差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年5月2日日曜日 22:03
宛先: 銭湯ML
件名: 桃の湯(横須賀市上町)

ナカムラです。

今日(5/1)は、「桃の湯(横須賀市上町)」に行ってきました。
横須賀中央駅(京浜急行)から0.6キロ、10分程度です。
でも、「平坂」という急坂を登らなければならない。

桃の湯のすぐ近くの「当世館浴場(横須賀市上町)」前の大衆食堂「末広食堂」で休憩。
老夫婦がやっているこの大衆食堂は、安く味もいいし、アットホームでなかなかいい。
レモンサワーにもつの煮込み。それにアジフライ定食。
今日は既に10キロ以上歩いているけど、その効果以上に食べてしまった・・・。ぷぅー。

1湯に留めようと思ってたけど、当世館浴場と桃の湯を前にして、結局、桃の湯に行ってしまった。

バス通りに面した桃の湯の正面は、幅6間、高さ2間の長方形をしている。
上部は簡素なペンキ塗り、下部はうす紫色の小さなタイルが全面に貼られている。あまり類例をみないファッサードになっている。
煙突は土管を継ぎ足したような構造に油井型の補強がしてある。

真中に番台の小窓とその両側に入口。
それらの上に出っ張りが小さいけど山型の庇がこの建物にアクセントを付けている。

番台の小窓の上には温泉マーク、屋号を記したタイル。
小窓の下には、タイルが貼られていて、うち4枚に桃と桃太郎を描いた、かなり剥げかかったタイル絵がある。

普通の銭湯では、エントランスの暖簾をくぐって、番台の背にタイル絵がある。
ここは、番台の背は同じだけど吹きさらしの歩道に面して、いきなり桃太郎のタイル絵がある。

角地だけど、側道がある方と反対側の右側が男湯。
普通、オープンな側道側に男湯が配置されるケースが多いが・・・。

暖簾をくぐると紅白のタイルの三和度。
左手に古そうな番台、番台下に縦横正方形に切られ棚になっている。(何の棚なのかな・・・。)
番台と反対にスノコが敷いてあって下足箱が34個。旧型のおしどり錠がこの銭湯の歴史の古さを物語っている。

番台の女将はこの業界にしては結構若い。小生と同じくらいかも知れない。建物の由来を聞いたが、予想していた通り、判らないとの回答だった。

この、狭い脱衣所で同年齢の女性の前で裸になるのは多少恥ずかしいものがある。
中年男でさえそうなのだから、若い女性が番台の銭湯に拒絶感があるのは、想像以上のものがあるのだと思う。
番台の銭湯は今の高齢の客が居なくなったら、絶滅するのかも知れない。
防犯と客の安全監視の仕組みとしては、有効かつ効率的なのだけど・・・。

脱衣所の広さは、幅3間、奥行2間、靴脱ぎ場が半間幅。
天井は、低い。一応、格天井風(10×4)になっているけど、白く塗られた天板の一部には破れもある。
番台の前に1本の支柱があり、構造面で建物の古さを表していた。
壁は、幅10センチくらいの板で組まれている。恐らく、戦前の建物だと思う。

外壁側に1番から20番までの番号が扉に大書きされた、焦げ茶色のオール木製のロッカー。
おしどりの板鍵のもの。もっとも3分の1は扉が欠落している。
同湯の主力は脱衣籠になっている。
下足箱も3分の1くらい扉が欠落していて、常連桶の置き場所になっている。

脱衣所の真中にベンチ、男女境の上にテレビ。
その他、Keihokuのアナログ体重計、テーブルがある。

浴槽の入口側、スノコの下は、入口の三和土と同じ紅白のタイルが貼られている。これは旧状のままと思われる。

浴室は、幅3間、奥行3間。
天井は2段型で、ウィング部が幅2間と湯気抜きの部分が細身に出来ている。
天井は直線的で全面にアイボリホワイトのプラ板が張られていて少し味気ない。
しかし、ここも蛍光灯の他に水銀灯があり内部はとても明るく、清潔感がある。

島カランは1列。カラン数はセンターから5・3・3・3。カランは日の丸扇の角型で取っ手が茶色の8角形のもの。
全てにシャワーが付いていて、レバーが赤球に温泉マークという旧式のものだった。
島カランの突端に円筒形水飲み場がある、あまり見ない構造。

タイルは全て改修されて新しいもののみ。床はバール色のタイル。
浴槽はL字型に配置され、センターから奥に7点座ジェット、バイブラバス(稼動してなかった)、イオン発生器付の浴槽。その手前に福寿効の薬湯。

ビジュアルは浴槽上に縦3枚×横20枚の章仙の池に鯉のタイル絵。かなり、色の剥がれが多い。
以前ペンキ絵があっただろう部分は、ブルーのプラスチック板で塞がれていた。

外観と脱衣所はレトロだけど、浴室は清潔で明るかった。
大型連休中の土曜日の20:00から20:30。相客は4人でいずれも若い客だった。




当世館浴場(2007.3.31廃業)