだろう。中に入れば座面に水が流れる快適なスチームサウナ。あまり時間はないのだけれど、このスチームサウナと絶品の水風呂の往復をしばし楽しむ。

木曜日の夕方18：00から18：50に滞在。相客は5、6人といった所。普通に客が入って、本当に普通に寛いでいる。何の力みも感じられないけど、無料のスチームサウナに掛け流しの井戸水風呂、赤外線風呂、実母散の薬湯、清澄で柔らかいお湯が溢れる主浴槽。京都銭湯のいい所がすべて揃っている。京都銭湯の底力と層の厚さを見せつけられる。

上がりの一杯は、再びバスで三条まで戻り、昭和3年築の元毎日新聞京都支局だったという建物の地下に入るアンデパンダンというカフェバー。古い建物の地下に剥き出しの内装というちょっと変わった店。値段もリーズナブルで味もそこそこなので、何度か来ている。京都の人は平日は余り飲まないのか、この店も混んでいなかったし、町を歩いていても酔客は見かけない。。。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　椿湯