差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2016年3月7日月曜日 21:38
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: 新木川温泉(大阪市淀川区木川東)

ナカムラです。

今日(8/27)は、「新木川温泉(大阪市淀川区木川東)」に行ってきました。西中島南方(市営地下鉄御堂筋線)から、0.8キロ、9分くらいです。

神崎川南岸と淀川の北岸とに挟まれた胃袋のような形をしている大阪市北部の淀川区。同区の東側の新大阪駅には多少の馴染みがあるものの、たとえ下車しても乗り継ぎだけで駅の外に出ることは皆無。でも、淀川区には気になる銭湯が多く残っている。

そんな銭湯の1つが新木津川温泉。最寄り駅は西中島南方駅(市営地下鉄御堂筋線)あるいは南方駅(阪急宝塚線)。同湯までの道のりは、マンションやホテルなどが目立ち、古い建物などは少ない印象だった。

そんな中で、忽然と個性際立つ同湯が現れる。コンクリ煙突は、名古屋銭湯より長く、東京銭湯より短い。太さも名古屋と東京の中間位に見える。東京や名古屋の銭湯の煙突に屋号が記されるのは今や少数派になっている。大阪は東京や名古屋よりも商売気が健在で、屋号をしっかり記している銭湯が多い。

縦窓が並ぶ洋風下見板張りの洋館風の看板建築と言っていいのだろうか。中央に車寄せまでは無いもののアーチ型のくり抜きがある堂々とした大きなエントランスがある。関西の2房の大きな暖簾が小さく見えるほどだ。

エントランスは8畳ほどの広さはあるだろうか。両サイドにコンドル錠の下足箱が向かい合わせに並び、2段ほどの階段の先に男女湯の扉が半ば向かい合うようにハの字型に並ぶ。

今も「十三浴場組合」が機能しているのか分からないけど、風呂屋の表札代わりなのか、大きく組合名と屋号が書かれたプレートが下がっている。そう言えば、煙突に屋号が記されていたものの看板は無い。

扉を開けると”番台”が入口方向を向いている。しかし、カウンターではなく、あくまで番台。昔からこうだったのだろう。

同湯の構造は少し変わっている。敷地の奥行きが小さいんだろう。浴室の大きさや配置は普通だけど、脱衣所がL字型で、横方向に長く、さらに浴室の外側に回り込むように広がっている。脱衣所の床面積は3間×4間の脱衣所と同じくらいはある。

内装は昭和40年代に置き変わったと推察されるチープな新建材。しかし、白ペンキ塗りの木板張りの天井や、洋館風の外観と呼応する縦型の窓によって独特の雰囲気を醸し出している。

ロッカーは外壁側のみ、おしどり錠とツルカメ錠の混成が一斉に並ぶ。構造上男女境というものが無く、大きな鏡はエントランスの壁に据えられている。天井に古い天井扇があるものの回転翼は外されたまま。

その他、IUCHIのアナログ体重計、2枚扉の古い冷蔵庫、テーブル、簡便なソファなどが並ぶ。

浴室は、幅3間、奥行4間。天井は四角錐型で中央に湯気抜き。大阪銭湯のスタンダードと言っていいものだと思う。床のタイルは小片の濃淡ブルーのタイルを幾何学模様に組み合わせたもの。男女境を含め壁は15センチ角位の白色のプレーンなタイルが使われている。

入口扉は一部木製のアーチ型。長手方向、番台の背にあたる壁に、脱衣所を見通すことの出来る窓の類はなく、全面が壁になっている。当然、番台から浴室を見通すことは出来ない。上部に窓が塗り潰されたようにも見える跡があったけど、初めからこういった構造だったんだろうか。

島カランはなく、カランは外壁側に6、脱衣所側の壁に5、男女境に3の計14機。汲み湯を前提にしているのか、カランの間隔を広くする改修を行った東京銭湯よりも少ない。もちろん、カラン周りには湯桶を載せるしっかりとした台がある関西式だ。

浴槽は、御影石の踏み込み段がある長方形のセンター浴槽で、中央に十字噴射のレトロなジェットが立っていて泣けた。

さらに奥壁の一部がくり貫かれたような空間があって、延寿湯(えんじゅとう)温泉なる実母散湯と強力な電気風呂。さらに男女境に接する40度くらいの温い湯が入った細長く小さな副浴槽がある。

大阪市の銭湯は水道が多いと思う。白っぽい濁り感じることが多く、そのせいか肌に対する当たりは柔らかい。主浴槽は湯温42度。同湯のお湯もそんな感じのもので気持ちがいい。

ビジュアルと言えるものは何もない。

濃淡のブルー2色の床のタイルはかなり老朽化し、部分的ながら床はかなり凸凹と波打っている。壁も煤けている。しかし、豪華な建物のせいだろうか、活気があった(だろう)、懐かしい大阪を強く感じさせられる郷愁空間だった。

上がりはメグミルクの瓶牛乳120円を頂く。

木曜日の19:20から20:10に滞在。相客は10数人と意外に多かった。チープな更新やメンテナンスが不十分だけと、大阪が今よりもずっと活気があった頃を感じる、印象的な銭湯だった。

新大阪駅からも遠くない。街の雰囲気を掴むことが出来なかったので、またこの辺りを歩いてみたい。すぐ近くには、やはりレトロ系の「寿湯」もあるから。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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                                    隣湯の寿湯










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