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差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2018年5月30日水曜日 9:15
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: 栄湯(世田谷区用賀)

ナカムラです。

今日(5/4)は、「栄湯(世田谷区用賀)」に行ってきました。用賀駅(東急田園都市線)から、0.4キロ、5分くらいです。

創業60年余りというコンクリ煙突を有する見事な千鳥破風&唐破風を持つ大型の伝統的木造銭湯。谷沢川支流の暗渠の傍らに位置していて、用賀駅からの途中コンクリの蓋をした水路敷の上を通りながらアプローチする。

唐破風の下ではなく入口は左側に移されている。そのエントランスを入ればプラ札のSakura-G錠の下足箱が138番まで並ぶ。絨毯敷きのロビーは広い。相方がカウンターに詰めている女将さんに風呂銭を渡し、小生はスタンプ帳を差し出す。

脱衣所に進めば、折上げ格天井の3間半四方の広い空間。平成の初めの頃に大改装したのか、壁の白いクロスは煤け、所々綻びも目立つ。ロッカーの鍵も半分ほどは失われたまま。Hokutowのアナログ体重計があるだけで余計なものは一切ない。ロビーやテントがボロボロのコインランドリーに変ってしまったけど、広い前栽があったんだろうなぁ。

浴室の広さは、幅3間半、奥行4間。天井は2段型で内側はプラ板張り。大型な空間だけにメンテナンスが行き届いていないので少々殺伐な印象を受ける。

島カランは2列でカラン数はセンターから6・6・6・6・0・6。床のタイルは星形模様のもの。鉄分が多い井戸水を使っているのだろう、浴槽の縁や床のタイルに茶褐色の析出物がかなり付いている。上がり湯を使おうと入口付近の島カランの入口付近を使うと、今まで経験しかことが無いような量の錆が出て来た。

浴槽は、奥壁に沿って実母散の薬湯42度、主浴槽42度、深槽42.5度といったラインナップ。生薬の実母散は安息に何とも言えない。浴槽の底には微かに砂が沈む。また白い湯桶に汲み出すと明らかな赤茶色さと少しの濁りがある。

温泉力という感じのお湯ではないけど浅井戸からの自然の恵み。これはこれで悪くない。頭や身体を洗うのを挟んで、実母散、主浴槽、実母散、主浴槽、深槽と特徴ある湯質のお湯をじっくりと楽しむ。

使わなかったもののプラス300円で乾式サウナを使うことが出来る。水風呂はないもののサウナ室の傍らにノズルが多数のシャワーが設置されている。たた、このシャワーも積年の析出物で少々オドロオドロしさがある。

ビジュアルは、大きな奥壁から外壁に回り込むように切り絵調のタイル絵。絵柄は茜色の大海原。少々汚れてはいるおのの大きさが印象的な雄大なタイル絵だ。

大型連休後半の金曜日。19:05から19:55に滞在。相客は10人ほどで、親子連れの若いお父さんもいた。帰りには品のいい女将さんから三船敏郎ばりのハンサムな品格を感じるオヤジに変っていた。女湯にオヤジが入って来るという話を聞いたことがあるけど、あまりにイメージが違う。全体的に更新投資がなされていないようで、設備面はだいぶ綻び風前の灯火感が強い。しかし、若い人を含め女湯には男湯よりも多くの客が入っていたという。行けるところまでこのまま行ってという感じなのかな。いろんな所がちょっと特徴的な数少なくなった世田谷の銭湯だ。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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    用賀駅から同湯に向かう通り。この歩道は水路だったようだ。




                                  東急田園都市線・用賀駅