From:masayuki-nakamura
To: sento-freaks@googlegroups.com;2024/03/24 11:36

ナカムラです。

今日(3/16)は「三筋湯(台東区三筋)」に行ってきました。

新御徒町駅(都営大江戸線)から0.4キロ、5分くらいです。

「浅草公園六区」で都バスを降りて買い物しながら少し浅草の街を散歩。今日は気温18度と暖かい。かなりの人出で、浅草寺門前の道端で飲む居酒屋などは大混雑だった。

裏通りを散歩しながら三筋に着いたのは16:00くらい。W千鳥破風のファッサード。油井型の煙突。茶色地に屋号を白で染め抜いた暖簾。伝統的銭湯のお手本の様な構えだ。スーツケースを転がしている外国人観光客も注目して通り過ぎる。

同湯は昭和4年の銭湯名鑑には載っていない。昭和11年の航空写真に写っている。戦前派銭湯だ。戦災でこの辺りは焼けているので戦後のどこかのタイミングで再建されたのが今の建物と推測できる。同湯の塀は何等かの建材を転用したような銭湯にしては珍しい石積みになっている。戦前時代の同湯の遺構なのだろうか。

屋号染め抜きの暖簾をかき分けると、孔雀を描いた絵付けのタイル絵がお出迎え。下足箱は鶴亀錠と松竹錠の混成。

番台への扉を開けるとバンダナを頭に巻いた女の方が詰めていた。1,020円を渡して500円のバック。紙幣を含めた番台とのやり取りがなんとも煩わしい気がする。

一番風呂勢が上がったタイミングだけど相客は10人近く。最近は銭湯がガラ空きというのはなくなったように思う。相客は年配者だけでなく、若い友人同士で連れだって来たりしている。表ですれ違った2人は韓国語を話していた。同湯近くの往来はインバウンドで国際色豊かだけど、同湯もちょっとだけ国際化している。

同湯は前庭と浴室脇に2つの池がある。それぞれに錦鯉や金魚などが多数泳いでいて、外壁側のカランに座るとガラスを通して水中を泳ぐ鑑賞魚を見ることができる。

そして、前庭の池、浴室脇の池、浴槽にしつらえられた岩山に2筋、計4本の滝が配置されている。前庭の池に水は流れていないけど、それ以外の滝からは水や湯が落とされている。滝の数という点では稀有の多さだと思う。

奥壁には淡く明るい色調の田中みずきさんの富士山のペンキ絵。最初は中島さんのものかと思った。だんだんと腕を上げている。2段型の浴舎のペンキ塗りにくすみはない。至極適温の奥壁に接した大きな1槽式の浴槽につかって上に視線を向けると、高窓からの光線が湯気で輝いて見える。昔の映画館ってこんな感じだったことを思い出した。今では信じられないだろうけど、映画館は喫煙可で、映写室から投影する光に紫煙が照らされていた。

同湯のお湯は少々カルキが強かったもののとても気持ちいい温度。18年振りというかなり久しぶりの再訪だけど、当時の記憶通りの柔らかないいお湯だった。そう、じっくり入っていたので喉が乾いた。しかし、飲料の販売はなかった。繁盛店なのに珍しい。

帰りは小島の戦災非焼失地域を通り新御徒町駅へ。入口脇の「なまめん直売所 麦」でラーメンとスープを4食ほど購入する。新潟県妙高市の明治時代創業の製麺屋。なかなかに美味しいので会社帰りに途中下車して買ったりしている。


*************************************************
ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
*************************************************




     銭湯では珍しい石塀。焼けたような跡がある




            以下は、三筋の西側にあって戦災にあっていない小島







               看板建築
















   ドラム缶を加工した水槽に金魚が泳いでいた





目次へ