差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2019年9月23日月曜日 10:39
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: 世田谷温泉 四季の湯(世田谷区桜丘)

ナカムラです。

今日(9/22)は、「世田谷温泉 四季の湯(世田谷区桜丘)」に行ってきました。千歳船橋駅(小田急小田原線)から、0.4キロ、4分くらいです。

父の墓参り後に千歳船橋へ。船橋湯跡の向いの堀口珈琲で一服し、界隈の商店街を散策した後、駅から近い世田谷温泉四季の湯へ。

さて、世田谷温泉四季の湯。裏に川跡があった。同湯の南を流れていた千歳通り沿いの品川用水から分岐し、千歳船橋参商会の菅刈橋跡を経由して、烏山川に合流していたようだ。千歳通りにある分岐点には丸石を積み上げた品川用水の遺構が残り、駅から同湯へ向かう途中の菅刈橋跡には世田谷区教育委員会の説明板があった。

戦後すぐの航空写真を見ると、同湯の辺りは田圃が多く残っていた。昭和36年の航空写真では、田圃に2段型屋根の木造銭湯が建ったのが分かる。そして、1999年12月に現在のマンション銭湯に改築されている。

今風の屋号。以前の屋号は何だったんだろうと調べて少し驚いた。温泉を掘り当てて「世田谷温泉」としたのかと想像したけど、もともと「世田谷温泉」という銭湯だった。井戸水による成分温泉かと想像していたけど、同湯は源泉を持っていないようだ。

東京の銭湯で”温泉”が付く屋号は、麹町温泉、九段温泉、今戸温泉、大師温泉、宝温泉、あずま温泉など調べると16軒ほどの例がある(S43年銭湯名鑑、東京都2644軒)。しかし、全体の0.6%に過ぎない。東京ではかなり珍しい屋号だ。それらが廃業した今となっては、温泉を持たない銭湯の屋号に「〇〇温泉」が付くのは、東京で同湯だけではないだろうか。

広い敷地に建つ4階建ての大型のマンションの1階に入っている。築20年だけあって、多くあるバブル期の銭湯に比べ軽快な印象を受ける。

自動ドアを通ると松竹錠の下足があって、入浴料の自販機でチケットを買う。サウナはプラス300円。日替わりで、「露天の湯」と「薬湯の湯」が入れ替わるようだ。今日は男湯が露天風呂がない薬湯。カウンターには若い方が詰めている。10月12日の銭湯ナイトのフライヤーを携えてきた。お願いして置いて頂く。銭湯ナイトの入場料は会場費などでチャラの非営利のイベントだけど、もし足が出ると補填する手立てがない。赤字にならないように、毎年この時期は宣伝に勤しんでいる。

同湯のロビーはかなり広い。以前は飲食など提供していたのだろうか。特段、飲食を提供しているわけでもない普通の銭湯で、これほどの広さのロビーは珍しい。2方面に大きな窓があり明るくすこぶる快適。窓外の塀が緑の蔓草に覆われているのがいい景色になっている。

一方、脱衣所は3間弱四方。狭さはないけど窓がない空間で、やや圧迫感を感じる。ロッカーは中段に棚がある松竹錠のシリンダー式のもので、下段は縦長の大きいロッカーになっている。古い籐の丸籠が4つほど積まれていた。改築前の建物から引き継がれた、唯一の物だろう。

それにしても、同湯には何台の自販機が置かれているんだろう。外の入口脇、ロビー、脱衣所に2、3台づつ置かれている。浴室の広さは幅3間、奥行3間半ほど。天井は2間弱でフラットなプラ板張り。

島カランは1列で、カラン数はセンターから変則的ながら大きく言えば5・5・5・5。内装はオフホワイトを基調としている。

浴槽はセンターから奥壁に沿って主浴槽と薬湯槽がL字型に伸び、さらに外壁側にはサウナ室と水風呂が並ぶ。主浴槽は1穴スーパージェットとバイブラ。井戸水をおそらくガスで沸かしたお湯は42度弱。若者4人組が談笑しながら湯あみを繰り返している。グレープジュース色の薬湯は、それよりも少しだけ高い温度設定になっている。

浴槽の面積の割合が大きいのとサウナ室が置かれているので、洗い場はそれなりの圧縮感がある。立ちシャワーも1機のみ。

ビジュアルは皆無。バブル期の反動かも知れないけど、白を基調とした内装は少々殺風景の感がないではない。20年前は金融不況で経済が冷え込んでいた時代。銀行へ公的資金導入。所得税減税。地域振興券配付などが行われた。調達力のある個人が改築するには、建築費を低く抑えられるいいタイミングだったかも知れない。

上がりは広いロビーで不二家のネクターを頂く。上がった時間にまだ明るいというのはいい。贅沢な感じがする。

三連休の中日の日曜日の15:50から16:40に滞在。上がるときの1時点で、浴室と脱衣所に18人の相客があった。延べでは30人弱くらいだろうか。基本性能の高いいい銭湯だった。一昨年、銭湯ナイトで品川用水沿いの銭湯の特集をした。同湯より下流の品川区が中心だったけど、世田谷温泉も地図にプロットした。図らずも現地確認が出来て興味深かった。


*************************************************
ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
*************************************************


目次へ