差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2010年10月21日木曜日 22:03
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 中湯(深谷市仲町)

ナカムラです。

今日(10/16)は、「中湯(深谷市仲町)」に行ってきました。 深谷駅(高崎線)から、0.7キロ、8分くらいです。

赤羽は、西友や吉野家の本社がある北区の「首都」。西友は現在、小売り最大手、米・ウォルマ ートの子会社になっている。その西友本社にウォルマートの看板が掛かっていた。ドメな小生、 ウォルマート社の看板を見るのは初めてだった・・・。

そして、赤羽一の繁華街ララガーデン商店街。その入口にある吉野家が、9月末を以て閉店し ていた。上品さとはかけ離れた赤羽に吉野家。マッチしそうな組み合わせだけど、牛丼の値下 げ競争で、戦略的なミスを犯し劣勢に立たされている。本社お膝元の店もうまくいっていない ようだ。ちなみにララガーデンはチェーン店通りといっていいほどに様々な外食産業が並んで いる・・・。

さて、高崎線を特別快速で北上して深谷駅へ。かつて、自民党の代議士、荒船清十郎氏が運輸 大臣だった頃、職権で深谷駅を急行停車駅にしたことや、鳥ねぎ好きにとっては最高級の葱の ブランドである「深谷ねぎ」が思い浮かんで来る。

東京駅のレプリカのような深谷駅舎は仰々しいが立派。しかし、駅前に破綻したキンカ堂の建 物が野ざらしになっているなど、散々なほどに寂れている。一服するための喫茶店を探すのに も苦労するほど(結局、モスバーガー)。埼玉県は、喫茶店文化が乏しいという話もあるけど、 どっちが原因なのだろうか。

同湯への道すがらの国道17号の旧道に、4軒の酒蔵が並ぶ。一軒(七ツ梅)は既に廃業。残り の酒蔵で、今も当地で仕込みを行っている「菊泉」と、中湯に近い「東白菊」でポン酒を調達。 埼玉県は意外にも中小の醸造所が多く、その数は日本で何番目かになるほど。味のせいか宣伝 のせいかは知らないけど、今いちメジャーになり切れていない感じがする。

前置きが長くなり過ぎた。さて、中湯。5月に隣湯の姫の湯にやってきて、その時に見た中湯 のシャビーな外観に惹かれていた。組合のWebには「仲屋湯」とあるが、ご主人に聞けば、ご 自身は中湯と言っているようだけど、どちらでもいいという風だった。仲屋湯も誤りというわ けではないらしい。

仲町にあるから中湯なのか。旧道を少し入れば油井型の煙突を眺めることができる。昭和24年 築の建物。モルタルの簡素な建物だ。

小さなエントランスを入れば正面にのみ古い松竹錠の下足箱があって左右は漆喰の壁という簡 素な造り。照明は家庭用のもの。漆喰の壁に「男湯」という木板が打ち付けられている。

サッシの扉を開ければ、本当に小さな番台があって、今は使われていないようで、傍らの椅子 に大将が座って、男女境の上のテレビに見入っている。

客は小生のみ。二方面のガラス扉が開け放たれて、秋の風が流れている。

脱衣所の広さは幅2間半、奥行3間ほど。天井はかなりボロボロの平格天井。ボロと言うと叱 られるけど、かなりの年月を感じる建物だ。

ロッカーは外壁側に数個あるものの、多くの扉は破れ、ご常連の湯道具置き場やホコリを被っ た古い電話機が置かれており使われている様子はない。昔ながらの脱衣籠だけが現役のようだ。

他には、ベンチと吸い殻がたくさん刺さっている金属製の火鉢があるくらい。すべてが雑然と していて、ホコリっぽい。。。おそらく、この大将だけでやっているんだろう。そんな男所帯的 なものを感じる。

浴室は、幅2間半、奥行3間ほど。天井はプラ板張りの山形で最高部でも2間くらいで湯気抜 きなどはない。壁は10センチ角くらいの白タイル。床は古くはないグレーのタイルが塩素の付 着か、白い斑模様となっている。ビジュアル的な物は一切ない。大きさといい、雰囲気といい 典型的な田舎の銭湯だ。

そんな中に島カランは1列。カラン数はセンターから4・3・3・2。但し、外側の2機は既に使 命を終えていた。

浴槽は奥壁に接する深浅2槽。浅槽は43度くらいでジェットのみ。深槽は何の設備もないもの で43.5度くらい。双方の内側は色褪せたブルーのタイルで、長年、井戸水を沸かしてきたせい か、ミネラルの黒い付着がある。

相客はいない。窓からの秋風を浴びながら、湯を浴びる。生きるための根源の所作の如し。こ の季節に、こんな状況が、1年の中で最も趣深いと感じている・・・。

銭湯の起こりは寺での施湯らしい。この秋の中湯で、生きとし生けるもの、無情さを感じない わけにはいかなかった。

上がりは牛乳120円。土曜日の17:35から18:15に滞在。相客は入れ替わりで入ってきた一人 だけだった。

上がりの一杯は、姫の湯の向かいで「ホルモン」という赤提灯を下げていた「大臣苑」で一杯 やる。やはり無煙ロースターなんかはない。煙りを浴びながらホルモン少々と盛岡冷麺を頂い た。

そう、「深谷ねぎ」。川の北と南では全く品質が違うらしい。北は甘く柔らかく、北は固い。し かし、双方とも「深谷ねぎ」として出荷されているという。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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